できるリーダーは文章力で決まる!誰にでも伝わる文章テクニック5選

できるリーダーは文章力で決まる!誰にでも伝わる文章テクニック5選

ビジネスパーソンの自己研鑽を助けるメディア「リーダーシップドック」、プロのブロガー&メディア運営者としても活躍中の矢部秀明さんに、文章力向上のための記事を寄稿していただいています。今回は4回シリーズの2回目。特に、文章を書くことが苦手と感じている方、これからリーダーを目指したい方、必読です。第1回の記事「仕事で成果を出すリーダーに必要な文章力とは」も是非ご確認下さい。

はじめに

ビジネスライティングは、読み手に負担をかけない文章を書くことが重要です。

前提として、ビジネスマンは文章を読みたくないのです。それでも、時間が足りない中でたくさんの文章を読まないといけません。

そのため、ビジネス文書を書く人は、「できれば文章を読みたくないビジネスマン」のことを分かって書く必要があります。

リーダーは、文章で多くの社員に情報を共有する場面がたくさんあります。また、上司へ提案書を書く時もあります。

もしリーダーが読み手に負担をかけない文章を書けたら、コミュニケーションが円滑に進んで、より高い仕事の成果を上げる事ができるはずです。

今回は、すぐに使える具体的な文章テクニックとして5つご紹介します。

1. 最初にメンタルモデルを作る
2. 同じ粒度の情報は同じ構成で書く
3. 既知→未知の流れを意識する
4. 1つの文章では言いたいことを1つにする
5. 簡潔に書く

すぐに使える具体的な文章テクニック

最初にメンタルモデルを作る

メンタルモデルとは、読者が情報を認識しやすいように最初にイメージを作ってあげることです。最初にタイトルや概要を書くことがメンタルモデルを作ることに該当します。

本記事でも「具体的な文章テクニックとして5つご紹介します。」と最初に書くことで、読者はこれから文章テクニックを紹介されるとイメージすることができます。結果、その後の文章がすっと入ってきて理解しやすくなります。

特にタイトルの付け方には気をつけましょう。

上司へ、明日の打ち合わせ資料を確認してもらう場面を想定した、ダメなタイトルの例を見てみましょう。

ダメなタイトルの例:
明日の打ち合わせ資料について

一見問題なさそうに見えます。しかし、このタイトルでは、相談されているのか、それとも報告を受けているのか、上司が判断できません。

タイトルの最初に以下3つのどれかを追加するだけで、上司が判断しやすくなります。
・相談
・依頼
・報告

良いタイトルの例:
【依頼】明日の打ち合わせ資料の確認をお願いします

このように、タイトルを見た時点で上司が「打ち合わせ資料のチェックをすれば良いんだな」というメンタルモデルを作ってあげれば、この後の文章がすっと入ってきやすくなります。

同じ粒度の情報は同じ構成で書く

同じ粒度の情報は、できる限り同じ構成や表現で書くと読みやすくなります。

本記事でも、「具体的な文章テクニックとして5つご紹介します。」と述べた後に、5つの文章テクニックを数字で並べています。

このように同じ粒度の情報を並べて書くことで、読者に対して2つの効果が期待できます。
・必要な情報だけを選んで読める
・メンタルモデルを作ってから先の文章を読める

同じ粒度の情報を「・」や「数字」で並べることは簡単にできる工夫なので、ぜひ実践してみましょう。

ただし、粒度が違う情報に対して箇条書きで書くのはやめた方が良いです。

例えば、以下の文章例を見てみましょう。

ダメな文章例:
・商品Aの売上が落ちている
・原因はコロナの影響で集客が落ちているから
・対策として、オンラインでの訴求を強めたい

同じ粒度の情報でもないのに箇条書きで書いてしまうと、読者にミスリードを与えてしまいます。安易に箇条書きで並べるのは余計に分かりづらくなるため避けましょう。

粒度が違う情報は箇条書きに逃げず、文章を論理的に繋げて書くようにしましょう。

既知→未知を守る

「既知→未知を守る」とは、既知の情報を前半に書いてから、未知の情報を後半に書いていくことです。

1つ目にご紹介した「メンタルモデルを作る」をより応用したテクニックです。

既知→未知を守って書くことは、文章の繋がりが滑らかに流れ、論理的な構成にできます。

例えば、以下の文章例を見てみましょう。

メンタルモデルを作る文章例:
緊急事態宣言によって、飲食店の営業時間を短くしています。営業時間を短くすれば、飲食店に来るお客様が減ります。結果、飲食店の売上が悪化します。売上が悪化すれば、人員を削減したり賃金のカットをしないといけません。

この文章例は、「A→B」「B→C」「C→D」のような説明になっています。前の文の後半で説明したことを次の文の頭で既知の情報として繋ぐことで、既知→未知が守られています。

既知→未知へと情報を繋いでいけば、論理的な文章になります。

今までご紹介した文章テクニックと比較すると、難しいテクニックです。

理由は、書いている本人が既知→未知を守られているかどうかに気付くのは難しいからです。自分で気付けない場合は、何度も文章を添削してもらうようにしましょう。

1つの文章では言いたいことを1つにする

1つの文は、できる限り1つのポイントだけを述べるようにしましょう。

1つのポイントだけを伝えることで、一文が短くなります。短くなれば、読者が一読で理解しやすいです。

1つのポイントだけを伝えるには、「〜し」「〜り」「〜て」「〜が」などの接続助詞をできる限り使わないようにしましょう。

例えば、以下のダメな文章例を見てみましょう。

ダメな文章例:
私はサウナが好きだし、読書も好きです。
年収が高い人ほど、1ヶ月に8冊以上の本を読んでいると言われていますが、あなたはどのくらい本を読んでいるでしょうか。

この文章は、結論が何を言いたいのかわかりません。1つの文は1つのポイントだけを述べるようにするだけで、読みやすい文章になります。

良い文章例:
読書は役に立ちます。
年収が高い人は、1ヶ月に8冊以上の本を読んでいるという統計もあります。ぜひ読書習慣をつけるようにしましょう。

これなら、書き手が何を伝えたいかがわかります。結論も最初に書いているので、一発で理解できます。

「し」「り」「て」「が」を使用している文は、2つに区切ることができないか考えてみましょう。

そして、1つの文に1つのポイントだけを伝えることを心がけてください。

簡潔に書く

文章は、簡潔で短い方が読みやすいため、余計なものは削った方が良いです。

例えば、以下のダメな文章例と良い文章例を見てみましょう。

ダメな文章例:
私は家で飼っている犬と一緒に家の近くの公園を散歩して歩いた。

良い文章例:
私は愛犬と近所の公園を散歩した。

「うちで飼っている犬」は、「愛犬」で伝わります。「一緒に」は、書かなくても分かります。「散歩して歩いた」も、同じことを2回言っています。シンプルに「散歩した」と表現すれば十分です。

このように、文章はなるべくシンプルに簡潔に書きましょう。簡潔な文章は、読み手の負担を減らすことができます。

まとめ

今回は、5つの文章テクニックをご紹介しました。文章は、役職が高くなるほど書く機会が増えます。

もっと学びを深めたい方は、今回参考にした以下2冊をおすすめします。
・『書く技術・伝える技術』
・『書くのがしんどい』

どちらも、本記事では紹介していない重要なテクニックがたくさん書かれています。ぜひ一読してみてください。

文章は、テクニックを分かっていたとしても上達するのが難しいです。私は、知識としてこれらの文章テクニックを分かってはいましたが、実践するのは非常に難しかったです。

上司から何度も同じ指摘をされて少しずつ、今回ご紹介した文章テクニックが自分の血肉となっていきました。

粘り強く文章を書き続けることで、皆さんの文章力が磨かれることを応援しております。