リーダーが絶対に言ってはいけないこと

リーダーが絶対に言ってはいけないこと

当たり前の話ですが、リーダーというのは自分1人のことだけ考えれば良いのではなく、個人レベルよりは難しいことを求められます。特に人は自分が思う通りに動きませんから、複数の人で成り立つ組織運営は、リーダーが思う通りには物事は進みません。

今日は、そんなリーダーがつい言ってしまいたくなるけれども、絶対に言ってはいけない言葉について、一緒に考えていきたいと思います。

リーダーの考えと発言が組織を生かし、殺す

恵まれた状況の中で任務を任されることよりも、難しい状況の中で任務を任されることの方が多いのが、リーダーです。皆さんもそういうご経験があるのではないでしょうか。

私はある時、空中分解寸前の組織を引き継いだことがありました。所属メンバーの満足度は低く、人はどんどん流出していました。これから一緒に頑張ろうというメンバーも、同じ組織の他支社から引き抜きにあって悩んでいました。

私は助け合うべき同じ組織にも関わらず引き抜きをしていた他支社のリーダーに、文句を言いに言ったことがあります。しかし、新米のリーダーだった私に彼がかけた言葉はこういうものでした。「引き抜かれる方が悪い。お前が自分のところのメンバーを満足して生かしてあげられていたら、報酬を高く積まれようがメンバーはどこにも行かない。」悔しかったですが、真実でしたので本当にハッとさせられました。そこから、私の行動が変わりました。

まずは「自分がこの組織をどう作っていきたいのか」をしっかり考え、メンバーに伝えることにしました。そして、賛同して一緒にやってくれる人は絶対に最後まで守って、満足してもらえるようにしようと思いました。私の思いを真実に伝えたことで私の行動が変わり、メンバーとの信頼関係が生まれました。徐々にメンバーの流出は減り、生産性も向上するようになりました。

何よりも一番嬉しかったことは、メンバーも組織もアイデンティティを確立し、自信を持てるようになったことです。その組織で働くことに喜びを感じるようになれたのです。

この経験を通して、私はリーダーがどのような「考え」を持って組織運営に当たるのかが、一番大事だということを学びました。そして、その「考え」が普段の発言と行動に繋がっていきますが、それこそが組織を生かしも殺しもするということを知りました。

リーダーが絶対に言ってはいけない言葉

人は考えていることを口にしますから、どんなことを考えるのかが一番大事です。しかし、仮に少し考えてしまったとしても、絶対に口にしてはいけない言葉もあります。私が考える、リーダーが絶対に言ってはいけない言葉は以下の3つです。

①自分だけが忙しくて大変だ!

②誰も協力してくれない。動いてくれない。

➂うちの組織には人材が足りない。

リーダーの皆さんの中には、実は上記の発言をしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。恥ずかしながら、私もかつて言ったことがある言葉です。

しかし、これは絶対に組織のリーダーが言ってはいけない言葉です。

上記の発言を平気でしてしまうしてしまう人は、もしかしたら1人で作業をする時は有能な人かもしれません。しかし言葉は悪いですが、一流の作業者に過ぎず、リーダーとしては不適格と言わざるをえません。

リーダーとしての役割を自覚する

どんなに小さなことだとしても、メンバーは組織に属する以上、何かはやってくれています。そういう人の前で「誰も何もやってくれない」とリーダーが発言したら、メンバーはどんな気持ちになるでしょうか。それ以上やる気、協力する気がなくなるでしょう。そうするともっと動かなくなり、非協力的になります。つまりリーダーは自分で自分の首を絞めているのです。

複数の人が一緒に仕事をする理由は、1人ではできない大きな規模のことをするからであり、そのために組織を組むのです。組織のリーダーに求められることは、組織を動かして皆が機能するようにしてあげることです。

リーダーがやることは、以下の3つに尽きると思います。

①上の「言ってはいけないこと」を絶対言わないこと
②メンバーに適切な任務を任せること
③モチベーションを上げてあげること

これから、この3つについて説明していきます。

絶対に人材は身近にいる

リーダーが言うべき言葉はこれです。「人材は絶対にこの中にいる。」

そう話し続けていると、必ずメンバーの良い所を探すようになります。そうするとたとえ8〜9足りなくても、1〜2は必ず良い所を見つけます。

そうすると、そのメンバーの良い所をどのポジション、任務で活かそうか?と考えるようになります。そうなったらもう簡単です。今ある任務で相応しいものを任せれば良いし、なければ新しい任務を作れば良いです。

そして、できるならば任務を任せる時はその任務のやり甲斐や意義、リーダーから見た必要性を、直接真実に話すことです。メンバーにはリーダーから直接重要な任務を任されたこと、それが一番のモチベーションとなるはずです。

初めの一歩が大事です。「始めたら半分成し遂げたことだ」と言った人もいますが、スタートからリーダーと同じ思いで始められれば、途中多少ズレたとしても一緒に進めることは易しいでしょう。リーダーはメンバーが気持ち良く任務をスタートできるように気を使ってあげることが大事です。

一言の威力

上手くいかない時、自分が本当に苦労している時、その人の人間性が出ます。そういう時、大抵の人は誰かのせいにしてしまうものです。そんな時どうしたら良いのか、私が尊敬する教育者の事例を紹介したいと思います。

彼が本当に困難な状況に直面する時がありました。その時は誰も助けてあげられず、1人で戦い解決するしかない状況でした。その困難な状況を乗り越えた時、何も助けてあげられず申し訳なく思っていた私にかけてくれた言葉がありました。それは、予想だにしなかったもので、ダイヤモンドよりも輝く素晴らしい言葉でした。

「難しかったけれども、最後までやって、勝利した。武器は私を待ってくれている人、私が愛する人たちだった。」

それはお世辞やおべっかのようなものでなく、本当に真実さが込められていました。この言葉は、それまで負い目を感じていた私を完全に肯定してくれた言葉であり、「一緒にやったから勝てたんだよ」と、むしろその過程に共にしていたと認めてくれる言葉で、とてつもない威力を持った言葉でした。まさに感無量の一言、その後、私の心が燃えてやる気になったのは言うまでもありません。

まとめ

リーダーの力は、どこから来るでしょうか?一緒に頑張るメンバー達からです。

では、リーダーの力はどこで失われるでしょうか?やはり、一緒にいるメンバーたちからです。

だからこそ、その力の源であるメンバーを大切にしなければなりません。誰よりも仲間を信じ、愛し、活かそうとすること。それがリーダーの役割です。

それ故に、リーダーが仲間たちにどんな言葉を発するかは、本当に大きいです。

「油断することなく、あなたの心を守れ、 命の泉は、これから流れ出るからである。 曲った言葉をあなたから捨てさり、 よこしまな談話をあなたから遠ざけよ。」(箴言 4:23-24)

この記事を読まれた皆さんが、良き考えを持ち、良き言葉を発して、真の良きリーダーとなられることを祈念しています。