あなたの「観」を変えるメンターとの出会い方

あなたの「観」を変えるメンターとの出会い方

Vol 4 「観」の是正と置き換え

シリーズ「ここに神経を使う人が逸材になる」の第4のテーマは、「観」の是正と置き換えです。「観」とは私たちが現実を認識するフィルターのようなものです。私たちが自分の観をどう認識しどう管理する必要があるか、数回に亘ってお伝えします。

はじめに

私たちは、今まで積み上げてきた経験や学習から、自分の考えや価値観を形成していきますが、それが必ずしも正しい訳ではありません。

土地も大規模な開発・建設や、定期的なメンテナンス、リフォームが必要なように、私たちも人生を生きながら、より良いものを目指して価値観を作り続けていきます。

今日はどのようにしたら、より良い考え、価値観を作ることができるのかをお伝えします。

人間の観が変わる時

私たちが人生を生きていく中で、大きく「観」が変わる時には、下記の2つが挙げられます。

1.未曾有の事態に直面したとき(戦争、コロナなど)
2.メンターに出会った時

1.は、それまで当たり前だったものが当たり前ではなくなる訳ですから、観も人生も大きく変わることになります。

この時に自分1人で乗り越えてくというのは、大変なことです。その時の自分の経験や知識、精神力が頼りではありますが、1.のような場合にも、どんなメンターに出会うかによって、行動や価値観が変わってきます。価値観を新しくしてくれる人に会える人はラッキーで、幸せな人です。

では、メンターとはどのような存在なのでしょうか?

メンターとは

日本メンター協会ではメンターのことを「人間的に信頼・尊敬でき、公私ともに安心して相談できる人」と定義しています。

メンターのイメージ(日本メンター協会HPより https://www.mentor-kyoukai.jp/
 ①  仕事の面でも、プライベートの面でも安心して相談できる人
 ②  どのような相談でも、共に悩み、考え、支え、称えてくれる人
 ③  できる範囲で、有形無形問わず、力になってくれる人
 ④  特別に振る舞うことはせず、ありのままの態度で接してくれる人
⑤  同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話してくれる人
 ⑥  メンティーと共に、成長する人
※メンティー(メンターに支援してもらう立場の人)

メンターとは立場や環境に関係なくなりえる存在であり、メンティーとの信頼関係が最も重要です。部下と上司のような関係では一方的な伝達が主になってしまいますので、時にはメンターとメンティーの関係には相応しくない場合もあります。

メンターにとって大切なのは、「共に」「一緒に」することです。お互いに強い信頼関係があればどのような場合でもメンターでありえますし、メンティーと共に成長していける人がメンターに相応しいとされています。

メンターの役割とは

上記を踏まえた上で、メンターの一番すべき役割は、観を直してあげることだと思います。寄り添ってあげることは必要ですが、ただそばにいるだけでは問題解決や成長はありません。問題や課題に直面している人は、多くの場合なかなか他者の意見を聞き入れようとしないことが多いです。いきなり会社の社長や関係性のない重役から、「最近困っていることはないかね」と話を振られても、自分の悩みや相談ごとを打ち明けるほど、人間は単純な存在ではありません。

だからこそ、そばにいて身近な人こそが、観を直してあげる役割をすることができるのです。その役割を果たせなければ、ある意味でそばにいる責任を果たせていないとも思います。相手の意見を聞き、相手の悩みを本気で考えてあげて、その解決のために自分ができるベストを尽くす。そして、自分の意見を正直に相手に伝える。それこそが、メンターの役割ではないでしょうか。

人は自分が気付かない内に間違った方向に行こうとする時が必ずありますが、本当のメンターを持っている人は間違った方向に行きそうな時に踏みとどまることができます。そして判断を正すことでチャンスを掴めるからこそ、成功し、幸せになれる可能性が高いと思います。

最高のメンターに出会うには、自分もメンターであること

誰しもが、良いメンターに会いたいと思うでしょう。どうやったらそのような存在に出会えるでしょうか?

それは、身近な人に寄り添い、力になろうとする、つまり良きメンターとなろうとすることではないでしょうか。問題がない人、困っていることがない人は、誰もいません。それを声にしていないだけです。ですから、なろうとすれば誰でもメンターになることができる訳です。

自分が誰かの力になりたいと真実に思う人は、その人のためにも自分が学ぼうとし、努力します。他者のために生きようとすることが、結局は自分のためになっているということです。わらしべ長者のように、自分が良きメンターとなれば自分もより良いメンターに会えるようになり、その努力を積み重ねていくことで最高のメンターにも出会えことでしょう。その時は自分も最高のメンターになっているかもしれません。

誰かに変えてもらおうとするのではなく、自分から変わること

いつか出会える最高のメンターをただ待つのではなく、自分が身近な人に寄り添うことで、自分を成長させることが重要です。そして、実は自分が助けていると思っているメンティーを通して、自分が学ばされていることも多いのです。助けようとする相手がいるからこそ、自分が努力することができ、頑張ることができるのです。だからこそ、自分の身の回りにいる人のことを大切に思い、感謝し、誠実に付き合っていかなければなりません。そのように生きる人が、いつの間にかどんな人も学ぼうとする価値観や、考えを備えるようになっていくのではないでしょうか。

「あなたがたは先生と呼ばれてはならない。あなたがたの先生は、ただひとりであって、あなたがたはみな兄弟なのだから。 また、地上のだれをも、父と呼んではならない。あなたがたの父はただひとり、すなわち、天にいます父である。 また、あなたがたは教師と呼ばれてはならない。あなたがたの教師はただひとり、すなわち、キリストである。 そこで、あなたがたのうちでいちばん偉い者は、仕える人でなければならない。 だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう。」(マタイによる福音書23章8〜12節)