つい指摘や注意に反発してしまう人への処方箋

つい指摘や注意に反発してしまう人への処方箋

他人から注意や指摘をされるとついつい、「いや」、「だって」「でも」等々、反発してしまうこと、少なからず誰でもあるかも知れません。自分のことを分かってもらいたい、自分が正しい、しようがない状況だったのを理解してもらいたいとの思いから、ついつい反発してしまいたくなる気持ち、少なからず皆さんも経験したことがあるのはないでしょうか。今回はそんな気持ちが強い方々の傾向をカウンセラーの立場で解説し、自己成長の可能性やキャリアについて一緒に考えてみたいと思います。

「反発する気持ち」自体は起爆剤になり有効

 反発を覚え、「なにくそ!見返してやる。倍返しだ!いや100倍返しだ!」と半澤直樹ばりに克己心を持ち、ものすごいエネルギーで成長していく人もいます。奮起する起爆剤になれば注意や指摘をした人も「すごい!」と見直し、好循環ができれば注意や指摘を活かしながら成長していくビジネスパーソンになる可能性が高いですね。

  重要なのは指摘内容の本質的な内容に目を向けて、仕事や自分自身を改善していき成長していくこと。自らの非を認め悔い改めることができると何皮も剥けたビジネスパーソンとして何段階も上のステージに登り、結果として仕事や自分自身の価値をより上げてあらゆるステークホルダーから支持を得ていけるのが現実かも知れません。

  一方で善意のアドバイスを受けても自分を否定されたと受けて止めてしまい、反発を繰り返し、仕事がつらくなり成長に繋げられず、直ぐに仕事を辞めてしまう人もいます。注意や指摘を受けた瞬間、半澤直樹ばりに「倍返しだ!」となるのですが、反発して終わってしまう。倍のお返しをするどころか、仕事の成果としては25~50%offで結局マイナス、原価割れの冬のクリアランスセールばりに、本来の自分自身の資質を活かせず、価値を下げて売っていくしかなくなってしまいますね。

  世の中の仕事はいわゆる記憶力や計算の速さ・正確さなど受験偏差値の高さにあらわれる「頭の良さ」からく「正しさ」だけでは乗り越えられない厳しさがあります。発想力や柔軟性や、先見性や人を動かす力など、受験競争の中では測られない力が試される。

  質の高い仕事をするためには客観的な改善点などの意見を受けながら地道に仕事のやり方を改善したり、アイディアをブラッシュアップしていく必要があります。泥臭い地道な努力と改善が優秀なビジネスパーソンになるため必要なステップとも言えますね。

過度な反発心の正体は「コンプレックス」と「プライド」

 ではなぜ、中々、人の意見に反発してしまう人がいるのでしょうか。過度に反発してしまう、傷ついてしまう、受け入れられず反発してしまう状況があればその背景には「恐れ」があるのかも知れません。ではなぜ、恐れるのでしょうか。その正体はコンプレックスとプライド。
 コンプレックスを抱く人の前提条件は「人との比較」。基本的に問題となるのは人と比較しながらも「プライドが高く」「自信過剰で」「能力が低い」という3つの要素が当てはまる人がコンプレックスを抱きやすいのかも知れません。
 そして、その3つの要素に生まれ持った本人の素養としての性格が影響を与えてきます。
 その素養は「①現実逃避タイプ」「②上昇志向タイプ」の大きく2つに分類されます。

あなたはどちらのタイプ?現実逃避or 上昇志向

 まず、①の現実逃避タイプの人の場合、根拠のない高い自己評価がある反面、自ら能動的に何かをすることはありません。しかしながら「プライドが高く、自信過剰なため」他人と自分が違っていて優れていることを示し自分のプライドを維持しようとします。それが反発にあらわれます。しかし、現実逃避したい心によって、「自分自身」と向き合うことを避け、現実では「能力が低い」ために最終的に結果が出ず、職場から逃げ、安全な場所へ逃げてしまいます。現実を直視することから逃げてしまうため、「能力が低い」自覚がなく根拠なく「人を見下し」てしまい、職場での信頼関係も上手く築けません。また逃避志向なため「自律心」も育たず、人に過度に依存しながらも「○○しない会社が悪い!!」等、人に対して上から目線で反発を繰り返してしまいます。結果的に、自分を良く見せながらボロが出ると転職のループに入り、経済状況も悪化していってしまいます。

 次に②の上昇志向タイプの人の場合ですが、このタイプ人たちがコンプレックスを抱くと類い稀な能力を発揮するようになります。むしろ、このタイプ人たちの場合、上昇志向であるがゆえのコンプレックスとも言えるかも知れません。上昇志向のある人がコンプレックスを抱くのはある種、自然なことであるとも考えられます。プライドが高いため、常に自分自身を高めるために高い目標を設定し、高い成果を要求します。その目標と現在の自身の能力レベルの乖離こそが、このタイプの人のコンプレックスの原因となりえます。「プライドが高く、自信過剰なため」目標を高く設定しますが、当然ながら「能力が低く」最終的にコンプレックスを抱く。しかし、このタイプの人は上昇志向であるため、常に自らを高めようと努力をする。そして目標を達成した時にはまた新たな目標を設定する。そしてまたコンプレックスを抱えることになる。この循環でこのタイプの人は生涯コンプレックスを抱えながら生きていくことになります。

 若干辛そうですが、それと同時に目標を達成するために生きているため、側からみれば充実した人生にも見えます。経営者や叩き上げの管理職、みなさんの上司に多いタイプかも知れません。

②の上昇志向タイプの人が「指摘・注意に反発」する心自体は決して悪いものではないと捉えられます。重要なことは自分自身を高める志向を持ち、改善の目を自分に向けて成長していくこと。その過程を通して「人との比較」でコンプレックスをもつ次元から本当の能力を身に着け本来持つべき自信が生まれた時に磨かれた人格の持ち主になるのかも知れません。

「指摘・注意に反発する人」の中で現実逃避タイプの人はまず「逃げずに自分に向き合う」ことから始め、簡単な地道な仕事を馬鹿にせずに一つ一つ着実に実践し、小さな成果を出せるようになりましょう。上昇志向タイプの人が輝く仕事はより高い目標を持つリーダーや経営者などの難易度の高い目標のある職種がおすすめです。

まとめ

・「反発する気持ち」自体は起爆剤になり有効

・現実逃避タイプの人は「逃げずに自分に向き合う」ことから始め、簡単な地道な仕事を馬鹿にせずに一つ一つ着実に実践し、ます小さな成果を出すことを目指すこと。

・上昇志向タイプの人が輝く仕事は、より高い目標を持つリーダーや経営者の難易度の高い目標のある職種です。

※本記事は、2019年5月23日に投稿された記事のリメイク版です。