求められる人材の本質~性格スキルを伸ばし成果を上げよう~

求められる人材の本質~性格スキルを伸ばし成果を上げよう~

Vol 5 用いられる自分づくり

シリーズ「ここに神経を使う人が逸材になる」の第5のテーマは、「用いられる自分づくり」です。スキルやノウハウの有無はさることながら、これからの社会・組織で「求められる人」「必要とされる人」「是非共に働きたい人」となるためには何が必要か、数回に亘ってお伝えします。

 コロナ禍で求める人材像

2020年は新型コロナウイルスにより、企業は様々な変革を求められるようになった年でした。中でも大きい変化は、リモートワークの導入です。それまでは一部の企業だけが導入していた働き方でしたが、多くの企業が導入したことにより、全体的に、企業が求める人材像にも変化が出てきました。

リモートワークでは今までより自由に働けることになったことから、誰かに見られていなくても自分自身を律する自己管理能力、指示を待つのではなく、何が不足しているのか、何が必要なのかを見つけ、自ら行動する主体性を求める企業が増えてきています。

また、求める経験については、システムを活用した経験、例えば営業職であれば、オンラインツールを使った非対面の営業経験がほしいという声が聞かれるようになりました。ガッツがあればスキルがなくてもポテンシャルを見て採用し、自社で育てる、という方針から、スキル、経験のある人材を採用し、即戦力として活躍してもらいたいと願う傾向は、コロナ前よりも顕著になってきました。

さらには、コロナによって新しい生活様式が提言され、どの産業がいつ消滅するか分からない状況で、いかに会社のために忠誠を尽くして働いてくれるか、愛社精神も求められるようになってきており、特に経営層は採用活動において、志望動機の強さを重視する傾向が強くなってきています。

企業が求める人材像の本質

帝国データバンクは、2020年11月11日、新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査の結果を発表しました。採用活動において、どのような人材像を求めているかを尋ねたところ、最も高い順番に1位「意欲的である」、2位「コミュニケーション能力が高い」、3位「素直である」、4位「真面目、または誠実な人である」、5位「専門的なスキルを持っている」が上位となったそうです。

2017年2月に実施した「人材確保に関する企業の意識調査」と比較すると、1位から4位については、割合が低下、一方で「リーダーシップがとれる」や「主体性がある」、「問題意識の高さ」を求める企業は増加しているようです。まさにコロナによる特徴と言えます。

割合の増減に注目すると、求める人材像は変化していると言えますが、ランキング上位4つの顔ぶれに変化はなく、コロナ禍において変革が求められても、多くの企業が求める人物像に共通するものは変わらないとも捉えることができます。

人材育成における「性格スキル」

企業が求める人物像を一言で言うと、成果を上げられる人材です。では、成果を上げるためには何が必要なのでしょうか。

企業にとって重要な課題の1つが人材育成ですが、その人材育成において近年注目され始めているのが「性格スキル」です。これは、学力テストで測れる認知能力に対し、テストなどで測れない非認知能力を呼び換えたもので、2000年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学教授のジェームズ・ヘックマン氏の研究によると、人生の成功にはこの性格スキルが大きく関わってきているということが分かってきています。

この性格スキルは「ビッグ・ファイブ」という5つに分類され、具体的には①「開放性」②「真面目さ」③「外向性」④「協調性」⑤「精神的安定性」という性格特徴があります。中でも仕事の成果との相関性は②「真面目さ」が最も高いという研究結果が出ており、これはあらゆる職業において当てはまるようです。

ここで言う「真面目さ」は、「野心を持ち、目標に向かって自分を律しながら、どんな困難があっても粘り強く責任感を持って努力していく資質」であり、「やり抜く力」とも言い換えられています。実際、どのような職種であれ、成果を出している人にはほぼ100%備わっている素質で、このような人材はどの企業にとってもほしい人材です。

怠けずに勤勉に行うこと

人生のあらゆる場面で成功する鍵となる「真面目さ」「やり抜く力」は、10代よりも20代、30代の伸びが大きいことが分かっており、つまり、大人になってからでも十分に伸ばしていくことができるスキルといえます。では、どのようにしてこのスキルを伸ばすことができるでしょうか。

その方法の1つは、怠けずに勤勉に行なうことです。仕事に限らず、普段の生活の中で、何か1つ目標を決めて徹底的に取り組んでも良いでしょう。

ここでポイントになるのは、最後まで続けて限界まで行うことです。登山で言えば限界=頂上まで登ることです。

やっている途中で失敗したり、遠回りすることがあるかもしれません。でも、その時にすべきことがある時、他の仕事に目移りすることなく、集中して、その時にやること、これ以上できない、限界だというところまでやること、計画したことは必ず成し遂げることが大事です。

実際このように行なうのは大変ですし、困難が伴います。しかし、勤勉な人は何があっても行ないます。どんなこともやればできるし、やらなければできません。

自分自身を覆す革命を起こし、人生改革をして勤勉に行なえば、企業から求められる人材になるに留まらず、人生のあらゆる場面でも成功の道を進むことができるでしょう。

まとめ

企業が求める人物像は、時代の状況によって変化するものもありますが、いつの時代も変わらず求められるものもあります。その変わらないものは、世界で偉大な業績を上げた歴史上の人物たちにも共通するものがあり、生まれ持った才能、で終わるのではなく、誰でも行なえばできるものです。

その時に行なうか、行なわないか。まずは生活の中でできていなかったことからでも始めて、自分の人生に革命を起こしてみましょう。

参考文献
『性格スキル─人生を決める5つの能力』,鶴 光太郎 著