天職にたどり着く意外な方法~偶然を味方につけるキャリア形成の勧め~

天職にたどり着く意外な方法~偶然を味方につけるキャリア形成の勧め~

はじめに

皆さんは、今、思い描いた通りのキャリアの道を歩んでいますか?

もし「今の仕事を続けていてもよいのか?」「どうしたら天職に就くことができるか?」などと悩まれているとしたら、それらは”偶然”によって解決するかもしれません。キャリア形成というと「10年後、20年後の未来を予想しその遠い未来に向かって計画的に準備を進める」というイメージを持たれるかもしれませんが、むしろ、次々と自分に訪れる偶発的な機会を、確実に掴むことを心掛けることが重要なのです。

今回は、キャリア形成と偶然の関係、そして何をすればその機会を確実に掴むことができるのかについてお伝えします。

クランボルツ教授の「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授は、20世紀末、数百人のビジネスパーソンをキャリア分析した結果「キャリアの80%以上は予期しない偶然の出来事によって形成される」という結論を導き出しました。

そして、この偶然の機会を計画的にどんどん起こして活用しよう!と提唱しています。これは「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」と名付けられています。

Planned Happenstanceを起こしていく5つの姿勢

「計画された偶発性理論」で紹介されているのは、
①好奇心を持つ
②持続性を身につける
③楽観的に考える
④柔軟性を持つ
⑤リスク・テイキング
という5つの姿勢です。

5つの姿勢について1つずつ見ていきましょう。

好奇心を持つ

自分の関心のあることや心が動いたことは、今の自分とは関係ないからと切り捨てず、ひとまず新しいことを学ぶチャンスとして捉えます。関心と視野を広げ、心のセンサーをいつも働かせておくことです。

持続性を身につける

何かを始めても結果はすぐには出ません。自分の向き不向きや何らかの予想を立てていくにしても、ある程度継続して経験しなければ判断はつきません。最初は上手くいかなくて当たり前なので、ひとまず続けていくようにしましょう。棚からぼたもち的なことをつい期待しがちですが、試行錯誤しながら不断の努力を続けていたから機会を掴んだ、という人の方がはるかに多いのです。

楽観的に考える

物事に対し楽観的に捉え、新しい機会は「必ず実現する」「可能となる」と考えていくことです。例えば、思わぬ異動や転勤を悲観的に受け止めるのではなく、むしろそこから新しく何かを得るチャンスだと思えば俄然やる気が出てきます。物事のどの部分に目を向けるかで見えるものは全く変わります。一見悪く思える出来事も、奮起の材料にしていきましょう。

柔軟性を持つ

「こうでなくてはいけない」「これ以外やらない」という硬直的な考えは自らの限界値を決めてしまうどころか、大きなチャンスを逃す要因になりえます。いつでも変わろうとする姿勢が、自分の視野を広げ、意外な繋がりを生むきっかけになります。

リスク・テイキング

結果が不確実でも行動を起こすことは確かに難しいです。しかし、同じ方法や行動ではいつも同じ結果になるのは目に見えています。だから新しい結果を得たいなら、新しいことをやるしかありません。少々ハードルの高いことでも「やってみよう」と挑戦することで、自分の現在地もわかり、新しい結果が生まれていくのです。

オープンマインドで機会を掴む

上記に挙げた①~⑤をまとめて「オープンマインドの姿勢を持つこと」とも表現されています。待望していた機会も、最初は気付けないほど小さく来るものです。思い込みを捨て、オープンマインドの姿勢があれば、小さな機会に気付くようになります。

そしてその小さな1回1回の機会をはっきり掴んでチャレンジしていくのです。そうしていくうちに経験が重なり、だんだん大きな結果が出るようになって、はっきりと『これが機会だ。今だ!』と分かるようになるでしょう。

まとめ

自分に本当に合った仕事、天職と言える仕事に、”計画的に”就くことができる人はごくわずかです。好奇心と勇気を持って、自分に訪れる偶然に処するとき、想定していなかったキャリアが開けていくかもしれません。

【参考文献】
1.『「選職社会」転機を活かせ―自己分析手法と転機成功事例33』,シュロスバーグ・ナンシー・K著,武田圭太/立野了嗣監訳,2000年日本マンパワー出版発売
2.『その幸運は偶然ではないんです!夢の仕事をつかむ心の練習問題』J.D.クランボルツ/A.S.レヴィン著,花田光世/大木紀子/宮地夕紀子訳,2005年ダイヤモンド社

※本記事は、2020年7月13日に投稿された記事のリメイク版になります。