人を傷つけてしまう「無神経なリーダー」にならないための3つのススメ

人を傷つけてしまう「無神経なリーダー」にならないための3つのススメ

「人を傷つけよう」などとは全く思っていないのに、いつの間にか人を傷つけてしまう、という経験が皆さんにもあるかと思います。人を傷つけてしまうパターンには、以下の2つがあると思います。①自身が鈍感で気付いていないパターンと、②分かって気付いてはいるパターン。いずれにせよ、無神経に人を傷つけてしまうリーダーにならないためにどうしたら良いのか、一緒に考えて行こうと思います。

 

「鈍感で」無神経なリーダー

鈍感リーダーには、天才肌のリーダー、もしくは幸運に乗っていつの間にか出世してしまったリーダーが多いです。あまり苦労やもがきなく自分が人をまとめる位置に就いた場合、なぜ相手がそのような苦労をしているのか理解できないし、相手が求めているようなアドバイスをすることが難しいです。

天才肌で有名な長島茂雄氏ですが、バッティングのアドバイスを求められた時、「球がこうスッと来るだろ、そこをグゥーッと構えて腰をガッとする、あとはバァッといってガーンと打つんだ」と答えたそうです。これを理解し実践できたのは、松井秀喜氏のみではないか、という笑い話もあります。

では、天才肌の長島氏がリーダーとしても成功した秘訣は何だったのでしょうか。私は、長島氏の持つスケールの大きさと人柄が成功の秘訣だったと思います。鈍感なことは問題ではなく、どのような人格かが問題だと思います。自身が鈍感だと感じる方は、日々人格を磨いて「鈍感だけど人格が優れ、人に愛されるリーダー」を目指して、努力していけば良いと思います。

 

「気付いてはいる」無神経なリーダー

こちらに多く見られるのが、叩き上げで成長してきたタイプのリーダーです。打たれながら強くなり、相当な苦労をして成長してきた人がリーダーになった場合、その人が過程の中で培ってきた実力は相当のものだと思いますし、そういう実力のある人がリーダーになることは組織にとって非常に有益です。

反面、懸念されるのは、ストレス耐性が強いリーダーほど、相手の苦労を過小評価しがちだということです。リーダー自身が相当の努力と忍耐の上でやってきたので、相手にも同じように行動することを求めることが懸念されます。「かすり傷は勲章」「石の上にも3年」などの考えがリーダーの信条だと、新卒の半数近くが3年で退転職する今の時代では、時代遅れの「痛い」リーダーになってしまうかもしれません。

こちらのパターンのリーダーも、リーダーとしてステップアップするためには、やはり人格を磨くに限ると思います。「経験豊富で人格が優れ、人に愛されるリーダー」を目指して努力していけば良いと思います。

 

無神経なリーダーにならないためのオススメ3つ

人格を磨く、という話をしましたが、リーダーならば常に学ばなければいけませんし、努力しなければいけません。「人格を磨くために」何を学ぶかはそれぞれですし、実践の仕方もそれぞれだと思います。そのことは今回の論点とは異なりますので、今日は組織にとって「無神経なリーダー」にならないために何をしたら良いのか、具体的に3つをあげたいと思います。

①昔話をし始めたら要注意
②いつも挨拶を心掛ける
③生活に季節感を取り入れる

①昔話をし始めたら要注意

部下や後輩たちに、「僕の頃はこんなに楽じゃなかった」「私はもっと大変だった」という発言をしていないでしょうか?恥ずかしながら、私はあります(笑)。同じ苦労をした人たちと過ぎた日の経緯を分かち合ったり、今享受している価値を分かっていない人たちに気付かせる意味で、過去の苦労話をすることはあるとは思いますが、その話が長くなればなるほど確実に嫌われますし(笑)、ましてや自分が経験した苦労や練達を、同じように強要することは間違っていると思います。

体罰を行なう教育者やスポーツ指導者の中に、「自分もそのように厳しく鍛えられて成長したから、ある程度の体罰は必要」と発言する人も見られますが、私はそういう人は指導者や教育者の資格がないと思います。理由は、その人は主語が「自分」だからです。「自分」というフィルターを通して「対象」を見ているので、「対象」もそうだろう、そうあるべきだ、と自分勝手に考えるのです。指導者や教育者ならば、「対象」となる人を真実に理解し、「対象」を主語として行動するべきです。そして「対象」に目指させる目標到達点を「自分」にしては絶対にいけなくて、「その人にとって最高に水準が高い目標」を一緒に研究し、導いてあげるべきだと思います。

人間は誰もが苦労して生きています。その時代その時代の背負うべき苦労が違いますし、大変でない人はいません。そういう各個人の状況を理解しようとせず、「僕が若い頃は~」なんていう昔話しを始めたら要注意で、あまり長くならないように、そして同じことを相手に強要しないように注意しましょう。

②いつも挨拶を心がける

あまりにも基本的なことだと思いますが、挨拶は非常に重要です。私も教会に行く時なるべく会った全員と、目を見て挨拶をするようにしています。多くの人がいる組織の場合、挨拶だけでしばらく話す機会がないこともありますから、次にいつ会えるか分からない一人一人に対して真心を込めるという意味もありますし、もう1つは「相手に関心を持つ」というきっかけです。このため機会があれば一言を添えるように心掛けます。「髪型かっこいいね」とか「仕事は順調?」みたいな感じですが、そこから会話が繋がることもあり、新しい気付きや学びを得る場合も多いです。

組織のリーダーがいつも現場に行くことが難しかったりすることもありますが、真心を込めた挨拶から現場の状況が見えたり、組織や人々の変化に気付くことがあると思います。リーダーは組織の鏡となるべきですから、もちろん自分の組織以外の人にも、誠実な挨拶を心掛けましょう。

③季節感を取り入れる

人の心や組織の雰囲気などは目に見えないため、敏感であるためには、見えないものを見る力が必要です。これを養うのには、一番良いのは定期的に自然の中で過ごすことです。同じように見えても地球は周り、自然世界は毎日動いていますから。

しかし多忙なリーダーは、なかなか自然の中で過ごす時間がないかもしれません。その場合、身近に季節の花を飾ることでも良いですし、旬の食べ物を食べたり、ファッションに季節感のあるものを取り入れて変化をつけてみることでも十分です。花や植物を身近に置くということでふと目にした瞬間、新鮮な気持ちになりますし、旬の食べ物は私達に英気をくれます。自分がファッションに気を遣うと相手のファッションにも気付くようになりますし、おしゃれだと気分も新鮮で活動的になるため、リーダーがファッションに気を遣うことは非常に重要だと思います。

まずは自分から、変化を楽しめるように工夫してみることが、「脱鈍感」の第一歩ではないでしょうか。自ら変化し続け、それを楽しむ姿勢を追求することも、リーダーの重要なミッションだと思います。

 

まとめ

人にやさしく、自分に厳しく。自身はストレス耐性が強く、メンバーや組織に対しては愛情を持って適切なマネジメントができるリーダーがいる組織は幸せです。皆さんが個性を活かして、組織を発展に導く良きリーダーとなられることを祈念しています。

「あなた自身を良いわざの模範として示し、人を教える場合には、清廉と謹厳とをもってし、 非難のない健全な言葉を用いなさい。そうすれば、反対者も、わたしたちについてなんの悪口も言えなくなり、自ら恥じいるであろう。」テトスへの手紙 2:7-8