仕事へのモチベーションが高い「コーリング(Calling)」タイプとは?
- 2019.11.11
- コーチング
- #やる気, #モチベーションが高い部下, #モチベーションを高める, #使命感
はじめに
2019年度の新入社員は「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ(※1)」だそうです。AIスピーカーの例えには、売り手市場、細かい個別の対応と環境構築が大事、などの意味があります。
新年度毎に発表される新入生の「~タイプ」は、アンケート結果、就活市場、社会経済動向、それまで受けてきた教育などから分析され、名付けられています。新入社員の傾向を掴むために、参考にしている方も多いのではないでしょうか。
新人育成に限らず、人材育成はビジネスにおける大切なミッションの1つです。
「ゆとり世代」とのジェネレーションギャップが一時期よく話題に取り上げられていましたが、仕事への取り組み方は時代毎に変化していくものです。
現代では1980~90年代のような「ひたすら働きたくさん稼ぎリッチに生活する」ことはもはや憧れとされず、「人並みに働き人並みに稼ぎ楽しく生活する」ことを望む傾向にあります。
しかし一方で、仕事そのものが楽しくてしょうがなく、寝る間も惜しんで働く人たちも確実に存在します。その違いはどこにあるのでしょうか?
3つの仕事観
イェール大学で組織行動学を研究するエイミー・レズネフスキー教授の調査によれば、仕事に対しての価値観は3つのタイプに分類されるそうです。
①ジョブ(JOB):お金と生活のための労働
このタイプの人たちは仕事からではなく仕事以外の活動から満足を得ようとする傾向があります。
②キャリア(Career):高い地位と責任のため
仕事は収入だけではなく昇進や名誉を得るための手段です。結果が出なければやる気を失います。
③コーリング(Calling):充実と社会的意義、使命感
仕事そのものに意味と意義を感じており、自分のアイデンティティとさえ感じています。
この中で、「ジョブ」タイプと「キャリア」タイプはお金や昇給など外から与えられる報酬が仕事へのモチベーションです。一方、「コーリング」タイプは自分が内面的に感じる「意義」を仕事のモチベーションにしています。
「コーリング」の仕事観を持つ人は、仕事や人生の満足度が高く、心身ともに健康で成功しやすいことが分かっています。
リーダーとしては、どうせなら自分のチームのメンバーが、「コーリング」タイプであることを願いたくなるのではないでしょうか。
レズネフスキー教授の調査によれば、単純に好きなことが仕事にできていれば「コーリング」タイプになる訳ではなく、その仕事に費やした年数が長い人ほど「コーリング」タイプの仕事観を持つ人が多くなるそうです。
つまり、「ジョブ」「キャリア」タイプのメンバーが「コーリング」タイプに転換するには、まずはリーダーがメンバーのモチベーションを上げて、仕事を長く継続させる努力が必要です。
モチベーションを上げるための方策
『モチベーション3.0』の著書、ダニエル・ピンク氏は、「モチベーションは作業に対してやる気を本質的に感じさせるような、次の3つの心理的欲求を満たさなければならない」と示しています。(※2)
①自律性 Autonomy
労働時間を自分でコントロールしている、自分の行動は重要だと考える。
②有能感 Competence
スキルの上達を感じる、仕事そのものをコントロールしている。
③関係性 Relatedness
他人と繋がっている、連携が取れている。
自律性を培うには、ある程度本人の裁量に任せることが必要です。思った通りに進んでいなくても寛容に待ち、さりげなく方向を示してサポートします。また仕事の指示をする時に、作業の説明だけではなく、その仕事が全体の中でどのような位置付けを担っているのかが分かるように説明すると良いでしょう。
有能感を養うには、少しずつ仕事のレベルを上げ、新しい経験を積める環境作りが必要です。チーム全体が新しいものを積極的に受け入れる雰囲気が作れると、いつも新鮮な気持ちで仕事に取り組めます。リーダー自身が既存性に留まらず、新しい姿を見せていくことも大事です。
良い関係性を作り保つには、顧みることが必要です。仕事を任せっぱなしにするのではなく、積極的にコミュニケーションを取り、惜しみなくサポートしましょう。リーダーが仕事の成果だけではなく、プロセスの段階からメンバーに関心を持ち、できるまでサポートをすることで一体感が生まれます。
もちろん、全員を「コーリング」タイプにできるとは限りませんが、リーダーがメンバーのモチベーションの向上に時間と労力を投資してこそ人は育ちます。
まとめ
今、あなた自身はどの仕事観で働いていますか。
「ジョブ」「キャリア」タイプとしてリーダーの仕事をしている人もいるかもしれません。まずは、あなた自身が「コーリング」タイプになって、リーダーとして喜びをもって働くことが、人材育成の第一歩になるでしょう。
ぜひリーダーシップドッグを続けて読んで、リーダーとしての在り方を研究実践し、スキルアップできることを願います。
※1 株式会社産労総合研究所 「新社会人の採用・育成研究会」事務局HPより
(https://www.e-sanro.net/freshers/?page_id=668)
※2 「やりがいのある仕事」をしている人たちへのインタビューでわかった、驚きの真実 カル・ニューポート:ジョージタウン大学准教授
(ダイアモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/156413)
【参考】
マンガでやさしくわかるレジリエンス(久世浩司著、2015年日本能率協会マネジメントセンター)
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