第四週 コロナで転換される、国際協力の未来と「私」
- 2020.05.25
- キャリア
- #人々が行き来しない国際協力, ♯国際協力の転換期, ♯既存性からの脱却, ♯青年海外協力隊
5 月特別企画「コロナ後の世界」
5月は今私たちが直面している最も大きな問題である「コロナ後の世界」についての記事をお届けしています。
<ごあいさつ>
はじめまして。国際協力業界で働いているBenと申します。
今回はコロナ下で起きた「日本の国際協力の変化」についてお伝えします。
また、その変化を通して自分をどう成長させていけば良いかについても、体験談を交えてお伝えできればと思います。
皆さんの今後の学生生活や社会生活における、何かヒントになれば幸いです。
※そもそも「国際協力って、何?」という方は、こちらからどうぞ↓
【国際協力・SDGs①】国際協力・ODAとは(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=SzOO9TU0wNQ
今までの日本の国際協力って?
今までの国際協力の特徴は一言で言うと、「人々が行き来してこそ成り立っていた」と表現することができます。
なぜそう言えるかを、日本で最も大きな国際協力機関である、JICA(国際協力機構)を例に考えてみます。
海外協力隊や専門家を派遣している
JICAと言えば「青年海外協力隊」と言うくらい、認知度の高いボランティア事業です。
現在までに約90カ国、約45,000名のボランティア隊員を開発途上国へ派遣してきました。
また、JICA専門家はそれぞれの専門知識や技術を持ったスペシャリスト。
途上国からの要請や政府間の国際約束に基づいて、政府機関、研究機関、教育機関等に派遣されています。
活動分野は、教育、保健医療、農業、環境等、多岐にわたります。
研修員を受け入れている
JICAの現場は「途上国」と思われがちですが、実は日本でも行われています。
環境や医療等の開発課題に合わせて「研修」が組まれ、該当する分野毎に途上国から人(研修員)が派遣されます。
彼らは途上国の若きリーダーたち。年間8000人規模で、累計36万人の実績を誇ります。
日本で知識や技術を学び、母国で活躍することを狙いとした、歴史のある事業です。
このように、人々が国々を往来して国際協力は進められてきました。
コロナ発生!世界を取り巻く状況の変化
しかし、コロナ発生によって、国境は封鎖され、人々は海外に渡る手段を失ってしまいました。
つまり、「人々が行き来してこその国際協力は成り立たなくなってしまった」のです。
外出自粛に伴い、先述のJICAでは、海外協力隊、専門家、研修員受入のすべてがストップ状態になりました。
協力隊員や専門家達は緊急帰国を余儀なくされ、途上国の研修員たちは日本への渡航が叶わず、渡航延期状態となっています。
JICAだけではなく、その他の国際機関も大きな打撃を受けており、ニューヨークにある国連本部でも、皆が集まって行なうタイプの会合が開けない状況に陥っています。
今までのやり方では通用しない…それでは今後どのような流れが起こり、どのようにしたら良いのでしょうか。
これからの国際協力はどうなる?
まさに今、「人が行き来してこその国際協力」からの脱却が、必要とされています。
以前の状態には戻れない
コロナパンデミックは、急激にヒト・モノが国境を越えることになったことに起因する、グローバル化の功罪とも呼ばれており、現在の国境封鎖に至っていると言われています。
コロナが静まったとしても、しばらくは以前のようなヒト・モノの動きが取り戻せるとは思えません。
代替手段の検討が進む
その代わりに、オンライン上でのナレッジ(知識・知恵・ノウハウ)の共有や、国際的な基金(クラウドファンディングのようなもの)は更に活発化すると予想されます。
現に、JICA研修員受入事業では、オンライン上で研修を実施することができないか、議論が進められている最中です(例:サテライト講義、Zoomでの意見交換等)。
自分とどう関連付けるか
こうしたコロナ下の変化の中で、私の気付きや体験談を共有します。
簡単に言うと「今までのやり方や自分自身から脱却する」ということです。
今までのやり方に固執していては、時代の変化から取り残される
ある日、上司から「新しい業務手法」が提案された時、私の職場では反応が真っ二つに分かれました。
①「いいですね」と積極的に受け入れ、進めていく人
②「難しい」理由をあれこれ並べ、前に進めない人
②が一概に悪いと言っているのではありません。確かにコロナ下で状況が難しいことも事実です。
しかし、今までの固定概念にとらわれていては、先に進むことができません。
どうすれば困難な状況を打開できるのか、もがきながらでも考え、前進することで、新しいひらめきや発見が、業務にも、そして自分自身にも見えてくるのではないでしょうか。
井の中の蛙→大海を知る
このコロナの期間で、私達には「学ぶ時間」が生まれました。
その時間を用いて私は、知らなかった知識を得、技術を身につけることができました。
①オンライン上でのコミュニケーションツールの活用方法
②オンライン上でのトーク術
③マニュアルの作成スキル
④マネジメントスキル(チームビルディング)
これらを学びながら、「こんな方法もあったのか!こんなこともできるんだ!」と、視野が広まり、私の引き出しが増えたような気がします。
発信できる、自分になる
会得した知識や技術は、発信してこそ周囲に有益をもたらします。
私は得たものを職場に還元すべく、独自のオンライン会議を週3~4回開催し、上記①~④の全てのノウハウを、そのオンライン会議に注ぎ込みました。
結果、スタッフ間のコミュニケーションが活発になり、組織の底上げが成されました。
終わりに~実践の重要性~
私が今までお話ししてきたことは、国際協力業界に特有のものではありません。
私たちがいつでも実践でき、実現可能な事柄です。
「勤勉に実践してこそ、得るべきものを得る。」
いくら素質や才能があっても、行わなければ得ることができません。
開発途上国に携わる私が一番意識していること。それは、途上国の開発に携わりながら、「自分自身を開発する」ことです。
「自分の中」に変化を起こし、続けて自分を開発することによって、日本中、更には途上国にも有益をもたらすことができるよう、これからも実践していきます。
皆さんにも何か有益になれたなら、幸いです。
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