第四週 コロナで転換される、国際協力の未来と「私」

第四週 コロナで転換される、国際協力の未来と「私」

5 月特別企画「コロナ後の世界」
5月は今私たちが直面している最も大きな問題である「コロナ後の世界」についての記事をお届けしています。

<ごあいさつ>
はじめまして。国際協力業界で働いているBenと申します。

今回はコロナ下で起きた「日本の国際協力の変化」についてお伝えします。
また、その変化を通して自分をどう成長させていけば良いかについても、体験談を交えてお伝えできればと思います。

皆さんの今後の学生生活や社会生活における、何かヒントになれば幸いです。

※そもそも「国際協力って、何?」という方は、こちらからどうぞ↓
【国際協力・SDGs①】国際協力・ODAとは(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=SzOO9TU0wNQ

今までの日本の国際協力って?

今までの国際協力の特徴は一言で言うと、「人々が行き来してこそ成り立っていた」と表現することができます。

なぜそう言えるかを、日本で最も大きな国際協力機関である、JICA(国際協力機構)を例に考えてみます。

海外協力隊や専門家を派遣している

JICAと言えば「青年海外協力隊」と言うくらい、認知度の高いボランティア事業です。

現在までに約90カ国、約45,000名のボランティア隊員を開発途上国へ派遣してきました。

また、JICA専門家はそれぞれの専門知識や技術を持ったスペシャリスト。
途上国からの要請や政府間の国際約束に基づいて、政府機関、研究機関、教育機関等に派遣されています。

活動分野は、教育、保健医療、農業、環境等、多岐にわたります。

研修員を受け入れている

JICAの現場は「途上国」と思われがちですが、実は日本でも行われています。
環境や医療等の開発課題に合わせて「研修」が組まれ、該当する分野毎に途上国から人(研修員)が派遣されます。

彼らは途上国の若きリーダーたち。年間8000人規模で、累計36万人の実績を誇ります。

日本で知識や技術を学び、母国で活躍することを狙いとした、歴史のある事業です。
このように、人々が国々を往来して国際協力は進められてきました。

コロナ発生!世界を取り巻く状況の変化

しかし、コロナ発生によって、国境は封鎖され、人々は海外に渡る手段を失ってしまいました。

つまり、「人々が行き来してこその国際協力は成り立たなくなってしまったのです。
外出自粛に伴い、先述のJICAでは、海外協力隊、専門家、研修員受入のすべてがストップ状態になりました。
協力隊員や専門家達は緊急帰国を余儀なくされ、途上国の研修員たちは日本への渡航が叶わず、渡航延期状態となっています。

JICAだけではなく、その他の国際機関も大きな打撃を受けており、ニューヨークにある国連本部でも、皆が集まって行なうタイプの会合が開けない状況に陥っています。

今までのやり方では通用しない…それでは今後どのような流れが起こり、どのようにしたら良いのでしょうか。

これからの国際協力はどうなる?

まさに今、「人が行き来してこその国際協力」からの脱却が、必要とされています。

以前の状態には戻れない

コロナパンデミックは、急激にヒト・モノが国境を越えることになったことに起因する、グローバル化の功罪とも呼ばれており、現在の国境封鎖に至っていると言われています。

コロナが静まったとしても、しばらくは以前のようなヒト・モノの動きが取り戻せるとは思えません。

代替手段の検討が進む

その代わりに、オンライン上でのナレッジ(知識・知恵・ノウハウ)の共有や、国際的な基金(クラウドファンディングのようなもの)は更に活発化すると予想されます。

現に、JICA研修員受入事業では、オンライン上で研修を実施することができないか、議論が進められている最中です(例:サテライト講義、Zoomでの意見交換等)。

自分とどう関連付けるか

こうしたコロナ下の変化の中で、私の気付きや体験談を共有します。

簡単に言うと「今までのやり方や自分自身から脱却する」ということです。

今までのやり方に固執していては、時代の変化から取り残される

ある日、上司から「新しい業務手法」が提案された時、私の職場では反応が真っ二つに分かれました。

①「いいですね」と積極的に受け入れ、進めていく人
②「難しい」理由をあれこれ並べ、前に進めない人

②が一概に悪いと言っているのではありません。確かにコロナ下で状況が難しいことも事実です。

しかし、今までの固定概念にとらわれていては、先に進むことができません。

どうすれば困難な状況を打開できるのか、もがきながらでも考え、前進することで、新しいひらめきや発見が、業務にも、そして自分自身にも見えてくるのではないでしょうか。

井の中の蛙→大海を知る

このコロナの期間で、私達には「学ぶ時間」が生まれました。

その時間を用いて私は、知らなかった知識を得、技術を身につけることができました。

①オンライン上でのコミュニケーションツールの活用方法
②オンライン上でのトーク術
③マニュアルの作成スキル
④マネジメントスキル(チームビルディング)

これらを学びながら、「こんな方法もあったのか!こんなこともできるんだ!」と、視野が広まり、私の引き出しが増えたような気がします。

発信できる、自分になる

会得した知識や技術は、発信してこそ周囲に有益をもたらします。

私は得たものを職場に還元すべく、独自のオンライン会議を週3~4回開催し、上記①~④の全てのノウハウを、そのオンライン会議に注ぎ込みました。

結果、スタッフ間のコミュニケーションが活発になり、組織の底上げが成されました。

終わりに~実践の重要性~

私が今までお話ししてきたことは、国際協力業界に特有のものではありません。

私たちがいつでも実践でき、実現可能な事柄です。

「勤勉に実践してこそ、得るべきものを得る。」

いくら素質や才能があっても、行わなければ得ることができません。

開発途上国に携わる私が一番意識していること。それは、途上国の開発に携わりながら、「自分自身を開発する」ことです。

「自分の中」に変化を起こし、続けて自分を開発することによって、日本中、更には途上国にも有益をもたらすことができるよう、これからも実践していきます。

皆さんにも何か有益になれたなら、幸いです。