天職は自分の中にある!あるものの中から宝を掘り出そう

天職は自分の中にある!あるものの中から宝を掘り出そう

はじめに~誰もが天職を探している

「今の仕事、自分に本当に合っているのかな?」「自分の天職が他にあるんじゃないか?」仕事をしながらこんな考えに陥ったことはないでしょうか?

できることなら誰しも、やっていて楽しく、才能が生かされ、自分にピッタリだと思える仕事に就きたいですよね。最近は若い人でなくても、中高年のセカンドキャリアとして、今度こそ自分に合った仕事を、と考える人も増えています。

今回は、自分の好きなことを仕事にしたい、天職を模索中の皆さんにお伝えしたい、天職を見つけるための2つのアプローチについてお伝えします。

天職の意味

「天職」の語源は「天から与えられた職業」という、宗教的な意味から発生しています。

中世ヨーロッパは教会至上主義、キリスト教の宗教指導者たちは自分たちは神から与えられた召命(Calling)でその仕事をしている、選ばれた存在だと考えていました。

それに対し、ルターは必ずしも宗教的な仕事だけではなく、世俗に生きる各個人が生活の上で与えられた仕事もまた神から与えられた使命であり、そこに優劣はない、と考えました。

現代での天職は「Calling(コーリング)」と言われ、ある職業や役割を熱意をもって自分の人生の目的だと考えて仕事をすることの意味で使われます。

では、天職はどうしたら見つけることができるでしょうか?

天職は自分の中から見つけよう!(内観的アプローチ)

ここでは、天職を見つけるために自分を見つめる3つの内観的なアプローチについてお伝えします。

(1)内発的動機付けがある

人のやる気(動機付け、モチベーション)は、以下の2種類に分けられます。

外発的動機付け:報酬や外部の賞賛など、外から得られるものを得るため
内発的動機付け:知的好奇心、達成感、有能感など、自分の内側からの喜びを得るため

内発的動機は単純に言い換えるなら「好きでいられること」です。

好きでいられるのかについては、以下の3つの視点で捉えられます。

①認知:はっきりと認識している
(例)価値を感じる、達成感があるなど
②情動:心が動く・夢中になれる
(例)テンションがあがる・ワクワクするなど
③欲求:やりたい・欲しいと願う
(例)自分らしく生きたいなど

自分の今やっている仕事を、①②③の視点で捉え直してみます。そして、内発的動機付けと外発的動機付けの割合を数値化してみてください。

天職では、内発的動機付け>外発的動機付けであることが重要です。内発的動機付けが全く思いつかない場合は、外発的動機付けだけで仕事をしているので、長くは続いていきません。困難なことが起こった場合に力を出せるのは、やはり自分が好きでやっていることだからです。

かといって、報酬がゼロではいわゆる「やりがい搾取」になってしまいます。

まず、今の自分の仕事の状況から、自分の内発的動機付けになる項目を考えることで、自分が仕事に求めていることを見直してみましょう。

(2)自分で決められる状況・要因がある

2018年の経済産業省による2万人の日本人を対象にした幸福度調査では、健康、人間関係に次いで、「自己決定」が、所得、学歴よりも幸福度に与える影響力が強いという結果が出ています。

その理由について「自分で人生の選択をすることで、選択する行動への動機付けが高まる。そして満足度も高まる。そのことが幸福感を高めることにつながっているであろう。」と分析されています。

自分で決めたことには、自分が責任を負って努力するので成果に繋がりやすく、達成感が生まれます。人から言われて、仕方なく、状況的に、など外からの要因で決めてしまうと、やる気も上がらず、上手くいかなかった時にそのせいにしてしまいます。適職診断の結果や、人から「あなたは~に向いている」と言われることも、参考にするのはいいのですが、そこに頼り過ぎてはいけません。

自分で決めることには勇気が必要です。取り返しがつかなかったら?今より悪くなったら?という不安もあります。しかし、思い切って決めてしまうと、その時から脳が決めた通りに作動するようになっています。「自分が決めた」という自覚を持つことで、不思議とやる気が出て、行なっていくようになります。

焦らず、時間がかかっても、十分に考えて、自分で決めていくことが大切です。

(3)自分にとって意味や価値、使命感がある

ここでの「使命感」は何かのミッションを達成する、というより、自分にとってはっきりとした意味や価値がある、ということです。

50代でアナウンサーから介護福祉職に異業種転職された方がいます。もちろん1年目は新人扱いです。アナウンサーから福祉の現場への転職と聞くと、もったいないと思いそうですが、本人にとっては必要性を感じ、また新しい世界に飛び込むことが楽しかったそうです。

このように、人からどう思われるかではなく、自分にとって価値や意味があると感じていることが大事です。自分にとっての意味は、今ここだけの点だけで考えるのではなく、過去から現在に続く自分だけの物語の中に見出すことができます。

一人で考えるのが難しければ、自分のここまでの経緯を人に話してアウトプットしてみるのもおすすめです。話す中で、自分が何を大切にしてきたのか、価値あるものだ考えてきたかが整理し、認識されていくからです。

(1)~(3)が重なっているほど満足度は高いといえます。しかし、それをピンポイントで満たす仕事を見つけるのはなかなか難しいです。この3つの要素の割合は人によって違いますし、1つが満たされれば他の2つもなんとなく満たされる、という場合もあります。

「天職」というと、自分のやってきたことの外に何かあるのでは?と考えがちですが、結局は唯一無二の自分の中にあります。すでにあるものなので、安心してゆっくり考えていけば大丈夫です。

ひとまず行動を起こす(行動的アプローチ)

今までお伝えした、自分への内観的なアプローチと同時に、ひとまず動いてみるという行動的アプローチで、さらに天職に近づくことができます。

自分が進んでみたい方向や、気になることがあっても、なかなか行動を起こすのは難しいと感じる人も多いでしょう。私が受け持つ転職のキャリアカウンセングでも、今の仕事を辞めるか辞めないかの二者択一思考や、やりたいことが明確でないなどの理由で、なかなか一歩を踏み出せない状況の方が多くいます。

その場合は、今すぐに仕事をどうこう、ではなく、それに関連する資格を調べたり、すでにその仕事に就いている人から話を聞いてみるなど、ひとまず何かの行動を起こすことをお勧めしています。

実際に触れてみると、当然どんな仕事にもメリット・デメリットがあって、嫌な部分や思っていたこととは違う部分も出てくるでしょう。そうだとしても、行動すること自体が前進ですし、実際に動いて感じることで、また次が見えてきます。その中で自分に「ピン」と来ることが、次の自分の道を決める重要なきっかけになることもあります。

最近はオンラインでのセミナーやイベントも多く開催されています。全然畑違いだとしても、気になるものには思い切って参加してみましょう。

終わりに

今回は、天職に近づくための2つのアプローチについてお伝えしました。

迷った時には、自分の心に正直になって、自分のあるものの中から探していきましょう。今持っていない、足りないと感じるなら、ちょっと大変でも作っていけば良いのです。1つでも行動を起こした時から、また新たな道が拓けます。

決心する通りに、変わっていくので、希望を持って進んでいきましょう。

【参考】
『日本一やさしい転職の見つけ方』,中越裕史著,2019年 PHP研究所
『幸福感と自己決定―日本における実証研究』,2018年 独立行政法人経済産業研究所
『コーリング(天職)は充実した人生をもたらす』,亜細亜大学教授 柏木 仁氏
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000617/?theme=career
『元NHKアナウンサーはなぜ52歳で医療福祉の現場に転職したのか』
https://www.asahi.com/relife/article/14478058
『人と人、地域・制度を結びつけ「その人らしく生きる」支えに』
https://www.asahi.com/relife/article/14499303?iref=rf_article_t