生活を刷新!自分を変える4ステップ

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Vol 3 人望と影響力

シリーズ「ここに神経を使う人が逸材になる」の第3のテーマは「人望と影響力」です。人望がある人とはどんな人なのか?様々な角度から検討していきます。

はじめに

コロナ禍によって「新しい生活様式」に代表されるように、既存の常識からニューノーマル、つまり「新しい常識」に変化していくことが必要とされています。一時的ではなく、これまであった常識を根本から変えてさらに定着させなければいけません。

停滞から脱出しようとする時には、素早い状況判断と提案で、状況を変化させていく人に人望が集まります。

今回は、個人でも組織でも、大胆な変化を成し遂げるための4つのプロセスを説明します。

人に説明できるくらい学ぶ

あることを新しく取り入れるためには、まずは深く学ぶことが必要です。何かを初めて聞いて頭にスッと入っていく人は70 %、80 %ぐらいではないでしょうか。人にはそれぞれ自分の主観や思考があって、自分の考え通りに聞くからです。

学んだことを自分のものにするためには、人に説明できるくらいまでやるのが一つのゴールです。人に話して納得してもらうためには、ロジカルであること、言葉の定義ができていること、否定的な質問に答えられることなどなど、文字通り「深く」知っておかなければいけないことがたくさんあります。何かを説明するにはその10倍の背景知識が必要、という人もいるくらいです。

まずは自分をしっかり納得させ、それを人に伝えられるくらい学びましょう。

現状維持バイアスを外す

私たちには変化よりも現状維持を良しとする「現状維持バイアス」があります。これは損失回避、得をするよりも損失することを避けようとする心理です。

テレワークの導入はだいぶ前から提唱されていましたが、現状維持バイアスが強くなかなか進んでいませんでした。しかし、2020年は多くの企業で導入せざるを得ない状況になりました。その結果、家族とのコミュニケーションが増えた、無駄な残業が減ったなど、やってみてわかったことがたくさんあります。

また、「Zoom飲み」に代表されるオンラインでの会食は、自分の好きなものだけ用意すれば良いし、お酒も強要されず自分のペースでいられるし、人に気を遣わなくて良いからむしろそちらが良いという人もいます。また、遠くにいてなかなか会食の機会がなかった人ともオンラインなら気軽に会食できるというメリットもあります。

オンライン化によって思ってもみなかったメリットが多かったのです。もちろんデメリットもありますが、それをどうカバーしていくかが知恵の使いどころです。

いずれにせよ今までと同じようにやっていては同じものしか得られません。新しいことを思い切ってできないなら、スモール・ステップで試すのも良いでしょう。

現状維持バイアスを外し、実践していくことで新たな活路を開くことができます。

できるだけ早く方向を定める

私たちには「できるだけ多くの選択肢から選びたい」心理がありますが、それが損失を生むことを知っておきましょう。

行動経済学者の、ダン・アリエリー教授の著書『予想どおりに不合理』で、パソコン上で学生を対象に行った「扉ゲーム」という実験と結果が紹介されています。

【基本ルール】
・赤、青、緑の扉があり、それぞれの部屋に賞金が割り当てられている。
・100ポイントが与えられ、扉を開くごとに1ポイントを消費する。
・最大限賞金を稼ぐことがミッション。

実験①基本ルールのみ
実験①の結果⇒学生たちは一番ポイントを稼げる部屋を見つけ出し、ゲーム時間が終了するまでその部屋にとどまった。

実験②
条件)1回開くごとに開かれなかったドアはだんだん小さくなっていく。12回開くうち、1回も開かれなかったドアは消滅する。
実験②の結果⇒学生たちはパニックに陥り、他のドアが消えていくプレッシャーのために、部屋から部屋へと移動してしまい、1つの選択肢に落ち着くことができなかった。実験①より賞金額が15%減った。

実験③
条件)実験②の条件に加え、1回扉が消失しても、1クリックで復活する。
実践③の結果⇒実験②と同じ


そのほか、事前に何度も練習させる、各部屋から得られる賞金額を先に伝えるなど行いましたが、いずれの結果でも実験①を超える額を稼ぐことはできなかったそうです。

選択肢を失うかもという心配は正しい判断を鈍らせます。また、複数の選択肢は可能性がありそうですが、そのままでは実現していきません。

もちろん焦らず検討する時間は必要です。それをいかに短縮し、方向を定めるかがポイントです。退路を断って方向性を絞ることによって、行なうことが明確になり、変化を推進する力になります。

行ないながら作っていく

知識として学んだことと、それを実践することは違います。

全部を完璧に計画していても、思わぬトラブルが生じることは日常茶飯事です。また、やってみてもっといいアイデアが浮かぶことがあります。

フィギュアスケート選手をはじめ、トップアスリートには「練習日誌」をつけている人が多くいます。単に練習した内容や成功・失敗の結果だけではなく、何をしたからその結果になったのかという過程、自分の気持ちや気付きなどを書くことで、思い描く未来の自分になるために、現在の自分は何をすれば良いかを考えるそうです。

はじめはうまくいかなくて当然、くらいの気持ちで始めると良いのではないでしょうか。

やりながらさらに知識も得、もっと良い方法が浮かび、予想よりももっと良い結果を得ることもあるのです。

まとめ

今回は、大胆な変化を推進する4つのプロセスについてご紹介しました。

新型コロナの感染拡大で、国内外で大きな転換が起こりつつあります。

日本ではテレワークの導入という働き方の変化が目立ちました。また、芸術の分野では配信ライブなど新たなビジネスモデルが生まれつつあります。

お隣の韓国では、思いがけず宗教施設と信仰の在り方に目が向けられるようになりました。礼拝を捧げるために人々が教会に集まったことで感染が拡大してしまったことは記憶に新しいと思います。すでにオンラインの礼拝を導入していたところでは、すぐ集まることをやめ、感染者をほとんど出さずに済んでいます。
日本でも韓国でも、素早い状況判断で既存の方法から抜け出し、大胆に新しい方法を取り入れた分野や組織が一歩リードした印象です。

それぞれの国や地域、個人で取り組む課題は違いますが、求められる変化を後ろ向きに捉えず、新しい発想をもって大胆に変化を遂げて前に進んでいきたいですね!


<参考文献>
『Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法』ロルフ・ドベリ著/安原実律訳,2020年,サンマーク出版
『予想どおりに不合理増補版 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー著/熊谷淳子訳,2010年,早川書房