大きく使われる人になるために~甲斐のある人生とは?~

大きく使われる人になるために~甲斐のある人生とは?~

Vol 5 用いられる自分づくり

シリーズ「ここに神経を使う人が逸材になる」の第5のテーマは、「用いられる自分づくり」です。スキルやノウハウの有無はさることながら、これからの社会・組織で「求められる人」「必要とされる人」「是非共に働きたい人」となるためには何が必要か、数回に亘ってお伝えします。


はじめに

自分が「無視された」「蔑ろにされた」と感じることは、誰もが一度は経験したことがあるかもしれませんが、本当につらいことです。自分が存在している以上、「用いられる」「必要とされる」ことは幸せに生きる上で重要です。今日は「用いられる自分作り」と「甲斐のある人生」についてお話していきます。

誰に用いられようとするのか?

まず大事な問題は「誰に用いられようとするのか」ということです。例えば、アメリカ合衆国大統領に用いられるならば、それは名誉あることかもしれませんが、政権は4年で変わりますから、その政権だけに好かれ用いられるように自分を作ると、幸せは続きません。政権が変わっても続けて用いられるように、普遍的な価値を持った自分に作っておくことが本質的な生き方です。

このように、大きな権力に用いられて栄華を極めたように思っても、その後用いられなくなったり、後で後悔するような用いられ方をするならば、一時的な満足に過ぎません。富や権力、肩書のある人に用いられることで人間の価値が決まるのではありません。

私は「天に用いられる」ような生き方ができれば、幸せではないかと思います。ここでいう「天」とは、天地・万物を治めるもの、悠久の法則や理法のことを意味します。つまり、時代や国を超えた大きな歴史の中、人類に有益となるところで用いられるならば、甲斐のあることではないでしょうか。そのためには、人生の意義や目的、非物質的なことに価値を見出す生き方が重要です。

人に使われることを辞める

どんな立場やポジションでも、自分がやりたいことだけをやって生きることは難しいです。その時に「やらされている」と思って行動すると、行動への活力がさらに失われます。

大事なポイントは、誰かから依頼された仕事だとしても、「この人に使われている」と思わず、自分で行動の意味付けをすることです。

自分がやりたいことができる時、幸せ、生きがいを感じるのであり、やりたいことがあるのにできないから不幸だと感じます。食べたいのに食べられない、寝たいのに眠れないときに不幸だと感じるので、「やりたいことがあるのに、頼まれた仕事ばかりやらされて時間がない」と思う時、不幸だと強く感じるのです。

だからこそ、自ら判断し、行動的な人になるべきです。依頼された仕事も自分で「本当にやるべき範囲はどこまでか」を考えながら、自分の行動を取捨選択していくべきです。

私が事業主の方や経営者の方とお話する時に感じることは、相談事や仕事の依頼が来た場合「ありがたい」とおっしゃる方がほとんどだということです。皆さんほぼ多忙な方々ですが、「仕事をくれること、必要としてくれていることは幸せだ」という考えをお待ちです。

一方で従業員として働く方の多くは、仕事が来ると「何で自分がこれをやらなければいけないのか」「忙しいから無理」といった反応を示すことがあります。私はこの考え方の差が、人生の満足度と将来の到達地点を変えるのではないかと思います。

大きい計画、大きい考え、大きい行動

仕事を依頼してきた人がたまたま上司やお客さんだっただけであり、「これは天が今の自分に与えた仕事だ」という考えを持てると、仕事への取り組み方が変わってきます。

人との出会いは自分で選ぶことはできず、出会いを「縁」や「運命」と捉えることがしばしばありますが、「仕事」にも同じことが言えると思います。

「今の、将来の自分にとって必要だからこの仕事が与えられた」と考えるならば、取り組み方や得るものも変わってくるのではないでしょうか。

その仕事を行なうにあたり目標とすることは、単に業務を終わらせるだけの小さなことではありません。その仕事を経験させ、将来大きく用いようとする「自分に対する天の計画」があると信じてみてはどうでしょうか。

大きい計画、大きい考え、大きい行動です。大きく行動するためには大きい将来、大きな未来を信じることが大事です。

仕事を通して成すべき自分の成長があり、得るべきものがあります。短期的なものとしてはスキルに近い能力が多くなりますが、大きな目標に向かうことがエネルギーとなります。誠実、責任感、平和、寛容など、目指すべき理想とする価値観の形成に向かって、目標を持って行動していけると良いと思います。

自分にも評価軸を置く

「天に用いられる」という考えと同時に、自分「自ら働いている」という考えも必要です。

例えば会社でゴミ掃除の仕事を頼まれたとして、「自分はこんなことをするためにこの会社に入ったんじゃない」と思ったとしても、経営者からするとゴミ掃除も、どんな業務も重要です。面白くない業務や仕事を任されたとしても、「業務を自分に依頼した経営者の視点」で行動すると、仕事の質や視野の広さが変わってきます。

「NASAの清掃員」という有名な話があります。

NASAで清掃員をする人が、自分の仕事について聞かれました。皆さんならどう答えますか?

その人は「ロケットを飛ばす仕事をしています」と答えました。「私は掃除をすることで、人類を月に送ることに貢献しています」。

この清掃員には、自分の仕事に対する自負心と誇りがあったのでしょう。

仕事を依頼された時「私にこの仕事を頼みましたね?ならば!」という気概を持って取り組み、依頼主の期待を超えるような仕事を行なおうとすれば、仕事の質は変わり、相手にもその真心は伝わると思います。仮に伝わらなくても、自分がその仕事を通して成長することができます。

仕事を依頼してきた上司やお客さんから、その仕事に対する評価はされますが、自分自身の価値や存在意義まで評価されることはありえません。その仕事に対して、自分がどれくらい誠意と情熱を持って取り組めたか、自分がどれだけ学び成長できたのか、分かるのは自分だけです。

自ら新しい挑戦を求めていく気質を磨く

最後に実際に行なう上で意識すべきことが、「新しくする」ことです。同じような仕事だと思ったとき、「やらされている」「何でいつも同じことをしなければならないんだろう」と思うようになります。実際に同じように見えても、前回やった時と経験も取り巻く環境も変わっているため、新しくやろうと思えばいくらでもできます。

季節が移り変わっていくように、天の大きな流れも動いていますから、過去にとらわれずに新しく挑戦し続けることが重要です。枯れた草花を育てても芽は出てきませんが、生きた草花は変化するように、自分が生きている限り新しく芽を出し花を咲かせるものが必ずあります。

そのためには「新しくする」「実践する」という自分の気質を磨いて、トライしていくのです。

新しいものを求めていくと、びっくりすること、衝撃や感動を受けることが必ずあります。ウサギはびっくりしたら走るように、私たちも驚いたら行動するようになります。常に新しく変化させるという、気質を持ち続けることが重要です。

まとめ

健康長寿時代を迎えて良いこととしては、自分を作りさえすば、使える時間が長くなっています。自分の価値を、今の周りの人の評価や仕事で測ることなく、天という大きな視点の中で作り続けていければ、必ず必要とされ、甲斐を持って生きることができると思います。私たちの未来は、今、どう行動するか、どう作るかにかかっているのです。

「自分で自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、確かな人なのである。」(コリント人への第二の手紙10章18節)