『やりたいこと』にこだわらない就活のススメ
- 2022.02.24
- キャリア 生き方
- #やりたいことシンドローム, #人事のプロの視点, #有能でも採用されない
はじめに
私は専門商社で約10年間、新卒採用担当をさせていただいておりました。文系理系を問わず年間5000人もの学生さんとたちと面接をさせていただく際、社で定めている採用基準とは別に、人事のプロとして”質の高い人材を見極めるために外せない視点”をいくつか持って面接に臨むようにしてきました。今日はその中の1つの視点をご紹介させていただきます。
「やりたいこと」という職業選択の軸
就活をする際の軸として、【自分の】やりたいことができること。を会社選びの優先順位の上位にあげる方が多いです。一見、正しいように思えますが、実はここですでに、『人望がある人とそうでない人の違い』が表れます。
【自分の】やりたいことができるか、【自分の】所属部署はどこになるのか、等も大事な軸ではありますが、自分目線、【自分の】「ために」を最優先に就活や転職活動をする人を積極性に採用する企業が多くはないと思います。
なぜでしょうか?
【自分の】「ために」だけを考える人は、入社後、会社が期待する活躍をしてくれる可能性が低いからです。
では、会社が期待することとはどのようなことでしょうか?
「部分最適」と「全体最適」
「部分最適」と「全体最適」という言葉を用いて、ご説明させていただきます。
「部分最適」とは全体の中の一部や個人だけが最適な状態を優先する考え方を指します。自分だけ、或いは、自部署だけが最適だとしても、会社(経営者)としては、嬉しくありません。就活の軸で、【自分の】有益だけを考える人、つまり「ために」が自分だけに向いている人は、「部分最適」の発想で、そのような仕事しかできない傾向があります。
一方で「全体最適」とは、組織全体が最適な状態になることを重視する考え方を指します。「ために」の範囲が広い人は「全体最適」の発想を持って、仕事を行なえる傾向があります。自分、自部署を越えて、会社全体、社会がより良くなるためにという視点を持って働いてくれることを会社(経営者)は期待します。
どんなに有能でも連携しないと意味がない
就活生の中には「いかに自分が有能か」をアピールする人も多いですが、就活生に限らずどんなにビジネスパーソンでも部分最適の仕事しかできない人は、組織全体への貢献度が上がりません。部分最適は、ある人、ある部署、あるプロジェクトの生産性を上げることはできますが、全社的な生産性は下げてしまうことがほとんどだからです。
仮に社内の人材を総入れ替えし、全員をプロフェッショナルにしたとしても、その人たちが”自分のやりたいことの実現”を中心にして仕事をするとしたら、やはり部分最適化した状態となり社としての業績向上は期待できないでしょう。
大切なのは全体最適を目指すこと、そして連携による全社的一致です。
人材の採用時にあっても、全体最適を考えられる人なのか、連携して仕事ができる人なのかという視点は、人材を見る上で欠かすことができないのです。
まとめ
今回は、自分が「やりたいこと」を軸に就活をする学生の話をいたしましたが、より大きな視点をもって全体最適を考えられる人が就職活動でも有利になることは必至です。そのような人の周りには自然と人望が集まり、多くの仕事が集まることになると言えるのではないでしょうか。
※本記事は2021年1月7日に投稿された記事のリメイク版になります。
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