外資系企業で活躍し続ける日本人女性が伝える「人材の育て方&活かし方」<後編>

外資系企業で活躍し続ける日本人女性が伝える「人材の育て方&活かし方」<後編>

リーダーシップドックでは、各界で活躍するビジネスパーソンのマインドに焦点を当て、「日頃どんな考えや精神で仕事に取り組んでいるのか」をお聞きする「一流ナビ」シリーズをお届けしています。

前回から、外資系グローバル企業で研究開発部のシニアマネージャーとしてご活躍中SACHIさんにお話をお聞きしていますが、後編となる今回は、大人になってからの成長や理想的なチームの在り方についてご教示いただきました。

リーダーシップドック 外資系

大人になってから成長するコツは、成長課題を言語化し、具体的なステップを描くこと

―ご自身が受けられた人材育成のためのプログラムについて教えてください。

ラインマネージャーのためのプログラムは多くありますが、初めは採用を学びます。どんな人を採用するのかから始まり、採用した社員が軌道に乗った頃に個人に合った能力開発プログラムを設計していきます。と同時に、1人が投入されることでチームにも変化が起こるため、チームの成長のことも考える必要があります。そのため、モチベーションも高く、アウトプットできるチームを作る方法を勉強します。また、チームを運営していると、困難ことが起こってくるので、その対応についても学びます。

―仕事のやりがいについて教えてください。

人や組織の成長を、実際に見て感じることです。チームの主流は、若手でも定年間際でもない30~50歳の人たちで、ほとんどが中途採用です。大人が成長するのは難しいと思われるかもしれませんが、目標と能力開発プランを立て、実行すれば確実に成長できます。「ここで頑張ろう!」と希望をもって新しく入ってきた人が変化し、成長していく姿を見ることに、喜びとやりがいを感じています。

―成長を感じるポイントは?

ラインマネージャーに就任したのは、2019年ですが、それまでの経験を存分に活かし、人材育成にも励んでいます。

「キャリアの主体は、上司ではなく本人にある。」と言われる通り、成長は自分が望むことから始まります。だから、成長意欲のなかった人が、成長したいと思えることが最初の一歩。そして、ともすると日本企業では曖昧になりがちなネガティブフィードバックを通して、自分の成長課題を考えてもらいます。それにより成長課題が言語化され、具体的になると希望が見えてきます。

そこから現在地、1年後の自分の位置などを考えていきます。成長はあくまでも本人が主体、私の責任はコーチングです。力添えとして、途中経過を聞く、アドバイスをする、アイデアを出すなどしています。

目指すのは、一人ひとりの個性が十分に活かされ、バランスのとれたチーム

―部下をサポートする際に気をつけていることは何ですか?

現在はリモートワークと対面のハイブリッド出勤。関係性を作りたい人とは同じ日に出勤するよう調整しています。オンラインで入社した人は、周りと関係を築きにくいので、特に気を遣っています。全員での出社日も決めて、人と人が上手く繋がっていけるよう配慮し、会いたい人にはさりげなく会えるようにしています。

―SACHIさんの考える理想のチームとは?

私が考える理想のチームは、以前海外で見た造形作品のようなイメージです。その作品はそれぞれのパーツが際立っていて、経緯があって、配置される場所に意味があって、絶妙に調和しているものでした。開発チームにいる人たちは、本当に個性的で一人ひとりが作品のような人たちです。その際立つ個性を大事にしながら、お互いの個性と強みを理解し、1つになって調和できるチームを目指します。また、弱みを無理やり直すのではなく、強みを生かすことに力を注ぐ方が良い結果に繋がると考えています。

後継者の育成、そしてまた新たなチャレンジを!

―次の目標は何ですか?

2年くらいでチームのベースができ、各パーツは揃ってきました。次は一人ひとりの個性をどう活かしていくかが課題です。そして、自分がいつ異動しても良いように、次期リーダーの育成もしなければいけません。また、私の専門であり、製品開発では珍しい消費者リサーチ分野に特化した後継者の育成も必要です。

そして、自分の強みを活かせる新しいことにも挑戦したいと考えています。製品開発は、新しいコト・モノを自分で生み出せるところが好きです。性格としても新しいことをどんどんしたいタイプなので、新しいチャレンジをすることで、また成長できると思っています。

自分の人生のリーダーは自分!

ーリーダーシップドックの読者へ、メッセージをお願いします。

キャリアについて考える時におすすめしているのは、森岡毅さんの著書『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』(2019年,ダイヤモンド社)です。

キャリアの正解は1つではありません。日本人にありがちなのが、「この1つができないと失敗だ」と捉えること。成功・失敗の両極で捉えるのではなく、まず自分の現在地を確認し、「自分のキャリアって何だろう。これから何をしていこう」と改めて意識してみることで、自分らしい働き方、生き方が見つかっていくのではないでしょうか。

新卒で入った外資系企業では、「リーダーシップは人の上に立つ人だけでなく、すべての人にリーダーシップが必要です。」とはっきり言われました。自分の人生のリーダーは自分です。シンプルに、自分の好きなこと、心地良いことについて考えることは、自分らしさを見つけるヒントになります。自分らしい生き方をしながら、生きる目的を主体的に考える人が増えることを願っています。

(インタビュアー:AI)

外資系企業で活躍し続ける日本人女性が伝える「人材の育て方&活かし方」<前編>