問題解決の基本プロセス

問題解決の基本プロセス

はじめに

問題解決能力はあらゆるビジネスパーソンに求められる能力です。営業の仕事をされる方であれば、問題解決能力はソリューション営業の基礎になります。また組織のマネジメントに関わる方であれば、問題解決能力の有無によって組織の明暗が分かれると言っても過言ではありません。

今回は、問題解決への取り組みの基本プロセスをご紹介します。

問題解決のためのステップ

問題解決は、概ね次の5つのステップで進められます。

1)問題発見・認識
2)調査・原因分析
3)解決策の立案
4)解決策の実行
5)確認・振り返り

問題発見・認識

問題を問題として認識するところから解決への道のりがスタートします。外部から見た時には問題があるように思えても、当事者が問題を問題として認識することがなければ、問題解決のスタートラインに立つことができません。

さて、問題は次の 3 つに区分することができます。
・顕在化した問題
・潜在的な問題
・あるべき姿とのギャップ(課題)

1つは既に発生している問題です。例えば、納品ミスによって顧客からクレームを受けた等が典型例でしょう。もう1つは将来発生する可能性が高い問題、潜在型の問題とも言えます。そしてもう1つが、将来のあるべき姿と現状の間にあるギャップとしての問題です。この問題を「課題」と表現する場合もあります。

一般的には、既に発生している問題、顕在化した問題だけを問題と認識することが多いですが、潜在的な問題やあるべき姿とのギャップも問題として予見できることが、ビジネスパーソンにとって重要です。

調査・原因分析

次に、問題の原因を調査し分析します。

例えば「営業組織の売上が伸び悩んでいる」という問題を発見した場合、「営業担当者の頑張りが足りない」「努力が足りない」等と即座に判断を下す前に、売り上げが伸び悩んでいる原因を多面的に調査し分析する必要があります。「マネジメントが行き届いていない」「担当エリアが広すぎる」「教育が徹底していない」「競合他社の戦術に押されている」等、様々な原因が考えられるでしょう。

また、原因は1つだけとは限らず複合的に絡み合っている場合もありますので、それぞれの原因を整理し問題を取り巻く諸状況も確認した上で、原因の順位付けを行ないます。

解決策の立案

2)調査・原因分析で明らかになった問題の原因を詳しく調べた上で、問題を解決するための策を考えます。

解決策は1つだけではなく複数立案することが望ましいでしょう。解決したい問題が1つであっても、そこに至る手段は複数あるという認識を持つことが、問題解決を効果的に進める上で不可欠です。

複数挙げた解決策の中から、効果の大きさや状況を考慮して、相応しい策を選定します。

この際、1つの解決策を選んで実行した場合に生じる他への影響や、起こり得る弊害も検討すべきです。

例えば、「売上が伸び悩んでいる」という問題の原因が「マネジメントが行き届いていない」ことにあると分析した結果、「管理職を増やす」という解決策を考え、実行したとします。その結果「マネジメントが行き届いていない」という問題は解決するかもしれませんが、そのことによって「人件費が上がる」、「会議が増える」等、別の影響や弊害が出る可能性があることも、考えなければなりません。

解決策の立案においても解決策の選定においても、「1つのことだけを考えて他を考えない」ことがないよう注意が必要でしょう。

解決策の実行

解決策を実行する計画を立て、確実に実行します。

実行に移したら、途中で止めずに完結するまで継続することが大切です。中途半端な実行は、5) の確認・振り返りを困難にします。

確認・振り返り

問題解決が進んだかどうか、期待した結果と比較して評価します。

解決しなかった場合、また解決が不十分な場合、その原因を分析し新たな対策を講じます。以上、5つのステップを漏れなく実行することが、問題解決の基本となります。

まとめ

問題解決のための各ステップはどこが手薄でも効果的に問題を解決することが難しくなります。

問題を早く解決しようとして、適当にプロセスを進めてしまうと、後から大きなつけを払うことになります。

問題解決においては、「一つのことだけを考えて他を考えない」ことがないよう重々気を付ける必要があるでしょう。

※本記事は2021年7月29日に投稿された記事のリメイク版です。