こんなに変わる!「聞く・聴く・訊く」でコミュニケーションの達人に!
- 2023.09.01
- コミュニケーション
- #アクティブリスニング, #人間関係, #信頼関係, #対人関係
人間関係をより良くしたいと願う人は多いのではないでしょうか。
今回は、3つの同音異義語、「聞く」「聴く」「訊く」の言葉を使って、どんな場所でも、良い人間関係を作って気持ちよく過ごすコツをお伝えします。
3つの言葉の意味の違い
まずはこの3つの言葉の意味を確認しておきましょう。広辞苑や類語辞典を見ると、おおよそ以下のような意味の違いがあります。
①聞く:
音や声を耳に感じ認める。受動的に耳に入ってくる。
②聴く:
聞こえるものの内容を理解しようと思って聞く。能動的に注意深く耳を傾ける。
③訊く:
頭で考え、知りたいことを尋ねる。質問を発して相手の考えや情報を聞き出す。
どれも言語やコミュニケーションに関わる言葉です。「聞く」はどちらかと言えば受動的、「聴く」と「訊く」は、より積極的で能動的な言葉になります。
「聞く」で、場を掴む
あなたの職場では、どんな音がよく聞こえていますか?
機械音、打鍵音、電話の音などなど。何気なく聞こえてくる音の中からも得られる情報があります。
【例】
・1日の電話の回数
・来客や会議の頻度
・対話の頻度(よく対話するか、あまりしないか)
・声のトーンや音から分かる人間関係
他にも、その職場ならではの音があり、そこから得られる情報があります。
視覚的な情報は、自分の視野に入ると感知することができます。同じ場所にいても、見た人は知っているし、見ていない人は知ることができません。一方、音からの情報は視野に入らずともある程度聞こえてしまうため、より広い範囲の人が感知し、知ることができます。
つまり、私たちは、何気なく聞こえる職場での音から、思っている以上に多くの情報を得て、影響を受けているといえます。
音には場の空気を作り出す力があります。職場で何気なく聞こえている音を改めて把握することで、職場の状況が分かります。そして状況が分かれば、判断力が磨かれます。
新しい場所に行った時は、そこで聞こえてくる音に耳を澄ませてみてください。思ったよりも多くの情報が含まれているはずです。
「聴く」で、信頼を築く
「傾聴」や「アクティブリスニング」という言葉を聞いたことはありますか?
相手の話を聞く時の姿勢として、最近よく使われる言葉です。
言葉は、耳で感知し、脳がその音を言語として理解することで初めて伝えることができます。誰かが話していても、他のことを考えていて、内容は全く頭に入っていなかった、という経験があるかと思います。内容を分かろうと、積極的に「聴く」ことで、相手からのメッセージを受け取ることができます。
新しい職場や場所で人と話す時は、まず「聴く」ことに集中してください。
アメリカの心理学者で、カウンセリングの基礎理論と築いたカール・ロジャーズは、聴く側の原則として以下の3つのことを提唱しました。
①相手の立場に立ち、気持ちに共感しながら理解しようとする(共感的理解)
②相手の話を、善悪の基準や自分の主管で否定せず、肯定的な関心を持って受け入れること(無条件の肯定的配慮)
③相手に対して嘘のない態度で、分からないことがあったら素直に伝える(自己一致)
簡単に言えば、共感すること、相手を受け入れること、裏表なく接すること。これを心がけるだけで、相手からの信頼度はグッと上がります。
特にテコ入れなどの理由で、新しい職場で上の立場に立つ人は、部署の現状だけを見て判断せず、まず部下の話を「聴く」ことから始めてみてください。改革や変化を起こすのは、信頼関係ができてからでも遅くはありません。
「訊く」で、相手の話を引き出し、やる気を起こす
対話している相手が、質問をいろいろしてくるので、話す予定のなかったことまで話してしまった経験はありませんか?
「訊く」は「尋ねる」、つまり答えを求めて質問をすることです。
対話の中での質問は、「あなたやあなたの話の内容に興味を持っています。」という意思表示です。対話中に質問をすると、された側は自分への期待を感じ、相手が興味を持ってくれていると分かり、自信とやる気が湧いてきます。(ただし、悪意のある質問は除きます。)
ポイントは、一方的に質問するのではなく、「聴く」の基盤の上で「訊く」ことです。自分を信頼してくれている、受け入れてくれていると感じる相手には、心を開いて答えようとするからです。
「聴く」の中に「訊く」を適度に入れることで、より対話の内容が深くなり、相手のやる気を起こし、良い場の雰囲気と人間関係を築くことができるようになります。
まとめ
今回は、「聞く」「聴く」「訊く」の3つの行動で、良い環境と人間関係を築くコツについてお伝えしました。
最後にもう一つ。
人は、話している言葉と本心が違う場合があります。しかし、表面的に話を聞くだけでは、違っているということすら気づくことができません。
だから、先入観を捨てて相手の話を真摯に「聴く」ことで、信頼関係が生まれ、より深く知ろうとして「訊く」ことで、深い心の内を話してくれるようになります。
新しく出会った人だけではなく、身近な家族や友人と話す時にも「聴く」と「訊く」を意識して、お互いがより居心地の良い人間関係を築いていきたいですね。
【参考文献】
『頭のいい人は「場の空気」が読める!』中島孝志著,2005年青春出版社
※本記事は、2022年3月31日に投稿された記事のリメイク版です。
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