成果を上げ続ける人が行っている”価値観の更新”とは?
- 2024.03.08
- キャリア 仕事術 生き方
- 価値観と考え方を振り返り改める, #変化を受け入れる苦痛, #成功体験への固執, #素直さと柔軟さ
はじめに
私たちが何か行動を選択する時、その人が持っている価値観に基づいて行動を選択していきます。この価値観は自分自身が成長していく中で親や周囲の人から様々な教育や保護を受けながら身に付け、また、学校生活や部活、友人と関わる間に自然と形作られたものです。
就職してからも所属する会社の中で上司、先輩、同僚と関わる内に自然と身に付いていきます。
価値観は判断の軸であり、揺るがないものになると「信念」となっていくのですが、成長していく上でこの価値観を変えることが重要になっていきます。
この価値観について確認していきましょう。
広辞苑では、
価値観とは
何に価値を認めるかという考え方。 善悪・好悪などの価値を判断するとき、その根幹をなす物事の見方
とあります。
ものごとの見方になるため、普段意識していなくとも、人は価値観に基づき、判断し行動していることになります。
価値観がどのように影響するのか見ていきましょう。
努力しているが上手くいかない人
こんな状況に陥った人を、見たことはありませんか?
営業マンのAさん。新規顧客を開拓するミッションを与えられ、一生懸命テレアポから訪問を繰り返すが、半年以上経っても中々成果が上がらない。上司や同僚からも「○○してみては?」「やり方をBからCに変えては」言われたことはやってみたけれど、どれもいまいち成果に結びつかない。焦って営業テクニックの本を読み漁り、マネをしてみても依然変わらず。
学習を重ねるものの現状は変わらず、打開策も中々見つからない状況というのは、とても苦しい状況ですね。
Aさんは学習をしており、努力をしていますが、なぜ良い方向に変わらないのでしょうか。
原因はその学習が「シングルループ学習」になっていることにあります。
「シングルループ学習」と「ダブルループ学習」
シングルループ学習とは、すでに備えている今までの価値観に従って方法や行動のみを変え、問題解決を図っていく学習となります。
反対にダブルループ学習とは、既存の枠組みを捨てて新しい考え方や価値観を取り込む学習になります。 1978年、アメリカの組織心理学者クリス・アージリスとドナルド・ショーンが『組織学習』において提唱した概念です。組織学習についての概念ですが、個人についても当てはまることとして考えられています。
上記のAさんは営業としてのテクニックや方法論は学習し、様々方法を変えてチャレンジしていますが、自分自身の顧客や営業に対する価値観や考え方、スタンスに対して振り返りや改善をせず、行動のみを修正しています。
自分自身の成果を気にし、顧客への貢献に対するスタンスに問題がある場合、方法をいくら変えたところで成果には中々繋がりません。
また、若手だけではなく、ベテランの方も過去の成功体験に固執したり、手法や方法を表面的には変えても時代に合わせて自らの考え方や価値観を変えることができず、中々問題の解決に繋がらないことがあらゆる組織で見受けられます。
ダブルループ学習を身に付けるためには
ダブルループ学習は自分自身の価値観を客観的に振り返り、修正の必要があれば前提となる価値観を変えていく学習になります。
シングルループの学習が
「行動→結果→行動→結果→行動→結果」
を繰り返して行動のみを修正し学習していることに対して、
ダブルループ学習は
「行動→結果→価値観・考え方を振り返り改める→行動→結果→価値観・考え方を振り返り改める」
の流れで行動の修正のみならず、行動の基になっている考え方・価値観を振り返り修正する学習になります。
人には価値観に基づいた「思い込み」があり、その「思い込み」が間違ったものになると、いくら努力をしても状況を改善することは困難です。先ほどのシングルループ学習のAさんに抜けていたのは「価値観・考え方を振り返り改める」ことになります。
尚、ダブルループ学習を身につけるには「メタ認知」が重要になります。メタ認知に関しては次の記事も参考になさってください。
・自己主管性(思い込み)の強さは、【メタ認知】で克服できる
https://leadershipdock.net/post-250/
・若手管理職必見、新しいステージで活躍するための【メタ認知】の勧め
https://leadershipdock.net/post-644/
客観的に自分自身のものごとの考え方や価値観を見直し、問題があった場合、自分自身の考え方や価値観を反省し・改善することによって自分を変化させ、成長させていきます。
ただし、今まで大切にしてきた、無意識に習得してきた価値観を変えることは容易ではなく、心理的な苦痛や違和感があるかもしれません。
今まで「当たり前だ」と考えていたこと、「成功する考え方」と思い込んでいたことが間違いであった場合、頭では分かっていても、変化を受け入れることには一定の苦痛を伴う場合があります。
劣等感が根深くある場合や「自分は悪くない!」と考える他責思考が強い場合、自分自身を客観的に振り返ることができず、ダブルループ学習に繋げることができない人もいます。
より良い考え方を身に付けたいと考えて習慣を変えて見たりしても三日坊主で終わってしまった経験は、皆さんも一度はあるのではないでしょうか。
価値観を変えていくためには新しい価値観に基づいた「実践行動」を意識的に重ねていくことによって違和感がなくなった段階で自分自身の変化を起すことができます。
成果を上げ続ける人になるためには
アメリカ合衆国の心理学者、経営学者のダグラス・マクレガー(Douglas Murray McGregor)は著書『企業の人間的側面』にて以下のことを言っています。
「その人の基本的な考え方が間違っていると、どんなに頭がよくても、どんなに努力しても、たとえ運に恵まれてさえも、その人は決して成功しない」
成果を上げる人になるためには自分自身の基本的な考え方、つまり価値観を振り返り、変化をさせていくことがなによりも重要になります。
そのためには良い考え方に触れ、自分を成長させるために、今までの古い考え方や価値観から抜け出し、実践していく「素直さ」「柔軟さ」が何よりも重要になります。
ぜひ、自分自身の価値観を振り返ることを試してみてください。
※本記事は2021年2月4日に投稿された記事のリメイク版です。
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