自己主管性(思い込み)の強さは、【メタ認知】で克服できる

自己主管性(思い込み)の強さは、【メタ認知】で克服できる

思い込みの激しい人っていますよね。そんなつもりで言っていないのに、勝手に違うように受け取って怒ったり、やりづらい人っていますよね。
と他人のことについては客観的に見えることが多いかも知れません。
 しかし、案外、自分にも当てはまる時があるかも知れない。このようなことを思ったことはないでしょうか?

「上司が思った通りの指導をしてくれない」
「後輩が言うことを聞いてくれない」
「親が自分のしたいことを反対してくる」等。

これは自分の中で

「上司は○○あるべきだ」
「後輩は先輩の言うことをいくべきだ」
「親は子どもの応援をするべきだ、子どものことを理解すべきだ」

といった思い込みがあるのかも知れません。

この「○○であるべきだ」って結構やっかいで長い時間をかけて作られた価値観だったりします。人はこの価値観を通して人の話を聞き、自分なりの「解釈」をするといわゆるコミュニケーションギャップが生まれやすくなってしまいます。

 心理カウンセラーのトレーニングで徹底的に修正する必要があるものが、この「思い込み」をなくすことだったりします。中にはこれが修正できずにカウンセラーになることを断念する人もいるくらい厄介なものなんです。実は。    
 このような解釈の癖を自己主管性と表現することがあります。この自己主管性が強いと思い込みが激しく、うまくコミュニケーションが取れないといった事態に発展してしまいます。
怖いですね。ですが日常いたるところで起きていることかも知れません。

 今回は、どうしたら自己主管性(自分なりの解釈、認知の癖)を弱めて、周囲の人たちと円滑なコミュニケーションを図れるようになるか、また仕事をよりスムーズに進められるようになるのかお話したいと思います。

1.思い込みは「メタ認知能力」が低いことが原因

 自己主管性(思い込み)が激しくなる最大の要因は、「メタ認知能力」が低いことにあると言われています。メタ認知能力の「メタ」には、「高次の」という意味があり、「メタ認知」は高次の視点で認知することを指します。

ちょっと難しい表現なので一言でいうと

「自分の心の動きや行動を客観的にみているもう一人の自分」

これがメタ認知さんです。

 このメタ認知の能力が高い人は、自分自身が認知(みたり聞いたり、感じたり)していることに対し、客観的に認知することができる人と言えます。この能力が高いとものすごく客観視できることになりますね。

 逆にメタ認知能力の低い人は、自分が認知していることを客観的に認知できないため、思い込みが激しくなります。また、自分のことだけでなく、他の人たちの心理状態を正確に把握できないケースも多く、自分のことも周りのことも客観視できない状態となるため、コミュニケーションがうまくいかなくなります。

2.メタ認知能力を高める方法(基本)

まず、必要なことは以下の2つです。

・自分の行動や考えや感情を、距離を置いて見てみること(客観視すること)

・他人の気持ちや考えに興味を持つこと

 私も、カウンセリングの場や部下の指導に当たる際は、相手がメタ認知能力を高められるように様々なアプローチをさせて頂いています。時には、私自身がその相手の「メタ認知役」となって、「客観的に自身の発言や行動、感情を振り返る」お手伝いをさせて頂くことがあります。

 ここで、皆さんに具体的なイメージを持ってもらうために、私がある会社の人事担当者をカウンセリングした際の事例をご紹介します。

3.ある人事担当者の具体例

 Dさん(30代男性)は、元々IT系企業で優秀な採用のスペシャリストとして活躍していましたが、更なるキャリアアップを図って、E社に転職してきました。Dさんは「俺は20代の中盤から採用に特化してやってきた。」という自負心とプライドを持ってご入社されました。 
そのDさんが入社された部署にも同じく「私は20年間、採用に特化してやってきた。」という自負心とプライドを思った女性社員のFさん(40代女性)がいました。
 このシュチュエーション、何か起きそうですよね。。。ご想像の通り、プライドとプライドのぶつかり合いが起きました。毎日、言い合いや細かなことでの意見の衝突が起こりました。よくありますよね、いわゆるライバル関係となってしまったわけです。
この状況、どうしましょう。
私のアプローチは下記の通りでした。
2人のうち、比較的、メタ認知能力が伸びそうなDさんにアプローチしました。まず、アプローチをする前に「今から話す目的は①よりDさんが自分を客観視し、より得たい評価を得られることを目指した話であること②Dさんを傷つけたり、批判することを目的とした会話でないこと」をお伝えしました。

この前提をお伝えし、

Fさんと衝突が絶えない理由についてDさんに伺いました。対話を進めていく中で、Dさんは「E社の人達に自分の方がFさんより実力があることを認めてもらいたい」という強い承認欲求があることを打ち明けてくれました。

転職したては誰でも強いプレッシャーにさらされるので、実力が似通ったタイプ同士にはよく起こることかも知れません。

話を進める中で「メタ認知くん」の登場です。話は複雑ではなく、

「仕事を依頼した人が、もめているDさんとFさんの姿を見たら、どう感じると思いますか?」という、自分から第三者へと視点を移動させました。

Dさんはとても素直なタイプの人だったので、「迷惑でしょうね・・・」とすぐに気づくことができました。

そこから、「仕事の依頼者がこの場面でどのような行動を取ったら、Dさんのことをよりプロフェッショナルとして認めたくなると思いますか」

など、第三者の視点プラス、プロフェッショナルの視点を加えていきました。

そして今度はFさんとの関係性に焦点を当てました。

「FさんはDさんのことをどう思っていると思いますか」との質問に

「自分の採用のポジションを脅かす脅威だと思っていると思います」との回答でした。事実、これは当たっていて、Fさんは入社当初からDさんの入社をあまり快く思っていなかったようでした。

ここで分かったことはDさんもFさんも「採用でこの会社の№1は自分」だという思い込みからマウントを取り合っていました。

会社や上司、依頼者のニーズからすると、どちらか№1を争って喧嘩を繰り広げられても、業績の低下しか招かない事態に陥ってしまうことは目に見えています。

この点をメタ認知しながら見えてきたことは

「Dさんが会社から評価を受けるために必要なことは、Fさんのマウントを取ること」

これが思い込みで

「Dさんが会社から評価を受けるために必要なことは、Fさん含めたメンバーが仕事をしやすいような言動や環境づくりを進め、自分も実績を上げていくリーダーになること」

ということが客観視できるようになっていきました。

このカウンセリングにより、Dさんは人一倍「自分を認めてほしい、評価してほしい!」と思いつつも、真逆の行動を取ってしまっていたことに気づき、「認められたいが故に認められない行動をしていた」ことを認知するようになりました。

Dさんの事例から、メタ認知能力が低い状態にあると「評価を得るためにはFさんのマウントをとらないといけない」という思いこみに縛られてしまうことがありますが、メタ認知能力を高めると、その思い込みから解放されて自分自身の問題に気づくことができる、と言えます。

4.最後に

メタ認知能力は心の状態によっても影響を受けます。

上手くできている時もあればそうでない時もあるのが人間かも知れません。

「あ、今、客観視できていないな」と思えたらある意味、この能力が高められ始めているのかもしれません。

私も部下を抱える立場になりましたが、時折「自分の行動に対してどう思う?」と部下達に尋ねるようにしています。

メタ認知能力の向上はある意味、自分自身(決めつけ、思い込み)を解放していく手段だと言えます。今回は基本的な内容をお伝えしましたが、「自分を客観視して、自分の考えを距離を置いて見てみること」、「他人の気持ちや考えに興味を持つこと」、この2つからチャレンジして頂けたらと思います。

   
もっと活用していけるようにライターお勧め書籍を紹介しています。