やる気に溢れている人こそ要注意!「知恵のないがむしゃらさ」が自分を滅ぼす

やる気に溢れている人こそ要注意!「知恵のないがむしゃらさ」が自分を滅ぼす

時代ごとに、私達を取り巻く社会の雰囲気というものがありますが、最近はちょっとまた時代の雰囲気が変わった気がします。少し前までは「癒やし」や「ゆとり」なんていう言葉をよく耳にしましたが、今は「意識高い系」とか「やる気マックス」という言葉を耳にしますし、実際に私の周りにも既存の型にはまらずに新しくどんどん行動する人が増えている感じがします。若い世代を中心に、何となく社会がエネルギッシュになってきている感じがして、もしやバブル期のような「24時間働けますか」の時代が再び来るのでは?と思ったりもします(笑)。

しかしながら、気力溢れて行動的だった方が、がむしゃらに行動していつの間にか活力を失ったり、手を広げすぎて自分の個性や本当にすべきことが分からなくなったりする場合も少なからず目にします。

今回は気力とバイタリティに溢れ、色んなことにチャレンジされている方へ、気力が満ちている時に何をすべきかお伝えしたいと思います。

 

エネルギーにあふれる時が勝負

好景気不景気の波があるように、農業で春夏秋冬ですることが異なるように、人生もその時その時すべきことがあります。エネルギーに満ち、気力あふれる時、その時どうするかが大事です。
作家のデール・カーネギーがこんな言葉を残しています。「我々の気力は、神から授かった貴重なものだから、価値のあるものだけに費やさねばならぬ」
気力も、無限にあるものではありません。「気力」という限られた「資産」を、賢く「運用」していくことが大事です。私は投資銀行に勤務していましたが、「運用」で成功するために不可欠なことは「選択と集中」です。いつどこにどれくらい投資するのか、そのための研究とリサーチ、その上での「判断」が運命を左右します。
私達の人生、「何に時間と気力を費やすか」の判断が分かれ道ではないでしょうか。どうやったら「価値あるものだけに気力を費やす」適切な判断ができるのでしょうか。

 

センスを養うか、客観的な視点を持つか

私が思うに、価値があるものを選ぶために必要なことは2つです。それは、

①感覚とセンスを養う、②徹底した客観的な視点からの適切な判断、です。

①は嗅覚とでも言うんでしょうか、天性のものもありますが、加えて不断の努力も必要だと思います。スポーツでも料理でも、感覚や嗅覚は必要ですよね。やり続けてこそ身につくものが感覚ですから、「質の高い反復」が必要です。「価値あるもの」を判断できる感覚、センス、嗅覚を養うためには、いつも「価値あるもの」「物事の本質」にアンテナを張って、意識し、探し続ける必要があると思います。既に天性の感覚があるならば、鈍らせず鋭利にしていく努力が必要です。

②は徹底的に分析をする訳ですが、気をつけるべきポイントは、正直なところ分析にはきりがないということです。自分の人生ですから、分析をした後が大事で、評論家にならず実践者にならなければなりません。限られた時間の中で、実践につながる適切な判断が必要です。そのためのポイントは、1日や1週間、という比較的短いターンで自分の行動を振り返ることです。何に価値を置いて生きたかは、自分が過ごした時間で知ることができますから、1日の中で何に時間を投資したのかを分析するのが良い方法です。1日を生きる時、何を学び、何を実践し、何を残したのか、これを問い続ければ、良い1日が良い1週間となり、良い1ヶ月となります。

 

86,400円のプレゼント

こんな話を聞いたことがあります。ある投資家がいて、「あなた」に投資をしてくれます。毎朝あなた専用の口座へ86,400円を振り込んでくれますが、1日が終わったらその口座の残高は毎日ゼロになります。つまり、その日使い切らなかった金額は全てなくなってしまいます。この時、あなただったらどうしますか?もちろん、毎日全額を引き出しますよね。投資家がくれるお金、それは正に時間です。毎朝、私達に86,400秒が与えられます。上手く使い切らなかった時間は消されてしまい、翌日には繰り越されず、過去にさかのぼることはできません。今日与えられた資金の中から、今を生きて、最大限の物を作り出さなければならない、という話です。
1日に与えられる時間はどの人に対しても、どんな環境でも同じですが、生み出されるものは異なります。時間を伸ばすことや長く生きることを望むより、今を「どのように生きるか」が大事です。

 

行く道の距離より、方法が大事だ

東京から大阪に行く時、距離がどれくらいなのかを考えるより、「どうやって行くか」最適な「方法」を考えます。飛行機か新幹線か、車か、自転車か、はたまた徒歩か、目的に合わせた最適な方法を考えます。がむしゃらに自転車のペダルを漕ぐことが大事なのではないように、人生もそうです。
私が師事した牧師先生から学んだ言葉ですが、「人生を、一生懸命生きることは基本だ。問題は、どのように生きるかだ」。ただ一生懸命生きれば良い人生、実り多い人生なのではありません。人生を生きる方法、どう生きるかが大事です。その方は、人生に40年の活動時間が与えられるなら、30年を学ぶところに使い、残りの10年で学んだことをもって100年分のことをする、とおっしゃっていました。それくらい学ぶことが大事だということです。

 

まとめ

時には、とにかくやってみるというのも必要ですし、下手な鉄砲も数打てば当たるでしょう。しかし、いつまでもそれではいつか限界が来ます。やる気がある時、何かをしたくてたまらない時、がむしゃらに行動するのではなく、深呼吸をして立ち止まってまず「学んでみる」ことを先にしてみてはどうでしょうか。どのように、何を目指して行動するべきなのか。
自分のすべきことや目標を分かってから行動すれば、得るものははるかに変わってくるのではないでしょうか。 

「急いで得た富は減る。少しずつたくわえる者は、それを増すことができる。」(旧約聖書 箴言13章11節)