目的意識が明確なリーダーと曖昧なリーダーの違い

目的意識が明確なリーダーと曖昧なリーダーの違い

Vol 2 目的意識と効果性

シリーズ「ここに神経を使う人が逸材になる」。第二のテーマは「目的意識と効果性」です。先行き不透明な時代(VUCA時代)においては、働き方がますます多様になることが予想され、今まで以上に働く人個々人の目的意識が重要視されるようになります。そしてその目的意識は、個人が社会やコミュニティにもたらし得る有益と効果へのコミット(決意)と切っても切れない関係があります。

はじめに

目的意識と聞いてどのようなイメージが思い浮かびますか?

目的の意味を広辞苑で調べると下記の意味が出てきます。

″成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄。″

私たちの所属する組織、会社や団体は成し遂げたい目的があり設立されました。また、そこに所属する私たちも成し遂げたい目的を叶えるために採用され所属しています。

しかし、毎日同じことを繰り返し行っていくうちに、忘れていってしまうものも、その「目的」である場合があります。

今回は、この「目的」についてお伝えしていきます。

目的意識の必要性

目的意識を持っている場合と持っていない場合の違いはどこにあるのでしょうか?

例えばマラソンに例えて見ましょう。

①ゴールは分からないけどただ走る
②ゴールの位置や距離を把握して走る

①の場合、滑り出しは快調かもしれませんが、どこまで走れば良いのか分からず、徐々にだれていってしまいます。また、ペース配分なども分からず、途中でバテてしまうかもしれません。

②はゴールのイメージがあるため、ペース配分に気を付けながら、完走を目指し、ラストスパートをかけることができます。また、練習や前回のタイムとの差分を測れ、自分の課題をクリアしながら、さらにスピードを上げて走ることができます。

マラソンに例えると当たり前のことで分かりきっていることかもしれませんが、日々の生活や仕事、また、何かしらのプロジェクトを担当したり、段取りを任される人をよく見てみると、この目的意識が弱い人が案外多くいることに気付きました。

では、この違いについて見ていきましょう。

目的意識の弱い人

ゴールをイメージせずに取りあえず思いつきで思い浮かんだことから始めていきます。

例えば、何かのイベントを任された場合、頭に浮かんだことから手をつけていくため、イベントの開催時期までの段取りがほぼなく、手あたり次第に手を付けていきます。当然、直前になって、時間と人手が足りずにバタバタすることになります。また、仮に失敗しても段取り・計画がないため、振り返りをして改善もままならない状況になります。

さらに、この傾向を持った人がリーダーになると、イベントはより悲惨なものになります。周りのメンバーは思いつきに振り回され、時間と労力の無駄が多々発生してしまいます。

イベントの質もちゃんと計画し準備することができれば、メンバーの力も生かされますが、メンバーへの依頼も思いつきによる直前の依頼になってしまうため、メンバーは疲弊しながら、納得しないパフォーマンスしか発揮できなくなってしまいます。

これがイベントレベルではなく、事業や経営、組織の運営レベルにもなるとその損失は計り知れません。

事業の場合は短期、中期の計画を立てながら必要な機能、そこにかかる費用、もたらされる成果予測を立てながら、大切な資金を投じ事業を行なうため、段取りや投資の基準、撤退基準、短期ゴールの達成を重ね事業を成功に導く必要がありますが、その計画がない場合は闇雲に投資を続けて大きな損害を出してしまいかねません。

目的意識が明確な人

まず、ゴールの確認からしていきます。

自分に求められていることや、どのレベルまで変えていく必要があるのか、また、ゴールに至るまでの課題の把握を行ない、やるべきことを洗い出していきます。

先ほどの例のように何かのイベントを任された場合、ゴールの確認から始めていくため、どのようなイベントにしてきたいのか、そのテーマ設定と関係者との認識合わせをしながら、
必要なメンバーの能力や予算などを計画し、実現可能性の検証を繰り返し、ゴールに向けて逆算の計画を立てていきます。

この傾向を持った人がリーダーとなった場合は、ゴールイメージがメンバーにも共有されるため、必要な提案が成され、期限から逆算された準備ができるため、一定度余裕を持った準備ができます。また、イベントの質においても、様々検討する余裕があるため、期待以上の成果を出しやすくなります。

事業や経営、組織の運営においても、短期・中期・長期のゴールをイメージしながら進めていくことができるため、仮説を立て検証しながらより良い運営を追求していくことができます。

リーダーに求められる資質としての目的意識

リーダーはその権限によって様々なメンバーの能力や長所を引き出し、よりその組織が発展していくための役割を担っています。

目的意識が弱いと現状においてメンバーの至らない点や思い通りに動かないことを嘆いたり、短所ばかり見て、指摘を繰り返すことが多くなります。リーダーの最も重要な仕事は、「ゴールイメージとそのプロセスを明確にし、メンバーの能力を生かして成功に導くこと」になります。

ゴールイメージ、つまり目的意識が明確であれば、周囲のメンバーのどの長所を生かしてゴールに近づけていくかを自然と志向できるようになります。

そのアクションこそが組織の目的を叶える上でもっとも有効な打ち手になるためです。仮に現状の組織でゴールが難しければ、採用やスカウトなどの手段を検討しながらゴールに近づけていくことも可能になります。

もし、あなたがメンバーに不満を持っているとしたら、ご自身の目的意識が明確になっているのか振り返ることをお勧めします。

人生について

私のメンターはこの目的意識について下記の言葉をくださいました。

何かをする度に「これをすべきか」先に考えでそのことを確認し判断し分別してからすべきだ。

人生、「目的地」に行く途中「目的地と関係のない小さいこと」ばかりあれこれとやっているうちに、結局「目的地」に行けず、途中でとどまって生きて終わる。

「目的地」を見て行きなさい。「目的地と関係ない仕事」をどんどんやると結局それが「目的」になり、「目的地」になって終わる。

仕事だけではなく、人生においてもこの目的意識は重要なことに気付きました。

私の場合、人生の目的が曖昧であった時、なんとなく周囲の価値観をもとに出世などの地位やお金、名誉をただ追い求めていた気がします。

目的地がよく分からないため、目の前にある仕事を周囲の人から評価されるために一生懸命になってやっていました。

ただし、それはただ世間の価値観に従っていただけのように思います。必死に仕事も生活も頑張るのですが、どこかに虚しさのようなものがありました。

自分自身が目指す目的地が明確になっていれば、大切な時間を目的に叶えるために投資し、そこから目的に叶う能力や人格を手に入れることができます。

外から与えられる地位やお金、名誉は簡単に奪えるものですが、自分自身で目的を持って、身につけた能力や人格は誰も奪うことはできません。

目的が曖昧だと「誰かの価値観」に従い生きるしかありませんが、自身自身で明確な目的意識を持っていれば、自らが求める人生を作っていくことができます。

人生においても、目的意識を持って生きていくことができると豊かな人生なることをメンターから教えてもらいました。

目的がまだ曖昧かも知れないと思われた方はぜひ、あなたの目的について考えてみてください。