最も難しいリーダーシップ 〜後半:超自律型人間になる〜

最も難しいリーダーシップ 〜後半:超自律型人間になる〜

◾️リーダーが果たすべき役割「責任を負うこと」

前回は、「最も難しいリーダーシップとは何か」と言うことにフォーカスを当てました。

非営利組織のリーダーは、自ら人としての道を追求し、ついてくるメンバーに人生の満足感を与えることを求められるから、非営利組織の経営は難しい、という話をさせて頂きました。

今回は、私自身研鑽中の身ではありますが、最も難しいと言われている非営利組織のリーダーとして、日々心がけていることをお話したいと思います。

1番意識しているのは、「一緒に責任を負うこと」「最終責任を負うこと」です。

例えば、教会のメンバーが「教会のためにこれをしたい」と言ってきてくれたとします。上手くいくかもわからないし、多少なりともリスクが生じるものですが、それでも提案してきたことには感謝すべきことです。その時に、「ふーん、良いんじゃない」ととりあえず肯定することは簡単ですが、責任なしの肯定は、ある意味で放置していることだと思います。

 

◾️リーダーのとるべき6つの行動

私がリーダーとして心がけていることは、下記の6つです。

①提案をしっかり聞き、その姿勢に感謝する。

実際にリーダーとして、提案や意見を言ってくれることはどんな内容でも本当にありがたいです。一番怖いのは、無反応、無関心だと思いますので、提案をしてくれた真心に真実な感謝を伝えすべきです。

②提案を一緒に分析する。

「この部分は良いけど、この部分はどうなのかな」「目的は良いと思うけど、方法と期日が曖昧じゃない」など、頂いた提案に対して、ツッコミます。これはあら捜しをするという意味ではなく、提案者の意図と目的を分かってあげて、リーダーとして自分にできる支援が何なのかを確認するという目的です。

③リーダーとしての見解を「肯定的に」伝える。

これは「やるorやらない」という2択ではありません。例えば、是非やりたいけれどタイミングが合わなくて今はできない、という場合もあります。その際は、時期を待つだけではなく、今そのために準備して行動できることを一緒に考えます。

 また、提案者は比較的、興奮状態にあり成功することを夢見ていることが多いですから、リスクもきちんと伝えることはリーダーの責任だと思います。そして残念ながらストップをかけざるを得ない状況もありますが、それもすべて、リーダーはあくまでも肯定的に伝えなければならないと思います。ストップを、次のスタートのエネルギーに転換させることが求められます。

④もう一度、提案者に考えてもらう。

このステップは絶対に必要です。何事でも、ことを進めるのは困難なことがつきものです。リスクも分かって、「それでもやりたい!」という提案者本人のエネルギーがなければ、成功はありえません。自分で反芻し、自分の意思で行動に移れるように、深く考えてもらう時間が必要です。

⑤提案者が最後に出した結論に、最大限協力する。

 私のところには多くの提案が来ますので、必ずしも直接自分が助けられない場合もあります。その際も、自分の人脈から最適な人を紹介したりするなど、多方面から支援ができます。忙しさは関係なく、自分のことだと思って何が出来るかを真剣に考えて行動するように努力します。

⑥過程や結果に、一緒に共感する。

 上手くいったら、それはもう本当に嬉しいです!最大限、喜びをともにします。

一方、思ったような成果が出ない場合が重要です。「やっぱり駄目だったじゃん!」という姿勢は、絶対にいけません。うまくできなかったとしても、「自分がうまく指導できなかった。申し訳ありません」と真摯に思うことが大事だと思います。

 

◾️自律型人材になる

聖書には下記のような言葉があります。

「王の栄えは民の多いことにあり、君の滅びは民を失うことにある。」(リーダーの反映は自分に従う人が多いことであり、リーダーが滅びるのはついてくる人がいなくなることだ。の意)※旧約聖書 箴言14章28節

心から、「あの人についていきたい」と思われるリーダーになるには、誰かのせいではなく自分のせいだと考える「自律型人材」であることが大切です。

 

 現在、多くの企業や組織で必要とされている人材は、「自律型人材」と言われますが、「自律型人材」とは、何でしょうか?

 大まかに言うと、任された仕事を経営者・最終責任者の意図する方向で、自ら学び、考え、成果を出せる人材のことを言います。「自立」ではなく「自律」という言葉を使う意図としては、主体性のある行動で周囲を巻き込んでいく資質が求められるからだそうです。つまり、単に1人で立っているだけではなく、自らを律し、周囲の人の模範となる行動を示して周囲を巻き込んでいくことが求められます。

 対極にあるのが、責任を一切負わない、いわゆる「お役所仕事」です。サラリーマン時代、よく会社で飛び交っていた言葉が「今ボールはどこにあるか」「ボールを投げる」でした。大企業でしたから、仕事が来ると自分の業務は素早くやって、他の人や部署に素早く「投げる」ことを求められました。ボールというよりはまるで時限爆弾です(笑)。自分のところで爆発したら大変ですから、来た仕事をとにかくパスするんです。もちろん大きな組織では必要なことでもあると思いますが、あまり気持ちの良いものではなかった記憶があります。

 

◾️真の自律型人材とは

 自律型人材の例として、1つの例を挙げてみたいと思います。

 私にイエス・キリストを教えて下さった牧師先生がいますが、彼はどこに行っても掃除をします。ある国に行ったとき、空港でトイレからなかなか出てこないので、体調不良かと心配して同行者が見に行ったら、汚れているトイレの掃除をしていたというくらいです。自分の家でもない場所で、ボランティア精神からでもなく、嫌な顔ひとつせずに当たり前のように掃除をするのです。なぜいつも掃除をするのか聞いたとき、このようにおっしゃっていました。「あなたは自分の部屋にゴミが落ちていたら拾うだろう。部屋の主人だからだ。地球は神様の家だ。神様の立場、神様の心で生きるなら、地球に落ちているゴミは自分の家のゴミと同じだ。だから拾うのは当然のことだ。客人はゴミを捨てていき、主人はゴミを拾う。」

 この言葉を聞いて、神様のような大きな心で、地球の主人として行動されているんだなと感銘を受け、こういう精神で生きていきたいと思いました。この話の場合、地球の経営者は「神様」ですが、そのような心でいつも行動されていたということです。

 

 その牧師先生も、若くしてイエス・キリストに人生を学ばれ、行動してこられました。人類の失敗やミスを、すべて自分の責任として背負い、最後まで行動されたのがイエス・キリストです。究極の自律型人材、であると言えます。

 

 牧師という性質上、最後はキリストの話になってしまいましたが(笑)、世界には多くの自律型人材として活躍されるリーダーがいらっしゃいます。そういう方の生き方は、誰が見ても清々しく、気持ちの良いものです。

 この記事を読まれたみなさんが、責任感と自律性に満ち溢れたリーダーになられることを祈念しています。