仕事で成果を出すリーダーに必要な「文章力」とは
- 2021.05.27
- 仕事術
- #仕事は最高に面白い学び, #伝わる文章, #文章で人の心を動かす
ビジネスパーソンの自己研鑽を助けるメディア「リーダーシップドック」、今回からの新企画は「文章力」についてです。プロのブロガー&メディア運営者としても活躍中の矢部秀明さんに、4回に亘って文章力向上のための記事を寄稿していただきます。特に、文章を書くことが苦手と感じている方、これからリーダーを目指したい方、必読です。
はじめに
社会人の方の多くは、文章を書くことに苦手意識を持っています。しかしながら、リーダーを目指すなら文章力は必須スキルです。
理由は、文を書くことなしにビジネスを進めることがほとんどありえないからです。メール、報告書、提案書、マニュアルなど、リーダーであるほど文章力が求められる場面が非常に多くなります。
ここで話している文章力とは、以下2つがあります。
・正確に分かりやすく伝える力
・相手の心を動かす力
忙しく仕事をしているビジネスマンは基本的に時間がないので、文章を読みたくありません。それでも、自分の仕事を進めるために、半強制的にたくさんの文章を読まなければいけません。
だからこそ、簡潔で分かりやすい文章を書けるようになることが、仕事を進める上でとても重要になります。
今回は、そもそもなぜ文章を書くことに対して多くの日本人が苦手意識を感じているのか、そして、どうやったらリーダーに必要な文章力を身につけることができるのかをお伝えします。
文章を書くのが難しい理由は、日本語の特徴にある
そもそもなぜ、日本人の多くが文章を苦手としているのか。
私は、日本の教育が大きく影響していると考えます。
事実、大学受験で文章を書く問題は少ないです。受験勉強のほとんどが読解力を問われる問題で、文章力が問われる問題を意外とやってこないのが今の日本の教育です。
さらに、日本語がそもそも難しいということもあります。
日本語での会話は、主語を省略しても意味が通じます。また、解釈の余地が複数ある言葉も多いです。それでも、日本人は前後の文脈や相手の表情を見て、会話の意味を何となく感じ取ることができてしまいます。
解釈の余地が複数ある言葉として、たとえば接続詞の「が」や「けど」などは気を付けないといけません。接続詞の「が」や「けど」は、順接の意味で使うときもあれば、逆接の意味で使うことがあります。
例:逆接の意味「が」
来週の月曜はお休みすると報告しましたが、予定が変わって出社することにしました。
例:順接の意味の「が」
昨日メールでもご報告しましたが、来週の月曜はお休みを頂きます。
日本人なら前後の文脈で何となく意味は分かります。しかし、複数の意味がある「が」をあまりに多用してしまうと、できる限り早く正確に読みたいビジネスマンに対しては不親切です。
このように、日本語は文章にすると読み取るのが難しくなります。機械学習による日本語の音声認識が他の言語に比べて難しいと言われていることからも、私たちが難しい言語を扱っているということが分かります。
今後は、できる限り文章を書くことにおいては「が」や「けど」を使わず、使うとしても逆接の意味としてだけ使うことをおすすめします。
リーダーを目指すなら文章力を磨かなければいけない理由
ここで、執筆者である私が、文章力を身に付けてどんどん仕事が楽しくなった体験談を話させてください。
私は、元々文章を書くことが大の苦手です。会社の評価面談では、私の課題として「文章が分かりにくい」ことが挙げられました。
私は、商品開発の部署でした。そのため、毎週のように上司に提案書を書き、ある時は新施策のマニュアルや報告書を書かないといけませんでした。
文章が苦手であることは私にとって致命的な欠点でした。提案書は、文章が分かりにくいというだけで上司から何度も突き返され、たくさん悔しい思いをしてきました。
だから、私は必死に文章に関して勉強をして、何度も文章を書いて、上司から繰り返し添削をしてもらいました。
繰り返し見てもらったおかげで、最終的に提案書を出せば、役員からも「それで」と決裁をもらって、30分のミーティングが5分で終わることもありました。
そして、プロジェクトリーダーとして新しい施策も自分で動かせるようになってきました。
さらに施策が大きくなって、施策を動かすマニュアル文章も作成するようになりました。
マニュアル文章がもし分かりづらいと、そのマニュアルを読む600人の社員が疑問を抱き、大量の質問が私に飛んできます。だから、私は慎重に何度も見返してマニュアルを書き、何度も添削をしてもらいました。当時は朝から晩まで文章を書きすぎて、正しい文章とは何なのか分からなくなるくらい混乱する時もありました。
そんな苦しい期間も乗り越えて、マニュアルを無事に完成して全社員に共有することができました。結果、新しい施策はコロナの大危機を乗り越えるような素晴らしい施策となって評価されました。
どんな部署で仕事をしていたとしてもリーダーを目指すなら、上司に提案書を出すことも必要です。もし、その提案の合意を上司からもらうことができたら、あなたが大きな選択権を持ってその新しい仕事に取り組めるようになります。
プロジェクトの中心にいるほど、自分の選択権が大きくなるほど、仕事は人生で最高に面白い遊びになるのです。そのきっかけを作るのが、人の心を動かす文章を書けるようになること、そして、誰にでも伝わる文章を書けるようになることです。
仕事の成果を出してきた多くのリーダーは文章力を磨き、人の心を動かしてきたはずです。
人の心を動かす、伝わる文章力を身につける3つの方法
文章力を身につける方法は、この3つしかありません。
・たくさん文章を書く
・文章を誰かに添削してもらう
・本を読んで文章に関する勉強をする
たくさん文章を書く
多くの方は、そもそも文章を書く量が足りていません。もし、仕事で文章を書く機会が少ない方は、ブログを書いてみることをおすすめします。
ブログはただ日記のように書くのではなく、想定した読者に対して価値ある情報を届けることが重要です。私はプログラミングを初めて学習する方に向けて、「どう学習を進めると良いか」という情報を自分の体験をもとに書いていました。
文章を誰かに添削してもらう
文章を誰かに添削してもらうことを嫌だと感じる方も多いかと思います。私も何度も何度も添削してもらって、あまりにも自分のできなさにショックを受けました。
それでも、文章力は何度も指摘してもらわないと上達しません。最初は大変でも、文章が書けるようになってくると、書くことそのものが好きになるようになります。
本を読んで文章に関する勉強をする
文章力を磨くのにおすすめの本を1冊ご紹介します。
『改訂新版 書く技術・伝える技術 (スーパーラーニング)』です。
私は何度もこの本を読み返す度に、自分の足りなさに気付かされます。ビジネスライティングの法則が体系的にまとめられているだけでなく、具体例も分かりやすく載っています。文章力を磨きたい方は、必読の本です。
まとめ
いつも改善を繰り返して磨いていくことは文章だけでなく、仕事や生活、人生においても重要です。
もし、自分がいつも改善することそのものを喜びとして生きるなら、間違いなくすべてのことが上手くいくようになるはずです。
2021年現在、リモートワークが主流な状況において、社内での文章のやり取りがさらに増えています。この機会に、文章に関して勉強してみるのはいかがでしょうか。
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