コーチングによって変化できる人、変化できない人

コーチングによって変化できる人、変化できない人

 コーチングとは、クライアント(コーチングを受ける人)に変化をもたらすコミュニケーションの手法です。コーチがクライアントとの対話を通じて目標を明確にし、能力を開発させ、仕事やスポーツ等のパフォーマンスを向上させることを目的として行われます。

 日本でも、スポーツのみならずビジネスの現場でもコーチングが実施されるようになって久しいですが、コーチングがうまく行って人が成長し組織が活性化するケースと、あまりうまく行かないケースがあるようです。その違いはどこにあるのでしょうか?今日は、コーチングによってクライアントに変化が生じるケースとそうでないケースについて、お伝えして参ります。

 

1)コーチが同じでもクライアントの反応は色々

「コーチングがうまくいかないのはコーチの責任なのでは?」と思われるかもしれませんが、実際はそうとも言い切れません。同じコーチから指導を受けても変化するクライアントとそうでないクライアントは必ず出てきます。コーチの実力も大切ですが、それ以上にクライアントの考え方が大切で、特にクライアントが行き当たりばったり的な考えと行動を捨てられるかどうかが、コーチングの成否の鍵を握っています。行き当たりばったり的な考えと行動とは、深く考えないでとりあえず行動してしまうこと、そして立てた目標がなし崩しになることです。

2)コーチング成功の前提は2つ「現在地」「目的地」

 どんなジャンルのコーチングでも、欠かすことができない前提があります。それは、「現在地をはっきり認識すること」と「目的地を明確にすること」。コーチングの成否はこの2つに掛かっている、と言っても過言ではありません。

「現在地」とは現在の自分の状況です。現在の年収、足りないと思う能力、対人関係の幅、健康状態・・・など様々な現在地があります。

「目的地」とは、目指す自分の姿です。目標とする年収、獲得したい能力、理想の人間関係、より良い健康状態等が当てはまります。

この2つの設定が正確であってこそ、コーチングがうまく行ってクライアントが変化できるようになります。コーチの役割は、クライアントの「現在地」と「目的地」との間にあるギャップ(課題)を埋める作業をサポートすることです。

例えば、現在体重100㎏の人が70㎏を目指すなら、30㎏減らす必要があり、それがその人の課題=30㎏ダイエットということになります。

ところが、もし現在地を認識できていなかったら、その人はそもそも変化の必要性を感じられません。現在の実際の体重が150㎏だとしても、体重計が壊れていて測れず現在の自分自身の体重オーバーを認識できなければ、「やばい!ダイエットをしなきゃ!」と、切実に感じることができません。また、目的地を明確にできず、漠然と「痩せたい」と思っているだけでは、課題が不明確なので、コーチングの前提が成り立たたないことになります。

 

3)「よく考えずに行動」は禁物

 行き当たりばったり的な人は、現在地とか目的地とか細かく考えるのが面倒だから、とにかくやってみようという発想に陥りがちです。また、何とか課題を明確にして目標を立ててもその目標を忘れてしまうことが多いです。だから行動している割に成長が遅く、やっているはずなのに結果が伴わない、という残念な状況になるのです。

 

4)立ち止まって確認を

 ある自動車部品メーカで、「売り上げが伸びない」という問題を解決するために、営業人材一人ひとりの行動の内容を徹底的に調べ、目標を細分化して毎日その日の目標を確認するようにしただけで、実績が前年比の130%増しになった、という話があります。その部門の方々は、誰かに指導を受けたわけでもないのに、自分達の状況を正確に知るだけで業績が伸びたことは意外でもあったが、良い機会になったと話されていました。

上記の例は、売り上げを伸ばすために行き当たりばったり的な努力をするのではなく、現在地と目的地を明確にすることで変化が生じた好例でしょう。人は現在地と目的地がはっきり分かると、課題が明確になるため、無駄な行動をしなくなるのです。

 コーチングはとてもパワフルな手法ですが、上記2つの前提をはっきり確認できないままセッションを続けても、変化も成果も見込めません。行動実践も大切ですが、決して行き当たりばったりにならず、一歩立ち止まって自分を見つめた上で計画的に継続的に取り組むことが、コーチングで変化を感じられるポイントです。

   
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