リーダーとして組織課題を解決することに必要なこと

リーダーとして組織課題を解決することに必要なこと

はじめに

私は日々、組織改善のコンサルタントとして様々な組織課題の解決に向けてお仕事をさせていただいています。

その仕事の中で見えてきたことの1つに「組織改善できるリーダー」と「組織改善できないリーダー」の違いがあります。

今回のテーマはこの2つのタイプの「リーダー」を通して「リーダーとして組織課題を解決することに必要なこと」を見ていきたいと思います。

組織の課題解決ができないリーダーの特徴

具体的にある営業会議での例で考えていきたいと思います。

この会議は各チームのリーダーから現状の実績と課題点、課題の解決を出してもらい話し合いを進めていく会議です。

上手くいくパターンとしては、部門の実情と課題点を比較的問題として軽い段階で共有があり、他部門や上位職から支援を引き出します。問題として大きくなる前に部門の共通課題として他チームリーダーの共通の課題として課題解決の「事」にあたっていきます。

※『「事」にあたる』とは、人の目や自分はどう思われるかなどの「人」を意識するのではなく問題の解決などの本質的な価値を提供するために課題に集中することを指しています。

反対に上手くいかないパターンは大きく分けて3パターンになります。

①リーダーが課題解決のための解決策やルールや枠組みを整備して満足している
②リーダーが上手く課題解決できない原因を部下や上司、組織の責任にしている
③リーダーが自身の評価を気にして大事になるまで課題を隠し続ける

上記の3パターンについて、1つずつ見ていきましょう。

リーダーが課題解決のための解決策やルールや枠組を整備して満足している

リーダーに登用されるタイプの1つにプレイヤーの時に高い個人成績を上げている人が登用されることがあります。このタイプが陥りやすいのが枠組み整備満足型のリーダーになります。

課題解決ができない枠組み整備満足型のリーダーにヒアリングをすると、下記の前提条件が見えてきました。

・自分と同じようにやれば部下も同じ実績が上がる
・よって自分のやり方を仕組み化すれば上手くいく
・実績の上がらない部下は単なる努力不足か能力不足であるためリーダーの責任ではない

すべてが間違っている訳はないのですが、大きな間違いが2点あります。1つ目は、自分のやり方がすべての人に当てはまるという考え方。2つ目は、部下の実績責任についてリーダーの責任ではないという考え方。

このリーダーの課題は過去実績に対しての慢心と業績について個人主義的かつ他責傾向があり、本質的にはリーダーの資質には欠けています。

担当する分野やマーケット、部門の状況、特に部下の特徴を把握し、リーダーとして全体と個別の打ち手を考え抜き、そのために自分の足りていない課題を把握の上、自身のマネジメントスキルを上げていく必要があるのですが、自身のやり方の枠にただ部下を従わせることだけに思考が寄ってしまっているのです。

自身はできるという思い込みとプライドの高さが起因していると言えます。

リーダーが上手く課題解決できない原因を部下や上司、組織の責任にしている

前の事例のリーダーはまだ仕組みや枠組みを考える力があるのですが、この事例のリーダーは仕組みや枠組みを考えることもせずただ他責であるという特徴があります。

長い間改善も求められず役職だけリーダーであったタイプや一芸だけ秀でたスペシャリスト系リーダーの方が陥りやすいのが他責型リーダーになります。

課題解決ができない他責型のリーダーにヒアリングをすると下記の前提条件が見えてきました。

・自分はやるべきことはやっていて実績を上げている
・出来の悪い部下を押し付けられても自分がケアして何とかやっている
・そのそも組織課題が解決しないのは経営の責任で自分の責任ではない

前提条件の中にその管理職の「責任」が見当たらないくらい偏った他責傾向があります。

前の例の整備満足型リーダーとの類似点として「自分はできている」との前提条件が強く作用しこのような状況となっているようです。

マネジメントの責任が部門運営であり、組織成果である前提を全く理解していないため、初歩的な教育もしくはリーダー職を交代させる必要があります。多くの場合このようなタイプの人をリーダーにアサインしてしまう組織は役職登用の考え方やその評価に大きな欠陥があり、管理職としての考え方やメンタリティーの育成や人物ごとの見極めをする組織能力を付ける必要があります。

一芸以外の能力が著しく低い現実に対し本人は自身はできるという思い込みが強くあることが起因しているため認識が修正できない場合は交代させる必要があるパターンです。


リーダーが自身の評価を気にして大事になるまで課題を隠し続ける

課題や問題が隠されることは様々な組織で起きる事象だと思います。共有をあまりせず、組織の課題解決のボトルネックとなりうるリーダータイプです。
課題解決ができない隠蔽型のリーダーにヒアリングをすると下記の前提条件が見えてきました。

・落ち度や欠点は他者や他部門に見せてはいけない(足元をすくわれる)
・責任感が強く、自分の手で事態を打開したいと考える
・自分は解決する能力がある

この傾向のあるリーダーから事故が起きた際、下記のような理由を聞いたことがありました。

「自身の責任感が強すぎたため、自分たちで何とかしようと考えた末、さらに事態が悪化した」

この理由は、本質的には嘘であると私は考えています。

課題や問題を隠すリーダーの課題は「保身と慢心と能力不足」にあると考えているためです。本来、責任感がある人の行動は全体的な損害や被害を考え、早期に課題や問題を共有し「事」に当たる行動を選択するはずですが、この隠蔽タイプのリーダーは「隠す」ことを選択しました。

これはバレたら評価が下がることへの恐れや高いプライドが許さないという「保身」と自分で解決できるという「慢心」が起因しており、かつ、解決能力に欠けていることがこの事態を引き起こしていると考えられるためです。

3つのパターンの中で一番根深く、リーダーとしての適格性に欠けるタイプになります。

組織の課題解決ができるリーダーとなるために

解決できないリーダーを見てきましたが、解決できるリーダーとなるために私たちはどのような考え方をする必要があるのか見ていきたいと思います。

特徴は先ほどの「できないリーダー」の逆です。

①担当するマーケットや部門(部下)に合わせた仕組みや解決策を整備し
②解決策実行の中心人物(当事者)として率先して行動し、部下にも行動を促し、モニタリングし続け、必要な支援を行ない
③問題や課題は自ら早期に共有し、かつ共有を促し全員解決を図る

この特徴を身につける必要があります。

問題解決できるリーダーは、「素直」に「事」にあたり常に当事者(自責)、常に問題解決に目を向けています。

問題解決できないリーダーは「頑固」で「人目」を気にし都合よく傍観者(他責)、常に自身のプライド(他人にどう見られるか)に目を向けています。

あからさまに2つに分けて書くと「解決できないリーダー」のような人はとてもひどい人でそんなにいるのか疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、切羽詰まった組織改善の現場では「解決できないリーダー」のような人の方が多いのが現実です。

それは、「解決できるリーダー」になるためには、優れた考え方をただ学習するだけでなれる訳ではなく、実践を繰り返し訓練を通して「できるリーダー」としてスキルや人格においても地道に成長していいく必要があるため、その育成の難易度は高いことが起因しているかもしれません。

私は「問題解決できるリーダー」の姿勢をメンターから学びましたが、常に当事者として実践し続ける姿に人はついていくことが根本にあることを学びました。

今後も様々な組織の問題解決を目指し、「できるリーダー」の特徴を読者の皆さんと共に鍛え続けていきたいと思います。