継続できるのは1万人に1人?!ネガティブな感情をエネルギーに昇華させる

継続できるのは1万人に1人?!ネガティブな感情をエネルギーに昇華させる

目標達成のために継続できるのは1万人に1人

『成功する人の考え方』の著者であり、株式会社aim代表取締役・加地太祐氏は、「何かしら希望を持つ人がたとえ1万人いても、挑戦する人はその内のたった1%の【100人】。そして、その挑戦者のうち継続できる人はたったの【1%】。つまり【1人】。」と言及しています。それなりに高い目標を達成するためには、持続的な努力と投資、時間が必要ですので、今よりも良い未来の希望を成し遂げることができるのは1万人に1人であり、1万分の1の確率とも言えるでしょう。

私もビジネスコーチとしてクライアントの目標達成プロセスに伴走させていただくことがありますが、夢や希望を抱くとしても、実際に行動を起こし、かつその行動を継続することは想像以上に難しいことだと感じます。

「最初は頑張ろうと思っていたけど、願った通りの成果が得られないので続かなかった」また、「他に気になることや優先すべきことが出てきて、当初の目標がなし崩しになってしまった」という方が、7、8割に上るという印象です。貴重なお金と時間を投資してコーチングを受けに来る方々でさえそのような状況であるならば、日々の生活や業務に追われている方々が目標達成のために挑戦し継続していくことは、どれほど難しいことでしょうか。

継続する人が抱くネガティブな感情

このように目標達成のために挑戦して継続できる人は決して多くはありませんが、中には目標達成のために粛々と実践を重ね、確実に目標を達成していく方々もいらっしゃいます。

そういう方々は概ね、「成し遂げたいビジョンを持っている」「ずば抜けて成長意欲が高い」などの特質をお持ちですが、意外にも「ネガティブな感情が原点となっている動機」によって、まるで急勾配の坂を上り続けるような難しい実践を続けている方々も、多くいらっしゃいます。

ここで言うネガティブな感情とは、感情的なしこり、無念さ、後悔、悲哀などで、「あの時もっとこうしていたらよかったのに」「あの時なぜ自分はこうできなかったんだろう」などの想いのことです。そういった想いが人を行動へと、また継続へと駆り立てることがあるのです。

今は引退されていますが都内で会社を経営されていたAさんは、お亡くなりになった奥様のために地方に家を建てて、長年、都会と田舎の二重生活を続けていらっしゃいました。新幹線での出勤など二重生活を継続することはそれなりに大変だったと思いますが、「もっとビジネスが上手くいったら家族のために家も建て替えよう」と思っている内に、奥様が60代の若さでガンに罹り亡くなってしまったと。結局、生きている時には何もしてあげられなかったから、妻のために希望通りの素敵な家を建てすぐ近くにお墓も作って、今は魂と共に暮らしていると話をされていました。

Aさんの場合は、ご自身に対する不甲斐なさ、無念さのような感情が原動力となって、現役時代は都会と地方の二重生活を継続しながら、仕事と私生活を両立させてこられました。

このように、何かのために行動を起こしその行動を継続する人の心には何か、”棘が刺さった”ような、あるいは”癒えない傷”のような感情があることが、珍しくありません。そしてその感情が行動を起こすエネルギー、また継続するエネルギーに転換した時、人は非凡に実践し、非凡に継続するようになるのです。

ネガティブな感情は時に強い動機に変わる

私にも自分を突き動かしているネガティブな感情があります。

私がまだ営業職としてキャリアをスタートしたばかりの頃、能力も人格も優れていた先輩営業担当者達が「(短期的に)数字が上げられない」という理由で、今でいうところのハラスメントに近い扱いを上長から受けているのをたくさん目にしてきました。また、ノルマ達成のために過剰なプレッシャーを与えたり、マーケティングの弱点を営業担当者に精神論を押し付けることで解決しようとしたりするマネジメントも横行していました。このことは、当時の私にとって残念極まりないことであり、未来の職業人生に希望が感じられなくなる主な要因でもありました。

そういった状況の中で、「このままでは、日本の営業担当者は『売れなければ辞めさせられる』消耗品同然ではないか?」「営業職を取り巻く境遇には理不尽なことが多すぎるのではないか?」という想いが次々と脳に思い浮かび、仕事に対する意欲すら失ってしまったこともありました。

しかし、幸いにもあるきっかけで、その想いが後に営業担当者と営業組織を支援し、社会的地位の向上を助ける非営利活動をするエネルギーへと変わっていくようになりました。

私の場合、「1万人に1人の確率で目標を達成している」とまでは言えませんが、地道な非営利活動を17年以上続けることができました。もちろん周りの方々のご支援のおかげではありますが、私の心に上記のような感情的なしこりがあったことも要因の1つだったと思っています。

個人的には20代は悩んだり辛い思いをしたりすることが多かったですが、その時に抱いた感情によってその後の職業人生における強い動機を得られたことは、結果的にありがたいことだったと思っています。

終わりに

今回は、目標を達成するために行動を起こし、その行動を継続することは非常に難しいこと、そして非凡な実践や非凡な継続を支えているのがネガティブな感情が原点となっている動機であることが少なくないことをお伝えしました。

皆さん、過去の人生において抱いたネガティブな感情を未だに引きずっていることはありませんか?もしかしたら、皆さんが継続して取り組むべき課題のヒントが隠れているかもしれません。

【参考】
『成功する人の考え方』,加地太祐著,ダイヤモンド社