変化の時代を生き抜く力「レジリエンス」の鍛え方

変化の時代を生き抜く力「レジリエンス」の鍛え方

はじめに

変化の激しい今の時代、「レジリエンス」という言葉が注目されています。レジリエンス(resilience)とは、強いストレスに直面した時に、適応する精神力と心理的プロセスです。

良し悪しに関わらず、自分を取り巻く状況が変化する時には、心身ともに以前のままでは対応できません。そのギャップがストレスを生み出します。変化のスピードが加速し先の読めないこの時代、私たちはいつ何時強いストレスにさらされるかわかりません。今回は、そんなストレスに対応する力、レジリエンスについて一緒に学びましょう。

レジリエンスを鍛える理由

レジリエンスを言い換えるなら、「しなやかな心の強さ」「精神的な回復力」です。レジリエンスは誰もが持っている心理的な資質ですが、ストレスや失敗体験などで消耗していきます。

進学、就職、結婚など人生の大きな節目で私たちはその環境や対人関係の変化に一生懸命対応しようとします。ここで辛い状況が続くと、ふさぎこんだり感情のコントロールが効かなくなったりします。だからといって、その環境から逃げ出すこともできません。

誰しもが迎える人生の節目は、ストレスと隣り合わせ。だからこそストレスと上手く付き合う技術が必要です。

レジリエンスを高めるためのステップ

レジリエンスを高める方法について順を追って説明します。

心の状態をラベリングする

心がモヤモヤしている時、そのモヤモヤを放っておかず、明確な言葉にしてみましょう。つまり言葉による感情のラベリングです。怒り・不安・恐れ・心配・罪悪感・羞恥などなど、色を付けてイメージしてみるのも良いでしょう。実はこの工程でネガティブな感情の連鎖をストップすることができます。

脳科学の研究では、このラベリングによって感情を抑制する大脳皮質が活発化し、恐れの中枢である扁桃体が沈静化することが分かっています。

思い込みに気付く

「~しなきゃ!」「~が当たり前!」「どうせ私は…」という考えの時、自分の考えで心がいっぱいになっていませんか?

人には誰しも思い込みがあります。正しい正しくないを尺度にしている間はその思い込みから抜け出すことはできません。自分が正しいという思い込みが自分を苦しめている場合だってあるのです。

なので、日頃から自分の思考とネガティブな感情のパターンを観察しておくことです。すると、行き詰まった時や感情が収められなさそうな時に「ああ、またこんな風に考えているな。」と自分で気付くことができます。

視点を変える

次は視点を変えて考えてみます。相手の立場になって考えてみたり、自分の状況を客観的に見てみたり、難しい場合は友達に話してみるのも1つの方法です。

視点を変えてみることができたら、その視点から自分に助言してみましょう。感情で支配されていた頃とは違う考えが浮かんでくるはずです。

もし既に周りに助言してくれる友人や先輩がいたらとても幸せなことなのです。心の中にその隙間を少し開けておくことで、大切な言葉を聞き逃さないようにしましょう。

過去を教訓化する

「成功を祝うのは良いことだが、もっと大切なのは失敗の教訓に耳を傾けることだ。企業が失敗にどのように対応するかは、その企業が社員からどれだけ優秀なアイデアや才能を引き出し、変化にどれだけ効果的に対応できるかを示している。どんな企業にも失敗があり、それを最大限活かしたことのある人が必要だ。」

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏の言葉です。成功よりももっと大切なのは失敗を学びにし、次に活かしていくことだと伝えています。

また、先が読みにくくなった今のような時代、過去の成功体験でさえそのままでは通用しない場合が多いです。

過去起こったことが、未来の自分にそのまま当てはまるわけではありません。では過去から何を得るかというと教訓です。成功も失敗も要因があります。その核心部分を教訓化し、そこに現在#の価値観や状況を顧みて対応していくことです。自分で文章を作っても良いですし、当てはまる名言や人生訓を覚えておくのもに良いでしょう。

変化は目的への挑戦

自分から起こした変化にしても、状況的に必要な変化にしても、目的があります。変化はその目的に対する挑戦です。

例えば今回のStayHome期間やこれからの「新しい生活様式」はすべて、新型コロナウィルスの感染を封じ込むための挑戦です。その根本の目的は、私たちが安全で健康な生活を送っていくためです。方法ではなく目的が中心です。これを見失ってはいけません。

目的を最後まで見失わず、①~④のステップを意識しながら新しいことに挑戦していく時、レジリエンスは飛躍的に鍛えられます。そうなると私たちの心はどんな状況にも折れることなく、強く前に突き進むことができるようになります。

まとめ

今回はしなやかな心の強さ、レジリエンスについてお伝えしました。

水は柔らかいけれどもスピードを出して急流になれば強くなり、ものすごい威力を発揮します。心が水ならば、思考と精神でスピードを出すことで、次々とやるべきことが行なえるようになり、時を逃さずに何事もできるようになるでしょう。

予測不能な今の時代、レジリエンスを鍛えて、どんな場所や場所でもしなやかに強く生きていけるようにしましょう!

【参考文献】
・『世界のエリートがIQ・学歴よりも重視 「レジリエンス」の鍛え方』,久世浩司著,実業之日本社
・『マンガでやさしくわかるレジリエンス ストレスに負けない”折れない心”をつくる』,久世浩司著,日本能率協会マネジメントセンター
・『変わり続ける 人生のリポジショニング戦略』,出井信之著,ダイヤモンド社

 

※本記事は2020年6月8日に投稿された記事のリメイク版になります。