管理職に就く方必見~【メタ認知】の勧め~

管理職に就く方必見~【メタ認知】の勧め~

人が成長する時、変化しようという気持ちが火種となり、様々な行動を自ら起こし、実践を通してスキルや能力が身につき、ビジネスマンとしての知見が深まっていきます。

恐らく「リーダーシップについて知りたい」と思われている読者の皆さんであれば、いずれは昇進や、より大きな権限をもって仕事をしたいと思われている方もいらっしゃると思います。

順風満帆に思った通りのキャリアを歩めれば良いのですが、多くの方が経験されている通り、現実は目指すものが大きければ大きいほど、想定外の壁があったりしますよね。

その想定外の壁が、ぶち当たる前には気づかなかった自分自身だったりします。

その壁の一つとして「新しいステージで自分を見失うこと」が挙げられます。

今回は、日頃高い意識で頑張っている方々が、次のステージに上がった時に、特に気を付けるべきことをお伝えしたいと思います。

新しいステージで活躍できなくなる要因

 今までの努力が認められてグループリーダーだった人が課長になったり、課長だった人が部長になったりした時、期待されているパフォーマンスが出せなくなってしまうことがあります。

例えば、今まで数名の部下を率いていた時には問題なく治めることができたのに、部長になったら急に独善的になって組織がギクシャクしてしまった・・・など、自分も周りも当惑するような状況になることが、誰にでも起こりうるのです。

これは、自分のキャパシティを超える大きな責務と責任が伸し掛かることで余裕がない状態に陥ってしまい、今までは客観的に様々なことが見えていたのにも関わらず、余裕のなさから、一時的に自分を見失うことで起こる弊害、つまり「メタ認知」の欠如によっておこる現象なのです。

私の事例をご紹介します。

私は新卒で国内の映像機器メーカーの営業職に就きましたが、それまでの実績が評価され25歳にして中国現地法人の本部長に抜擢されました。最初は中華料理を毎日食べられ、出世もして意気揚々と赴任を喜んでいました。

いきなり27名の部下、北京や上海、広州の営業所の管理を任され、厳しい数値目標を追わなければいけない立場になった訳ですが、日本で営業成績も良かったため、心のどこかで「日本で成功したやり方が中国でも通用するだろう」、自分はできるタイプだから問題ないくらいに思っていました。

完全なる思い上がりと自信過剰でした。今考えると恥ずかしい限りですが。。。

しかし、意気揚々と赴任したのはいいのですが、現実は本部長になってからしばらくは組織も自分自身も不本意な状況が続き、今までのプライドもあるため、さらに頑張らないといけいないとがむしゃらに「頑張る」日々が続きます。しかし、頑張っている自分の気持ちとは裏腹につらい状況が続きます。しかし、上手くいかない原因が何なのか一向に掴めない・・・。

その苦境を脱するきっかけになったのが「メタ認知」の実践でした。

メタ認知で自分をもう一度見直す

「自分はなぜ辛いのか」「自分の考えは果たして妥当なのか」

一定期間をかけてメタ認知をしてみます。

つまり、もう一人の自分で自分自身を客観的に振り返る。

メタ認知で自分の考えについて客観的に俯瞰して見てみたところ、色々見えてきたことがありました。

たくさんの部下達の状況を的確に把握して目標を与え、業務プロセスのモニタリングと改善をしなければいけないのに、なぜかその基本を忘れ「忖度」していたことが分かりました。積極的にコミュニケーションを図って考えを確認すべき場面で、日本での経験から「きっというこうことに違いない」と深読みをしてしまっていたのです。

冷静な時、余裕のある時であれば容易にできることが余裕がなくなるとできなくなってしまう。

また、自分が認識していた以上に、ストレスを感じていたことも分かりました。慣れない海外での生活、通じない言葉、慣れない食事、知り合い・友人がいない環境、昇進、初めての仕事・・・、考えてみたらいつも以上にストレス状態に陥っても不思議ではない環境でしたが、必死に日々の仕事をする中で自分ではあまり気付かなかったんですね。

いわゆる空回り状態です。冷静に自分自身を捉えられていない状態では問題の発見ができずさらにアグレッシブに動くので悪化してしまう。そしてさらに疲れる。

疲れて余裕がない時はコントロールできない出来事に遭遇すると普段とは違う反応をしてしまうのですが、

冷静に自分の状況を俯瞰してみたら、自分の状態や、問題点に気付くことができるようになります。

リセットし再スタートする

 人は「頑張らなければならない状況」ではどうしても「力み(りきみ)」が生まれてしまいますよね。

真面目な人ほど・・・。

抜擢されると肩に力が入って周りが見えなくなり、思いっ切りやった結果、大きな失敗をしてしまう。

サッカーで絶対決めなければいけないシュートをする時、

力んでシュートをして力強く外してしまうことありますよね。

客観的に自分の心と考え、相手のゴールキーパーの位置を把握し、力んでいれば、余計な力を抜いてシュートをする。その方がゴールが決まる確率が上がるかも知れません。

そのような時は思い切って「(余計な)力を抜く」つまり、冷静になってメタ認知が有効だと思います。

冷静なもう一人の自分で自分自身の状況を客観的に確認することで、自分がしなければならないことが理解でき、頑張っている自分を意図的に慰めたり休ませたりすることができるようになりました。

冷静に俯瞰できるからこそ、どこに力を入れて良いのか分かるようになります。

自分自身をメタ認知できていない時には、原因にフォーカスできないので空回りして辛い状況が続きましたが、自分の状況を正確に確認し再スタートを切ることができた貴重な機会となりました。

その後何回か、大幅にキャリアアップしたことがありましたが、「新しいステージに上がった時こそメタ認知」を実践し、それまでの古い自分を一旦葬り、新しい自分に再生することで乗り越えてこれました。

皆さんもぜひ、一度お試しください。

※本記事は2019年7月1日に投稿された記事のリメイク版になります。