なぜ自分は変われないのか?成長する人としない人の決定的な違い

なぜ自分は変われないのか?成長する人としない人の決定的な違い

はじめに

私は仕事で組織コンサルタントとして業績改善のため、個人アドバイスする場面が日々ありますが、その中で気づいたことを今回は書きたいと思います。

少しアドバイスしただけで芋づる式に成長する人もいれば周囲からアドバイスを得ても中々成長できない人がいます。では、何が違うのでしょうか。

私はこの違いにはそれぞれが優先している「こと」や「欲求」が異なると考えています。

成長する人、成長しない人のそれぞれの傾向をまとめてみました。

成長する人、成長しない人、それぞれの傾向

成長する人の傾向
・現状の自分をありのまま受け入れ、自分自身を変化させたい。
・できないこと、苦手なことをありのまま受け入れている。
・自分をよく見せることよりも、学んで力をつけたい。
・恥をかいてでも、自ら頭を下げて教えを乞う。
・自分が知らないことにフォーカスする。
・将来に希望を持っている。
・素直(理由や根拠次第で意見や見解を変えることができる)。

成長しない人の傾向
・自分の現状を受け入れたくない。
・少しでも自分をよく見せたい。
・努力よりも虚勢をはることに一生懸命。
・できないこと、苦手なことに卑屈になっていて自分を認められていない。
・恥をかくことが何よりも嫌で、「知らないこと」がバレないように知ったかぶりをして、自ら窮地に陥る。
・自分が知らないことを回避する。
・将来への不安が大きい。
・頑固(理由や根拠に関係なく意見や見解に固執する)。

様々な人に接することで分かったことは、この傾向は年齢に関係なく双方の傾向がある人が一定数いるということです。

では、次項以降で成長する人の要素を見ていきたいと思います。

成長する人がもつ要素

前提は無知の知

「無知の知」とは「知らないことを知っている」ということです。前提として、知らないことを認めた上で、知ろうとすることができる訳です。これは成長する人の要素と言えます。

逆に成長しない人の要素は「知らないことを知らない」ことにあると考えられます。自分は物事を知っていると思い込んでいたり、何が分かっていないのか認識できないケースがあります。仕事で窮地に陥っていたとしても「なぜ」窮地に陥っているのか自分の課題を把握できず、成長するための困難な状況を抜け出ることが難しい場面が見受けられます。

「弱点」を把握し、克服しようとする

苦手や弱点、まだ上手くできないことを「自認」した人はそのことに向き合おうとすると人一倍真摯に取り組みます。

心理学者でMIT(マサチューセッツ工科大学)教授のバシマ・タウフィク氏は、アメリカ人の会社員155人に対し、自分の能力をどう認識しているか質問したのだとか。加えてその後、彼らの上司にも質問したところ、自信がない人ほど上司からの評価が高い傾向にあることが分かりました。

また、自信がない人々は、自分の弱点や課題点を補うかのように相手の話に注意深く耳を傾け、より多く努力する傾向がありました。さらにタウフィク氏が医療実習生にも実験を行なったところ、自信のない人ほど穏やかで、患者の痛みを認識する傾向が強かったようです。

『自信がない人は一流になれる』(PHP研究所)の著者でロンドン大学教授のトマス・チャモロ-プリミュージク氏も、自信のない人のほうが現状を正しく把握し、弱点を克服しようと努力して、実力をつけていけると伝えています。

このことから分かることは、成長する人は自身の弱点に目を向け、克服しようと真摯に努力をすることができる人だということです。

最後に、現状成長できていない人が何を乗り越えたら成長できる人になれるのか、また成長過程にある人が何を心がけたら一層成長できるのか、考察していきます。

成長できない人が乗り越えるべきこと

できない自分を認めありのままの自分を受け入れる

成長できない人が乗り越えるべきものは、できない自分を認め、ありのままの自分を受け入れることだと考えます。

成長できない人、例えば業績が長期に振るわない営業職の人にヒアリングすると以下のような発言によく出くわします。

・顧客選びに失敗している。
・新規営業のやり方を教わっていない。
・商材に問題がある。
・予算がそもそもおかしい。

また、成長できない人は以下のような質問に答えられないことが多々あります。

・顧客の課題は何だったのか?
・自分自身の営業上の課題は何か?(アプローチ?リサーチ?プレゼン?クロージング?)
・顧客に選ばれるために、自分は何を工夫したのか?

お気づきの方もいると思いますが、成長できない人はその原因を自分以外の別なものにして、自分自身の課題に向き合っていません。よって、顧客の課題や自身の営業上の課題、変えるべき点に目が向いていないのです。「自身は悪くない」と心のどこかで考えているその考えに問題があると言えます。

まずは業績が上がってない原因が自分にあることを認め、そのことをありのままに受け入れ、次に何を克服して行く必要があるのか、客観的に見極める必要があります。

ただし、自分を認める習慣のない人がいきなり客観視することは難しいため、他者の力を借りることをおすすめします。

アドバイスを素直に聞いてみる

成長が早い人は自らアドバイスを求めるのに対し、成長していかない人はアドバイスしてくれる人を遠ざける傾向にあります。誰しも自分自身の「いけてない」部分を見ることは気持ちの良いことではないですが、成長していきたければ、避けずに向き合うことが不可欠です。

成長する人はアドバイスに耳を傾け、良い変化の実体験があるため、ますますアドバイスを求め自分自身を良い方向に変化させることができます。また、素直に聴き、感謝をすることにより更に強力なアドバイザーを味方につけることができるようになります。

反対にアドバイスを遠ざける人はますます「自分の考え」や「自分以外にうまくいかない原因を求る」ことにより成長に限界にぶつかってしまいます。

余計なプライドは捨てる

できない人と思われたくないあまり、アドバイスを遠ざけたり、自分自身に向き合わないことを続けていると、能力も向上しづらく、仕事のやりがいや報酬も上がっていきません。

人は誰しも失敗します。また、初めから上手くできることは限られており、訓練や練習を繰り返さなければ何事も上達はしていかないことが道理ではないでしょうか。

実態の自分よりも良く見せようと努力したところで、あまり意味はなく、「できない自分を隠して虚勢を張っている姿」は大抵の場合、努力をしてきた人には見抜かれてしまいます。

「よく見せたい」という類のプライドがあるのであれば、成長のためにはその欲求は捨ててしまい、素直に「できない・知らない」自分を受け入れ、知る努力とできるようになるための練習に励むことが自分を生かすために最も重要だと考えます。

※本記事は、2023年1月26日に投稿された記事のリメイク版になります。