第一週 「あなたのビジネスパーソンとしての課題は何ですか?」

第一週 「あなたのビジネスパーソンとしての課題は何ですか?」

9月のテーマ「自己成長」
「With コロナ」生活が定着しつつあります。自分一人で過ごせるこの時期は、自分成長に投資できる機会でもあります。今月は「自己成長」をテーマにして記事をお届けします。

はじめに

「あなたのビジネスパーソンとしての課題は何ですか?」

この質問は、私が採用面接の際に必ずお伺いする質問です。

質問する理由は「成長する思考態度」の方か「固定された思考態度」の方かを見極めるためです。

成長する思考態度の方は比較的スムーズにこの回答にお答えいただけます。普段から成長するため、自身の課題を明確に認識している方が多い印象です。

この思考態度によって、入社後のパフォーマンスに大きな差が出ることから、この質問は必ずするようにし、「成長する思考態度」を持った方を積極的に採用しています。

今回は「成長する思考態度」と「固定された思考態度」についてお話したいと思います。

「成長する思考態度」、「固定された思考態度」とはスタンフォード大学のCarol Dweck博士が20年の研究によって明らかにした思考態度です。

『才能などはどうにもならない』という思い込みが、人の限界を決めてしまう要因であり、適切な思考態度を持つことでそれらは伸ばしていくことができると明らかにしました。

それぞれを見ていきましょう。

成長する思考態度とは

根本に「学びたい」という欲求があり、挑戦を喜んで受け止め、逆境にぶち当たっても粘り強く堪える思考態度です。

この思考態度を持った方は努力は熟達への通過点と考え、批判から学び、他人の成功からも学んだり、インスピレーションを受け、より成長していきます。

根本にあるのが「学びたい」という考えのため、すべてを雪だるま式に吸収し、高い成功レベルへと到達できるという訳です。

この思考態度の方は学びたいと考えているため、常に課題を意識し、様々学習をされておられる方が多い印象です。

固定された思考態度とは

根本に「自分をよく見せたい」という欲求があり、失敗する可能性がある挑戦を避ける傾向のある思考態度です。

障害にぶつかった時のあきらめも早く、努力は実を結ばないと考えがちです。

批判に対し、例えそれが有用なものであってもネガティブな意見であればフィードバックを無視してしまい、他人の成功に脅威を感じます。

そして自分の能力を出し切ることができず早い段階で能力の伸びが頭打ちの状態へと移行してしまいます。

この思考態度の人は自分が周りからどのように見られているかばかり考えているため、自身の課題についてあまり明確な認識がない場合があります。また、課題を素直に話すことができず、面談の場であることから虚勢を張ってしまい本当の課題も話せない方もいらっしゃいます。

思考態度による成長の違い

「自分を良く見せたい」と思ったことのない方はあまりいないと思います。その背景になる心理状態は『恐れ』であり、自信の無さの現れかもしれません。

Carol Dweck博士が4歳の子どもに対して行った実験があります。

1つのグループには「固定された思考態度」を教え、もう片方のグループには「成長する思考態度」を教えました。それぞれのグループに「簡単なジグソーパズル」と「難しいジグソーパズル」の2種類のパズルを選択させました。

「固定された思考態度」のグループは自分の能力を示せるように簡単なパズルを選び続けました。反対に「成長する思考態度」のグループは難しいパズルを選びました。

「固定された思考態度」のグループは研究者に「自分が間違えない」という自分の能力を示すことをを目的とし、「成長された思考態度」グループは難しいことに挑戦することによって、自分の能力を伸ばすことを目的としました。つまり、「賢く見える」ことではなく「賢くなる」ことを選んだ結果だと考えられます。
「成長する思考態度」のグループは「固定された思考態度」のグループのことを「新しいことが学べないのにどうして何度も同じパズルを選ぶのか」と困惑していたようです。

思考態度が成長に大きく影響を与えることが実験の結果から分かります。

良い「考え」(思考態度)を学ぶ重要性

アメリカ合衆国の心理学者、経営学者のダグラス・マクレガーは著書『企業の人間的側面』にて以下のことを言っています。

「その人の基本的な考え方が間違っていると、どんなに頭がよくても、どんなに努力しても、たとえ運に恵まれてさえも、その人は決して成功しない」

思考態度、つまり、考え方によってビジネスでの成功や運命が左右されることを様々な研究結果によって明らかにしました。

まとめ

良い考えを知ることは重要ですが、知識として知っているだけでは思考態度を身につけ変化や成長をしていくことはできません。

実践を通して、理解を深め、「分かる」段階を経て「できる」ようになると、成長をしていくことができます。さらには人に「教える」ことができるレベルとなると、信念になり、自分自身に大きな変化を生み出すことができます。

成長する思考態度を身につけるためには諦めず、最後まで実践することがとても大切になります。

最後にメンターの言葉をもって締めくくりたいと思います。

毎日自分の位置でもっと高い次元に上がるために、もっと熱心に行なって、目的を持って実践しなさい。

数回だけやったのではだめだ。古い家を壊し、もっと良い家を建てることのように大変で、1つの期間がかかる。

大変でも一次元上げたら、ちょうど段階が上がって、もっともらって享受する。

そして次元を上げて、上がっていったなら、その分、前よりもっと行なうことだ。