フォロワーシップとは?上司・同僚の苦手分野は信頼を得るチャンス
- 2019.09.09
- フォロワーシップ
- #上司は不完全, #上司をフォロー, #余裕がない, #私のこと分かってよ
「リーダーシップ」という単語はよく耳にしますが、「フォロワーシップ」について皆さんはどれくらいご存知でしょうか。リーダーシップに較べてあまり有名な言葉ではないかも知れません。
フォロワーシップとは、組織・集団の目的達成に向けて、フォロワー(部下、リーダーを補佐する人)が組織のリーダーの支援、組織へ貢献するために、受け身ではなく能動的に・自律的に考え、行動することを指します。今回は、このフォロワーシップについて説明させていただきたいと思います。
上司には長所も短所もある?
まず、前提として多くの上司はとても「余裕がない」ことを理解してあげてください。自戒を込めてですが、管理職になれば様々な調整や意思決定をしなければならず、かつ、プレイヤーとしての貢献も求められる場合が多く、その上、企画や実行、プロマネ等、やることが山ほどあります。本当に。そんな中、部下から「なんで私のこと分かってくれないの!!!」と言われてしまうと、「いやいや、気持ちは分かるけど、僕のことも分かってよ…」となり、「分かってよ紛争」が勃発してしまいます。
また、あなたと同じく長所もあれば短所もある生身の人間であることも忘れてはいけません。自分の短所は案外、自覚がある人が多いように思います。そんな中、部下同士が下記の会話をしていたらどうでしょう?
A:「○○部長ってあそこダメだよね。ホントに部長のくせに何やってんだか…」
B:「○○部長は●●は得意だけど▲▲は余り得意ではないみたいだな。僕が▲▲のフォローして部長を支えよう!君は●●のの面での支援をして!」
明らかにBさんのいる職場は伸びますよね。部長だったらBさんメチャクチャ大事です。もはやリーダー。プチ自慢ですが、私の部下はBさんタイプ。とてもとても感謝です。
しかし、職場での問題解決に携わる際、よく出くわすのはAさんタイプが多い職場。できていないことに文句を言うばかりで、誰も支えようとはしない。自分も不得意や様々な矛盾を抱えているのに、相手の不得意や矛盾は許せない。それではとてもギスギスしちゃいますよね。上司も大変で疲弊してしまう。被害者意識の塊のような組織が出来上がってしまいます。
上司にも苦手分野があり、その分野を部下が補えることは実はチャンス。信頼を得ることができ、組織の目標達成にも近づけられます。Bさんのようなスタンスはあなたがより輝くためのチャンスですね。
上司が判断を間違った時、あなたならどうする?
上司がどんなに優秀であったとしても、判断がすべて正しい訳ではなく、限られた時間で様々な要素を考えて判断するため、時には間違った判断をしてあらぬ方向に進んでしまうことがあります。
そんな時、あなたはどうしますか?
A:上司に嫌われたりする危険性や損するリスクを負わないために何も言わない
B:上司の状況を理解した上で配慮ある言葉とフォロー前提で進言する
現実に多いのはAではないでしょうか。よく言う「YESマン」ですね。個人としてリスクを負いたくないため、自分の損になることは言わない。日本人には特に多いのかもしれません。
しかし、プライドが高い上司にストレートに進言して怒られてしまうことはあると思います。実は私も何回もありました。ただ、怒らせてしまった背景には、2つの問題があることが考えられます。①はプライドが高すぎる上司の問題、②は部下の進言のスタンスに課題のある部下の問題。
①は上司の問題かつ解決する責任は上司にあるので私たちは変えられません。変えられるのは私たちの②の問題のみです。この時、先に挙げたBのスタンスがとても重要になります。「上司への理解を示し、決して責めることはせず、自分が上司の役に立ちたい・サポートしたい」ことを示されて嫌がる上司はあまりいないと思います。その姿勢で上司に接することから信頼が生まれ、上司にとって良いフォロワーとなっていきます。
その姿勢を嫌がられた場合は、よほど人格・精神的に問題がある人である場合が考えられますので、その際は上司か自分の部署異動を待つか、人事と相談をした方がいいかもしれません。
ちなみに私の過去の上司(社長)は占いで物事を決めるタイプの方がいました。経営の意思決定が占いなので、決定そのものに根拠がなく、Bの選択肢を取りたければ私も占い師になる他ありませんでした。結局、私は占い師にならずに知人の会社からお誘いいただいて転職しましたが…。もし、転職していなければ今頃私は新宿で占い師をしていたかもしれません(笑)
フォロワーシップを機能させる「目的意識」
フォロワーシップを機能させるために必要なのはその「目的」になります。
なぜ、フォロワーシップを発揮する必要があるのか?
A:上司に気に入られて(ゴマを擦って)、「自分の」ポジションと給与を上げるため
B:上司をサポートし、「組織の」目的・業績達成をするため
実情、Aのパターンがサラリーマンの世界にはあります。某大手金融系企業に在籍していた時、上司からAのアクションをとても求められたことがありましたが、私はゴマを擦ることがすごく苦手で、1週間経たずに挫折しました。上司に嫌われるより気に入られるに越したことはありません。しかし、それは目的ではなく、何のためにフォローをするのかその奥の「目的」を分かって行なう必要があると、私は考えています。
Bが成し遂げられて、結果としてAのようなポジションや報酬となれば良いですが、目的がズレてAばかりを求めてしまうと、ただゴマを擦る人だけしか残らない、業績が低下する組織となってしまいます。そこから先、あなたがリーダーになったとしても優れたリーダーシップを発揮する土壌は、もはやないかもしれません。
フォロワーシップの実践でスキルを上げる
上司との信頼関係を作ることができたら次は、他のフォロワーメンバーと連携することによって、貢献や建設的な提案を行なっていくこと、つまり実践が大切になります。
大まかな流れとしては、以下の流れです。
1.リサーチ(Research)
上司が忙しく手が回らない、苦手で滞っている業務の中でフォロワーができる業務があるかどうか確認しましょう。
2.プランニング(Planning)
他のフォロワーを巻き込んで仕事を分担し、フォローの完成を目指しましょう。
3.実行(Do)
できることからフォロワーシップを発揮しましょう。
4.確認(Check)
フォロー内容が適切だったか、工夫の余地がなかったか確認しましょう。
5.改善(Action)
確認して改善した内容を試して実行していきましょう。
また、リーダーに提案や提言をするときは、客観的な視点からその理由と根拠を説明して納得を得られる工夫をしましょう。
このように、ステップを踏みながら実践し続けることが、フォロワーシップを得るための近道になります。これができれば、一級のフォロワーとして次のリーダーのステップに移れるマインド・スキルが準備できた人になります。
最後に
上司をフォローする。逆じゃないかと思われる人もいらっしゃると思います。しかし、優れたリーダーになる人ほどその基盤には優れたフォロワーシップがあります。それは「目的達成」に真摯に臨むその姿が周囲の賛同を得るからかもしれません。
あなたの上司は恐らく「不完全な人間」です。だからこそ、あなたのフォローが必要になります。リーダーとして重い責任を背負うことは簡単なことではありません。まず、その上司が抱える重い責任を理解してあげてください。それが出来た時、「私のこと分かってよ」という自分の考え・思いが消え「その重荷、私にも背負わせてください」と思えたら、あなたがリーダーにふさわしい人物に少し近づいている証です。
上司にも短所があり、あなたにも短所があります。その短所は実はチャンスなんです。支えることができるポイントがあるから、お互いを必要とするのです。あなたが上司の短所を埋めれたら、それは上司からの信頼だけではなく、チームの成功、リーダーとなる上での基礎が手に入ります。ぜひ、一流のフォロワーを目指してください!
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