第一週 「『ビジョンが見えない』シンドローム」から脱却する挑戦

第一週 「『ビジョンが見えない』シンドローム」から脱却する挑戦

4月のテーマ「挑戦」

4月は新しい環境、新しい人間関係、新しい仕事など、様々な変化を迎える月だと言えます。今月は、そのような変化の時をより能動的な気持ちと姿勢で迎えられるよう「挑戦」というテーマで記事をご提供したいと思います。

はじめに

4月は、進学や就職、昇進など、環境の変化を迎える人が多くいます。一方で、そのような環境の変化に関わらず、停滞している自身の状況を自分で変えなければいけないのではないか?と焦る人たちもいます。後者のような方々は「ここで働いていて何になるんだろう?」「将来が見えなさすぎるから転職しようかな?」など、一言で言うと「長期的な展望が持てない(ビジョンが見えない)」という悩みを抱えています。ビジョンが見えないから今の仕事に意義を感じられないし身が入らないと考えてしまうので、日々の業務へのモチベーションを維持できません。

今回はこのような「ビジョンが見えない」が口ぐせになっている「『ビジョンが見えない』シンドローム」に陥りかけている方々に向けて、そのような状況に対してどう挑戦すべきか?ご提案したいと思います。

ビジョンとは何か?

ビジョンを辞書で調べてみると、「理想像」「未来像」「展望」と書かれています。この「展望」に着目して考えてみると「見る位置によって見えるものが変わる」ことが分かります。平地では見えない風景も展望台に登ってみると遠くまで見渡すことができますよね。見る位置を高めることで展望が開ける訳です。

実は、このことは精神や考えにも当てはまり、考えの次元が低いほど目の前の現実だけが見え、高いほど遠い将来を見渡すことができるようになります。

いわゆる長期的な展望を持てる人は、考えの次元が高いから未来を見通すことができると言えます。反対に考えの次元が低いと展望が持てず近視眼的になるしかありません。

ここで言う考えの次元とは何の違いでしょうか?

代表的な特徴を挙げるとすると、以下が挙げられます。
・将来享受する大きなメリットを優先するか、現在享受する小さなメリットを優先するか?
・視野が広いか、視野が狭いか?
・「目的」を追求しようとするか、「短期的な目標」を追いかけるか?
・多面的な思考か、短絡的な思考か?
・計画を重んじるか、感情を重んじるか?
・忍耐して大きなことを成すか、安易に小さなことを成すか?

もちろん前半に挙げた考えの方が考えの次元がより高く、後半に挙げた方がより低いと考えられるでしょう。

例えば、仕事を通じて困難にぶつかった時、「精神が鍛えられる、将来に役立つ。」と考える人もいれば、「この仕事は自分に合わない、辞めたい。」と考える人もいます。もちろん各自置かれた状況や人生観が異なるので一概には言えませんが、どちらが展望を持ちやすいかと考えると、現在の困難を将来の有益に結び付けられる前者の人と言えるのではないでしょうか。

「ビジョンが見えない」という悩みが意味すること

つまり「長期的展望が持てない(ビジョンが見えない)」という現象は、現状考えの次元・水準が低いことに起因する可能性が高いということです。

よく「この会社にいる限りビジョンが見えない」ということ言ったりしますが、環境と考えの次元とは関連はありません。本当に考えの次元が高い人は「環境のせいでビジョンが見えない」と言ったりせず、その会社で学べることを積極的に学んでから別のステージに這い上がっていきます。自分が置かれた環境の中で長期的な展望をを見い出せるかどうかは、その人の考えの次元の高低次第と言っても過言ではないのです。

このことは企業など法人のビジョンも同じで、経営陣の考えの次元が低い場合策定するのがとても難しいです。仮に「短期的に儲けて私腹を肥やせればそれで良い」「自分が取締役に在任している間だけ業績が落ちなければ良い」という考えを持っているとしたら、長期的な展望を持てなくてある意味当然です。また、「経営環境が悪いから」「不景気だから」と展望が開けない要因を環境に求めても、展望が開けることは期待できないでしょう。

どうしたら考えの次元をあげることができるのか?

ここまで、長期的な展望を持つには、考えの次元を上げることが重要とお伝えしてきました。では、どうしたら考えの次元を上げることができるでしょうか?

展望台は時にエレベーターで上ることもありますが、考えの次元に関しては一気に上げることは難しく、階段を上るように上げていくしかありません。毎日少しずつでも学び、精神修養を重ねていくのです。

実は、企業内研修などで「10年先20年先のビジョンを策定するセミナー」等もありますが、そのセミナーを受講してすぐに10年先の自分の姿や会社の姿をビジョンとして思い描けるようになるかというと、そうならないことがほとんどです。その理由は、考えの次元は一度のセミナー受講でいきなり上がるものではないからです。

実際に成功しているビジネスマン達もいきなり長期的な展望を持てたのではなく、成長を意図しながらも目の前の課題を解決しながら一歩一歩考えの次元を上げていった人がほとんどです。「ビジョンが持てないからモチベーションが上がらない」と言いながら適当に手を抜いて行なっていると、結局考えの次元が上がらないのでずっと展望が開かない状態が続くようになるのです。

まとめ

今回はビジョンとは何か、そして長期的展望という意味でのビジョンが見えない理由についてお伝えしてきました。自分の考えの次元を上げることで長期的展望を持てるようになりますが、例えば短絡的に考える人が多面的に考えられるようになることが簡単ではないように、考えの次元を上げるにはそれなりの学びと鍛錬が必要です。日々成長を意図して目の前の課題を一歩一歩取り組みつつ、自己研鑽に励むことが大切でしょう。「ビジョンが見えない」と嘆かず、勤しんで修養に取り組まれることをお勧めします。