人間関係はあなたの行いの結果~4つの返報性のルールとは?~

人間関係はあなたの行いの結果~4つの返報性のルールとは?~

はじめに

職場の問題で一番多く頭が痛いのは人間関係の問題です。リーダーは、自分自身が問題の当事者になることもあれば、チームのメンバー同士が上手くいっていないとに悩むことも多いでしょう。

今日は悪化した関係を改善したり、信頼を築いたり、人間関係に影響する4つの返報性の法則についてご紹介します。

返報性の法則とは

人間の心理法則として、「相手からされた通りに反応したくなる」という返報性の法則があります。

例えば、職場で同僚からお菓子をもらったら、おかえしに次は自分があげようかな、と思うのではないでしょうか。それが100円のお菓子なら100円くらいのものを考えます。

立場を入れ替えるなら「自分が相手にしたことが同じくらい返ってくる」と言えます。

4つの返報性

好意の返報性:好意を向けられると好意を持つ

好意を示されると相手に好意を持つ、これが好意の返報性です。好意を持たれることは自己肯定感が高まるので嬉しいことなのです。

好意の伝え方は様々です。笑顔を向ける、口調を柔らかく話す、話しかけられたら相手の方を見て話すなど、小さなことですが十分に伝わります。

また、苦手な相手や嫌われているかもと思う人にも、好意を伝えていくことで態度を和らげることができます。

特にリーダーはチームの中心にいる存在なので、リーダーが一人一人に好意を持って接していくことで、チーム全体の雰囲気が良くなっていきます。

憎悪の返報性:嫌われたら嫌いになる

相手から冷たい態度を取られていると、何となく苦手になったり相手を嫌いになったりしますよね。それは相手の態度から「あなたを嫌い」というサインを感じ取ったためです。これが憎悪の返報性です。

人間関係の悪化には、この憎悪の返報性の法則が働いています。解決するにはどちらかが「嫌い」という感情を変えるしかありません。

自分が当事者なら根気強く相手に好意のサインを送ることです。仕事ぶりを褒めたり、お土産をあげたりすることでも相手の気持ちはだいぶ変わります。

それが難しいならば一旦距離を置いて負の連鎖を断ち切りましょう。

譲歩の返報性:譲られたら譲りたくなる

交渉のテクニックとして、「相手にとって一番難しそうな要求を提示し、相手が難色を示したら、こちらが本来想定していた要求を出して承諾率を上げる」ドア・イン・ザ・フェイスというものがあります。

これは「相手が譲ってくれたんだからこっちも譲らなくては」という譲歩の返報性を利用したものです。双方が譲歩することで、対等な関係を築こうとする心理的な法則です。

たとえば、「明日1時間仕事を手伝って」と言われると迷いますが、「明日1日仕事を手伝って。だめなら1時間でも」と言われると「1時間くらいなら良いかな」と思います。

打算的に使いすぎてはいけませんが、交渉事の前には思い出し、相手とWin-Winの関係を築けるようにすると良いでしょう。

自己開示の返報性:心を開いてもらえたら心を開きたくなる

自己開示とは、自分のことを取り繕わずありのままに打ち明けることです。例えば友人から打ち明け話をされると何となく相手と同じくらいの打ち明け話をしようと思います。これが自己開示の返報性です。

相手の心を開く、お互いを理解しやすくなる、親近感を持つ、など、コミュニケーションをよりスムーズにすることに有効です。

注意点として、先の3つの返報性とは違い、自己開示はお互いの信頼関係の上に成り立っています。いきなり自分のことを話したからといって相手が心を開いてくれる訳ではありません。焦らず段階を追って進めていくことが大事です。

また、肯定的なことばかりではなく否定的なことも含め、ありのままの自分を話すことです。失敗談を打ち明けたら「自分と同じなんだな」と親近感を持ってもらえた、というケースもあります。

信頼関係の上に、積極的な自己開示の姿勢があれば自然と周りの人の心が開いていきます。

まとめ

今回は、リーダーに知ってほしい返報性の法則についてお伝えしました。

返報性の法則は人間関係にも、ビジネスにも応用できる法則です。今週はバレンタインデーですが、おかえしのホワイトデーはまさに返報性の心理法則をマーケティングに生かした実例です。

チームの雰囲気はリーダーの各メンバーへの対応で作られていきます。

私たちの日常には好意も憎悪もあふれていて、日々それを敏感に感じ取って生きています。そうだとしても難しいことですが、自分からはできるだけ好意を発信する人でありたいと思います。

<参考>
心理学入門ー心の仕組みがわかると見方が変わる(ゆうきゆう、学研、2010年)
人付き合いがグンとラクになる 人間関係のコツ(斉藤勇監、コスモ文庫、2001年)
マンガでわかる!対人関係の心理学(ゆうきゆう監、西東社、2019年)

※本記事は、2020.02.10に投稿された記事のリメイク版になります。