”受援力”で仕事の質とスピードを上げよう

”受援力”で仕事の質とスピードを上げよう

ビジネスパーソンの自己研鑽を助けるメディア「リーダーシップドック」、先月から仕事術に関する記事をお届けしています。今回は、仕事を頑張るビジネスパーソンの盲点となりやすい”受援力”について。皆さんを助けてくれる人が案外近くにいるかもしれません。

※この記事は、2019.09.23投稿の記事のリメイク版になります。

「つらいのに頼れない」のはなぜ?

あなたは「何かを手伝うのはいいけど、手伝ってもらうのはちょっと苦手…。」という人ではありませんか?

日本人の多くが、人を支援することには肯定感を持ちますが、人から助けられることには苦手意識を持っています。それは「人に迷惑をかけてはいけません」という言葉があまりにも日本人の精神文化として根付いており、弱さを見せることを恥と捉える日本独特の文化があるからです。

「つらくても、頼れない」状況が長く続くと、脳にストレスがかかり、うつ病や適応障害などの症状を招きます。

頼れないあなたのために、今回は「困っているときに素直に助けを求め、受け入れる力」=「受援力(じゅえんりょく)」についてお伝えします。

「受援力(じゅえんりょく)」の基礎知識

2000年代に入り、日本のあちこちで経験のないようなひどい自然災害が起こり、公的な支援やボランティアの手を借りなければ復旧できない状況が増えてきました。

2010年に内閣府から「受援力」をキーワードとした防災ボランティア活動のパンフレットが発行されました。

「支援を受ける環境・知恵・心構えを持つ」ことが「受援力」であり、「支援活動について知ること、自分の状況を積極的に伝えること」が受援力を高める一歩として説明されています。

被災した自宅の片づけにボランティアを断っていた家庭が、毎日の作業に疲れ果てボランティアを依頼たところ、短時間で作業が終わり、「早く頼めばよかった」という事例も多いそうです。

「受援力」を高めて、ピンチを乗り越える

「受援力」は災害時に限らず、個人やチームがピンチに陥ったときに必要なスキルです。

「どれだけ助けを得られるのか」で問題の解決する時間や労力が変化すると考えればわかりやすいでしょう。

では「受援力」を高めるには一体どうすればいいでしょうか?

①支援システムを把握する

メリーランド大学で長年カウンセラー教育に携わってきたシュロスバーグは、3つの支援システムを把握することえ、人生の転機やピンチを乗り越える難易度が下がることを唱えています。

1)人:心理的に支えになる家族や友人など

2)物質的資源:乗り越えるための十分なお金や物質的資源

3)支援団体や制度:支援協力してくれる公的または民間の団体・制度・サービス

ぜひ一度、自分・チーム・家庭などに該当する3つの支援システムを書き出してみてください。いざというときにここを使えば大丈夫!という安心感と余裕が生まれます。

②状況を分析し、主体性を持って具体的に伝える

「なんでもいいから助けて!」より「ここを助けてほしい」と具体的に伝えてもらうと、助ける側はより効率的に動くことができます。助けを求める前に自分の置かれた状況を一旦整理しましょう。

➂感謝と喜びを返す

人を助けたとき、一番もらってうれしい言葉は「ありがとう」ではないでしょうか。

「迷惑をかけてごめんね。」は謝罪の言葉であって感謝の言葉ではありません。

感謝と喜びを返すことは、助ける側の「役に立ちたい」気持ちを満足させ、やり甲斐につながります。

コツは「何をしてもらったから、自分はどう助かったのか」を具体的に伝えることです。

「また何かあったらこの人を助けよう」というモチベーションにつながります。

まとめ

誰しも人生の中で、大きな波のような問題に飲み込まれそうになる時があります。

私もももともとは人を頼ることがあまり得意でなく、自分で何でも解決したいタイプでした。

ある時どうしようもなく苦しい状況が続く中で、「自分一人で考え行うことは、大海の中で小舟に乗ってあてもなく櫓を漕いで進むようなものだ。」という言葉を知り、まさに自分の姿だ!と思いました。

そこから、積極的に人に相談し、時には力を借り、ためらわずにお願いするようになりました。

すると驚くほど少ない労力と時間で物事がスムーズに進むようになったのです。

餅は餅屋というように、その分野に長けた人や、助ける力を持った人は必ずいます。ちょっと話してみたら、自分は指一本動かさずにすべてが解決…ということもあるかも。

助けを求め受け入れる「受援力」を身につけ、人生の大波を力強く乗り越えていきましょう!