優れたリーダーが密かに使いこなす、人を育てる「質問力」

優れたリーダーが密かに使いこなす、人を育てる「質問力」

「質問力」はなぜ必要か?質問の持つ力を知る

 

唐突ですが、あなたはなぜ質問をしますか?30秒で答えになる文章を作ってください。

上の文章を読み、恐らくあなたは、「私はなぜ質問をするだろう?」と考え、自分が質問する場面を想定し、「30秒で文章を作る」という目的のために、「答え」を出そうと「考え」たのではないでしょうか。

このように質問は、特定の方向へ考えを導く力があります。

質問は「答え」を得て目的を成すためにする

多くの場合、私たちは自分の目的を成す過程の中で質問をします。例えば、朝何気なく「今日の天気は?」と思い、天気予報を確認します。それは、天気を知ることによって「自分の行動を決定するため」です。

しかし、人と人との間では対話が必要です。昨年、テニスプレーヤーの大坂なおみ選手の優勝記者会見で、ある記者の質問が物議を招いていました。その質問をした記者の方のブログによると、かなり下準備をして用意した質問だったにもかかわらず、通訳して伝えられる際、自分の本来の意図とは違ったように訳されていたそうです。

「私の質問が曖昧で抽象的だったことが、本来の意味とは異なる訳の一因だった、と考えています。もっと具体的で分かりやすい質問をするか、直接英語で聞くべきだったと、反省しています。」

(抜粋)「大坂なおみ選手の記者会見で、私が本当に聞きたかったこと」

https://www.huffingtonpost.jp/rio-hamada/naomi-osaka-press-conference_a_23529953/

質問を間違うと相手の考えを間違った方向に導いてしまい、必要な答えを得られず、自分の目的も成されません。目的を成すためには、適切に質問をする力が必要です。

質問は人に新たな気付きを与え、人を動かす力がある

私たちは質問をされることで、新しい視点や考えに至ることがあります。パナソニックの創業者松下幸之助氏の口癖は「あんた、どない思う?」でした。部下にも取引先にも絶えずさまざまなことを質問し、答えられなくても決して怒らず何度も同じことを聞いたそうです。毎日質問されるので、部下は自然と自分で考え、日頃から自主的に勉強するようになり、人材育成に繋がっていきました。

このように質問の持つ「考えを導く」という性質を利用し、質問によって自分で気付き、行動する人を作ることができます。優れたリーダーは、実はこのような質問を自然と使っているのです。

質問の持つ力についておわかりいただいたところで、次は質問をする際に気を付けたいことをお伝えします。

 

質問の心構え

質問は目的を自覚し意識的にする

頭の中に思い浮かんだまま方向を定めないままに質問をしていくと、話がどんどん違う方向に逸れて行きやすくなります。余計な話で時間切れになって、本当にしたかった対話ができなかったら残念ですよね。つい疑問に思ったことをそのまま質問したくなるものですが「何のための質問なのか」を一旦意識してみましょう。

質問だけで話を進めない

質問は話の流れを作り運ぶ役割をしますが、質問だけで話を進めていくことは避けましょう。質問の乱発は相手を追いつめ、尋問・追及・誘導・攻撃などの感覚を持たれやすく、会話の主導権を握られた、という不満に繋がります。相手の話を受け止め、共感し、自分の話もしながらここぞというときに質問を使う方が効果的です。

質問は相手の立場に立ってする

質問は、相手の時間を使い、相手から情報を得ることです。あまりにも自分本位な質問は相手に負担感を与え、時には答えることで立場をなくすこともあります。相手の視点に立って考えてから質問しましょう。

 

質問力を上げる2つの基本テクニック

今回は、質問力を上げるための2つの基本的なテクニックをご紹介します。

1)目的達成に役立つオープンクエスチョン・クローズドクエスチョン

・オープンクエスチョン(開かれた質問)

5W1Hを基本とした質問で、広く情報を得たい場合や、相手に自由に話したり考えたりしてもらいたい場合に使います。

ただし、「なぜ」を使った質問は、答えに論理性を求め、批判的なニュアンスや責められている感じを受けるので注意が必要です。

例えば「なぜそれを変更したのですか?」だと、変更したこと自体を責められている印象を受けます。この質問を「変更した経緯を教えていただけますか?」にすれば相手の状況を汲み取り寄り添っている印象を与えます。

・クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)

答えを「はい/いいえ」に限定したり、選択肢の中から1つを選んでもらったり、制限をかける質問です。明確に情報を得たい場合や、相手の思考を限定したい場合に使います。

 

実際の対話ではオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを組み合わせて使います。

<例>

「休日はのんびり派とアクティブ派どちらですか?」(クローズドクエスチョン)

「アクティブ派ですね。」

「どういう休日の過ごし方が理想的ですか?」(オープンクエスチョン)

話を広げ過ぎても収集がつかなくなりますし、限定し過ぎても対話が続きません。オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを目的に合わせて使い分けることで、効果的に話を進めることができます。

2)人を動かすためのポジティブクエスチョン

私たちは、人から言われたことよりも、自分で考え気付いたことをよりモチベーション高くやろうとします。自ら気付いて動く人を育てたい場合、ポジティブクエスチョンで質問をしましょう。

ネガティブクエスチョンは質問者視点のネガティブな感情が含まれており、答える側もネガティブな考えに陥ってしまいます。ポジティブクエスチョンには期待や肯定感が含まれ、考えがポジティブな方向に向かいます。ネガティブなこともポジティブに捉えることで、問題を乗り越えていくことができるのです。

例えば、あることがなかなかできない人に対して「これだけ言っているのにこんなこともできないのか」という本音を抱えていたとします。

「なぜこんなこともできないんだ?」というネガティブクエスチョンをしてしまうと、質問をされた人はできない理由を考え、自己否定感が強まります。

しかし、「これができるようになるためにはどうしたら良いと思う?」とポジティブクエスチョンをすると、質問された人は期待されていると感じ自己肯定感が高まり、できる方法を考えるようになります。

前者の質問は問題点ばかりにフォーカスを当ててしまい積極的な改善に繋がりませんが、後者の質問であれば問題改善と予定に追い付くための方策を考え、実行するようになるはずです。

まとめ

今までお伝えしたことは自分にも応用することができます。自分自身で問答することにより、考察を深め、新しい発見や視点を得るからです。問題があっても自分にポジティブな質問をすることで「必ずできる」という確信を持ち、乗り越えることができます。

人は「考え」が重要です。考えをどこに置くかによって、人生の道が左右されます。質問の持つ「考え」の方向を導くという性質を知り、使っていくことで、自分の考えや相手の考えをより良い方向に向かわせる質問力の高いリーダーになっていくことができます。

あなたの目指すリーダー像はどういうものですか?

また、そのために何をしていこうと思いますか?

この質問への答えが、あなたをより素晴らしいリーダーに導いてくれることを願います。

(参考文献)

・「いい質問」が人を動かす(2016年文響社 谷原誠著)

・正統派リーダーの教科書(2018年東洋経済新聞社 江口克彦著)

   
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